優しい味わいの牛すじ煮込みに気持ちもほっこり。『居酒屋どん』
ひとたびホッピー通りに入ると、明るい呼び込みが聞こえてくるが、その中でもひときわ目立つのが『居酒屋 どん』の長田さんの呼び込み。お客さんをいつでも元気一杯、満点のスマイルで迎えてくれるが、それ以上に楽しみなのがお店自慢のメニューたち。中でも常連さんの根強い支持を持つのが、この界隈でも珍しい塩味ベースの牛すじ煮込み600円と浅草で長年以上続く鳥肉専門店の老舗『竹町鶏肉店』から仕入れる抜群の砂肝を使ったすなぎもポン酢700円。どちらも小料理屋さんだった時代から培った技術で、仕込みの段階からこだわることで、優しい味わいに。思わず気持ちほっこりしてしまう。
生粋の地元民親子が作る和食メニューと煮込みが絶品。『三幸』
ホッピー通りでも屈指の歴史を誇る『三幸』。「楽しみながら営業してきた」と語る2代目店主の上知倫明さんは自身もビール党を名乗るほどのお酒好き。それも功を奏して「酒飲みの目線」で考えた“あって欲しい酒のアテ”を、和食を中心に多種多様にそろえている。
名物の牛すじ煮込み600円は、2日かけてじっくりと煮込んでトロトロになった牛すじに、「ウチのオリジナルです」と息子の真也さんが教えてくれたカレー粉を振りかけていただくのが『三幸』流。牛すじの甘じょっぱさとカレーのスパイシーさが見事にマッチして、お酒だけでなく、ご飯も食べたくなる逸品だ。
豊洲水産仲卸直営!超新鮮な旬の魚が自慢。『ととや』
2018年オープンの『ととや』はその名の通り、ホッピー通りでも珍しい、魚料理が自慢と言い切るお店。明治4(1871)年から続く豊洲市場水産仲卸の直営で、どの店にも負けないと豪語する鮮魚の仕入れが最大の自慢。オーダーする際は、仕入れによってその日ごとに異なる今日のおすすめメニューを要チェックだ。お店オリジナルのシャリ酎と珍しい赤ホッピーで割って飲むのもマル。
ピリ辛牛すじ煮込み&おふくろの味で酒が進む。『鈴芳』
「愛想はないけど、料理はおいしいので(笑)」とスタッフの金田さんが自虐的に語っていたのが印象的だったのが『鈴芳』。お店自慢の韓国風牛すじ煮650円は、A5ランクの国産牛のすじ肉をふんだんに使い、ピリ辛テイストに仕上げたことで通常のお店では食べられないようなオンリーワンの味わいに変身。さらにこの店の魅力はホッピー通りでも唯一と言われている樽生ホッピーが飲めるところ。きめ細かい味わいで提供されるホッピーは新鮮そのもので、料理の味をさらに引き立ててくれる。
こだわり食材&調理法でツウをうならせる!『浅草 なつの』
ホッピー通りの北側にある『浅草 なつの』。オープンして2021年で7年目とまだ日が浅いが、おいしいものを食べたければここ!と早くも話題になっている注目店。人気の秘訣は食材の仕入れとこだわり抜いた調理法。例えば名物の牛すじ煮込は、通常はゆでこぼしと呼ばれる技法で汚れを取るだけというが、『浅草 なつの』は余分な脂を丁寧に掬って、旨味だけを凝縮するというシチューに似た技法で仕込んでいく。豊洲市場の魚河岸から毎日届く新鮮な魚も魅力だ。
構成=フリート 取材・文・撮影=福嶌 弘