昔懐かしい「おふくろの味」を求めて常連客が殺到!

誰の心にも「おふくろの味」というものがあるだろう。それは決して高価な食材を使ったものではなく、どこか心がほっこりとあったまるような優しい味の煮物やついついご飯が進んでしまうおかずなど……そんな料理が恋しくなったら、ホッピー通りでも屈指の歴史を誇る『鈴芳』がオススメだ。

ホッピー通りの中ごろに構えたお店はオレンジのテントと黄色い看板が目印。この界隈では唯一生ホッピーを提供していることでも知られている。
テント席のほかにカウンター席も用意。ママさんたちが調理している様子が良く見える。

「2021年でお店を開いて47年になります。ホッピー通りの中でも長い方になりますが、これだけやっていると常連客の方も最近だと代替わりしてきて。かつての若手社員さんが昇進して部下を連れて来たり、家族で来ていた男の子が独立して自分の家族と来たりとかね。そうした中でもやっぱり皆さん『ママの煮物が食べたくって』って言ってきてくれるのがうれしいですね」。

お話を伺った金田さん。「愛想はないけどいい店だから!」とは言いながら、気さくな性格で常連さんには大人気だ 。

気取ったメニューやオシャレなメニューならどこに行ってもあるけれど、『鈴芳』のママの煮物はここでないと食べられない……どこか昔ながらで懐かしいその味わいを求めてか、取材当日もお昼時を少し過ぎた時間帯でも賑わいを見せていた。

個性満点、オンリーワンの絶品ぞろい!

ホッピー通り屈指の人気を誇るお店だけに、どのメニューもおいしいのは間違いない。それだけにどれを注文しようかついつい迷ってしまうが、ここは1番人気という韓国風牛すじ煮650円に煮物の中でもお酒との相性が抜群のつぶ貝煮650円、そして「このお店に来たら飲まないと!」というくらいの看板ドリンクである「樽生ホッピー」をオーダーした。

お店の1番人気メニュー韓国風牛すじ煮650円。開発当時としては珍しく韓国風のピリ辛テイストにしたところ、ダントツのヒットメニューに。

お店によって味が異なると言われる牛すじ煮込み。『鈴芳』の場合は韓国テイストのピリ辛な味わいが最大の特徴。その理由を金田さんに伺うと「実は開業当初は牛すじ煮込み、やっていなかったんですよ」と意外な回答が。

「当時はベーシックな味わいのもつ煮込みだけしかなかったんですけど、お客さんの要望もあって牛すじ煮込みを始めたんです。それだけだと、どの店もやっているのでおもしろくないなということでウチのは『辛くしてみよう』って考えて。激辛というわけではなく、キムチくらいのピリ辛にしたんですね。その頃は今みたいにキムチが一般的なメニューではなかったのでちょっと珍しさもあってすぐに人気になりましたよ」。

「どれも根強い人気」と言う煮物メニューからは、つぶ貝煮650円をチョイス。コリコリとした食感が病みつきになること間違いなしだ。

今ではお店で1番人気になったという韓国風牛すじ煮に「どの煮物もおふくろの味」という『鈴芳』の魅力の煮物ではお酒のアテにはピッタリなつぶ貝煮。これもつぶ貝を捌くところから作るのだから恐れ入る。そしてお酒では「この店でないと飲めない」と話題の樽生ホッピーに触れないわけにはいかない。

お店自慢の樽生ホッピー600円。瓶のものとは異なり、舌触りやのど越しが段違いで一度飲んだらハマるはず。ちなみにお店では白と黒、そしてハーフ&ハーフの3種類を提供している。

ホッピーと言えば瓶に入っていて、焼酎の入ったジョッキに自ら注いで撹拌し、好みの濃さにして飲むというイメージが強いが、『鈴芳』の名物である樽生ホッピーは文字通りホッピーがサーバーから出るというレアもの。金田さんによると、ホッピー通りでも導入しているお店は唯一で、都内でもほとんど見られないという。

「味の違いとしては、瓶ビールと生ビールの違いくらいあると思います。やっぱり生の方が泡はきめ細かいので、のど越しや舌触りが全然違う。樽生ホッピーを飲みだしたら、普通のホッピーじゃ満足できないという人もいるくらいですよ」。

人恋しくなった時にこそ行きたい、身も心も温まる店

ホッピー通りの超人気店である『鈴芳』。ママさんがイチから作るおふくろの味とも言える煮物料理やA5ランクの国産牛のすじ肉をふんだんに使う韓国風牛すじ煮、そしてこのお店でしか飲めないと話題の樽生ホッピーなどの魅力も多くあるが、一番の魅力はスタッフさんたちとお客さんとの距離が近いことのように思える。

これが噂の樽生ホッピーのサーバー。新規出店のお店では取り扱うことすらできない超貴重品とも言える。

お話を伺うと「いえいえ、ウチの店は愛想がないほうですよ(笑)」と金田さんは謙遜するが、本当に愛想がなければ常連客はここまで付いてこないだろう。人恋しくなった時にこそ、『鈴芳』の料理で身も心も温まろうと思う。

住所:東京都台東区浅草2-5-1/営業時間:11:00~21:30/定休日:火/アクセス:つくばエクスプレス浅草駅から徒歩3分

構成=フリート 取材・文・撮影=福嶌弘