スパイスとコーヒーの香りが誘う。『喫茶CARNET』[御花畑]
「昔、家族で通ったコーヒーとカレーの店が心に残っていて」と店主の小川雄大(ゆうた)さん。カレーは2種で、奥さんの智容(ちひろ)さんが担当。チキンキーマは粗挽きで肉々しさを感じさせつつ、ニンジンやトマトの優しい風味も。一方のポークビンダルーはワインビネガーとスパイスでマリネした豚肉がゴロッと入り、酸っぱ辛いがくせに。食後は2~3年寝かせたオールドビーンズをネルドリップで抽出したケアブレンド500円で、幸せなひとときを。
『喫茶CARNET』店舗詳細
山の恵みを豪快に岩の上でジューッ。『鈴加園』[武州日野]
店に入るとスモーキーな香り。囲炉裏端から2代目の鈴木さん夫婦が笑顔で迎えてくれた。「名物の石器焼は、昔秩父で山仕事をやる人が焚き火に石を置き、その上で獣肉や山菜を焼くという食べ方がルーツ。うちの山で採った砂岩層の岩で焼くと、ふっくら焼き上がるんです」。石器の上で鹿や猪の肉をジューッと焼いたら、塩で野趣あふれる獣肉の味を堪能するもよし、行者にんにくと自家製味噌で作った濃厚だれでモリモリ食らうもよし!
リアルわらじサイズに目が点!『東大門』[西武秩父]
精肉店が営む食事処で、昼はわらじかつ丼がメイン。一足のわらじに見たてたとんかつ2枚を、醤油やザラメなどで作ったタレにくぐらせ、ごはんにのせれば完成という潔さがいい。ほどよく脂がのったロースやモモ肉のとんかつと、甘じょっぱいタレが不思議なほどに箸を進めさせ、意外にペロリといけてしまう……というのは通常サイズの話で、メガわらじかつ丼は約1.5kg ! 持つとボウリング球のごとき重さだが、大食漢は挑戦されたし。
『東大門』店舗詳細
麺の山とキノコの海!『手打ち秩父うどん 本家原姉妹店』[大野原]
秩父出身の知人曰く「秩父はそばだけじゃなくうどんもうまいよ」。その言葉を実感できるのがこちら。「生地を冷蔵庫で1~2日寝かすことで、コシを出しています」と店主・磯田周吾さん。手打ち麺の食感を堪能したく、つけ肉きのこうどんのひやもりを頼むと、約480gの山盛りうどんが! つゆにつけて啜れば、ややツイストした麺にたっぷり入ったキノコの出汁や豚バラの甘み、隠し味のゴマ油の風味が絡んでうまく、麺の山を一気に踏破。
『手打ち秩父うどん 本家原姉妹店』店舗詳細
濃厚とろっとろの角煮が白飯を猛加速。『たぬ金亭』[武州中川]
「豚を焼く、揚げるという丼は既に秩父にあったので“煮込む”で新名物丼を作りたくて」という店主の思いで誕生したのが豚玉丼。丼を覆いつくす角煮は、肉質のやわらかいハーブ三元豚を焼いて余分な脂を落とし、地元・新井武平商店の麦味噌などで煮込んだもの。コクと甘み濃厚な味噌だれとトロトロの角煮は白飯と相思相愛で、夢中でかっこみたくなる。途中で半熟卵を割ると味がまろやかになり、さらに辛子やラー油で味変を楽しむ客も!
『たぬ金亭』店舗詳細
できたて豆腐を築110年超えの古民家で堪能。『お豆ふ処 うめだ屋』[長瀞]
長瀞にある「お豆腐処 うめだ屋」は、築110年を超えた古民家を改築したという店内で、できたてのお豆腐をふんだんに使ったランチを提供。ランチメニューは「おとうふランチ」1種類のみ(1230円、土日祝1330円)。春〜秋はおぼろ豆腐、冬は豆乳湯豆腐をメインに、季節の移ろいを感じさせるお惣菜などを楽しむことができる。お豆腐プリンやお豆腐チーズケーキなどのデザートも人気。併設された売店ではおとうふドーナツやクッキーも販売、こちらはおみやげやドライブのお供におすすめ!
『おとうふ処 うめだ屋』店舗詳細
秩父の歴史を感じられる佇まい。『パリー食堂』[御花畑]
秩父神社のお膝元、番場町にあるパリー食堂は、その歴史あるたたずまいと昭和の空気を感じさせる食堂メニューに惹かれるファンが近年増加中。看板建築の代表のようなこの建物は、かつてカフェとして1927年に建てられたもので、現在は登録有形文化財に。店内ではパリー食堂の味を守り続けてきた三代目のご主人と、四代目予定のお孫さんが日々奮闘中。昔ながらのスタイル&豪華なフルーツが楽しいオムライスや、どこか懐かしい味がするカツカレーなどが人気。
『パリー食堂』店舗詳細
牛タンと秩父野菜を使った絶品料理。『LAMP』[西武秩父]
秩父市役所のすぐ目の前、「秩父ビジネスプラザ」の1Fにある『LAMP』は、2019年にオープンしたばかりの店。牛タンと秩父野菜を使った料理を楽しめるこちらでは、豊富なランチメニューとリーズナブルな値段、質の良い肉料理が評判となり、今ではすっかり地元住民に愛される店に。店主はもともと横浜で焼肉店で修行を重ね、独立開業を目指していたところこの地域の開業支援制度を知り、この店を開いたという経緯が。そのため、お肉の美味しさには定評あり!
『LAMP』店舗詳細
地元住民に愛される老舗ラーメン店。『珍達そば』[御花畑]
西武秩父駅から徒歩5分、「秩父夜祭」で最大の見せ場となる「団子坂」のすぐそばにあるラーメン店。常に行列が絶えない人気店だが、多くのお客のお目当ては名物の「珍達そば」750円。醤油味の豚骨ベーススープでネギと豚肉を煮込んで作る独特のスープと、ツルンとした食感の特製麺がしっかり絡み、シンプルながらあとを引く味わい。店を切り盛りする三代目店主の小崎さん&奥様が生み出す、活気ある雰囲気もまた魅力。
『珍達そば』店舗詳細
こたつでぬくぬくほっくりタイム。『Cafe ほっ kuri』[西武秩父]
初めて訪れた人でもなぜか懐かしく感じるのは、古民家ならではの佇まいに加えて、店内にこたつ席もあるから? 日替わりケーキ400円とともに、注文ごとに無農薬の豆を挽くほっkuriブレンド550円を味わえば、思わず幸せのため息がもれる。全てを一人で切り盛りする店主の栗原早苗さんの温厚な雰囲気も、ふんわりとした時間の流れに一役買っている。店内の一角では、地元の人が手作りしたヘアピンやコースターなど小物雑貨も販売。
『Cafe ほっ kuri』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ)、鈴木健太、川口有紀、佐藤成美(風来堂) 撮影=原 幹和、川口有紀、木村心保、加藤昌人、金井塚太郎