味わい深い出汁と燗酒で温もる『日本酒バー慶』
根津のうどんの名店『釜竹』の姉妹店で、築約100年の元和菓子屋を改装して営む。日本酒担当の尾形寛さん曰く「地酒は生酛、山廃など味わいのしっかりしたものを中心に常時30種ほど。品書きが下段になるにつれ、旨味の濃い銘柄になってます」。合わせる料理を担当するのは同世代の遠藤真弥さん。仕入れたお酒に合うよう作るのが〝本日の一品〞だ。特に『釜竹』の奥深い出汁を使ったおひたしなどの料理は、米の旨味が濃い燗酒と最高のペアリング。
『日本酒バー慶』店舗詳細
素材重視の酒肴が左党を魅了『根津 たけもと』
店主の竹本勝慶さんは「旬の食材本来の味と地酒を堪能してほしいので手の込んだものはないです」と謙遜するが、恰幅のいい体は〝うまいもん作ってくれる〞オーラが全開。シンプルに焼いた新筍の丸焼きはこの日提供されていた『獅子の里 超辛純米酒』のキレのある味わいと好相性だった。刺し身に目を転じれば当日は大間の本マグロや氷見の寒ブリなど。どの酒が合う?「蔵元の思いなどは伝えますが、押しつけはしません。自由に地酒を楽しんでください」。
『根津 たけもと』店舗詳細
季節の味覚を繊細に重ねて『根津 日本酒 多田』
料理人の多田修平さんと唎酒師の章子さんの二人三脚で切り盛り。旬の食材をふんだんに使ったおまかせのコースを提供してくれる。「各地の漁師や農家から直送してもらった旬の食材を使い、日本酒が主役になるような料理を心がけています」。例えばひろっこと真カジキ、蕗の薹のヌタは、ひろっこのネギのような甘みとフキノトウの苦味で春の訪れを実感。章子さんが各料理に合うお酒を順次提案してくれるのもうれしい。「ヌタには、濃醇な『不老泉山廃純米吟醸』660円~を燗でぜひ!」。
『根津 日本酒 多田』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=鈴木健太 撮影=山出高士