【コースガイド】
最高地点 : 標高380m(松の木尾根の展望台)
歩行時間 : 3時間20分
歩行距離 : 約9㎞
体力度 : ★☆☆
難易度 : ★☆☆
コース上には標識が多いので、道に迷うことは少ない。寸庭橋の先、越沢川からの東屋までの坂道は少し急。鳩ノ巣渓谷の遊歩道は岩場の道なので、滑らないように足元に注意したい。危険な箇所はほぼない。
アクセス
[行き] JR・私鉄・地下鉄新宿駅からJR中央線・青梅線で約1時間45分の古里駅下車。
[帰り] 奥多摩駅からJR青梅線・中央線約2時間で新宿駅。
古里駅から奥多摩駅までの約9㎞のトレイル
奥多摩の山岳は脚力がかなり必要な険しい山や、距離が長くてとても日帰りでは不可能な山も多い。それほど大変ではなく、展望がよく満足できるルートということでしばし思案した。
思案の結果は多摩川沿いにあるトレイルで、松の木尾根からの展望もいい。山よりは渓谷歩きがメインになるルートになるが、ご容赦を。
この大多摩ウォーキング・トレイルは、古里(こり)駅から奥多摩駅までの約9㎞のトレイルになる。渓谷歩きだけではなく、川から離れて山へと登る箇所もあり、変化に富んでいる。
多摩川の少し下流にある軍畑(いくさばた)駅から御嶽(みたけ)駅方面へ向かう御岳渓谷遊歩道よりは、ややハードで、溪谷美ではこちらのほうが上だと思う。
奇岩、巨岩が連なる渓谷美にうっとりする
スタートは古里駅だ。青梅街道を進みまもなく左の道へ入り、多摩川に架かった寸庭(すにわ)橋を渡る。途中に井戸のような釜の水。ひと昔前はこの水が集落の生活飲用水だったという。今は水道があるので使っていないようだが、水はこんこんと出ていた。
寸庭橋を渡るとすぐ右手に多摩川に下りる階段。川沿いの道を少し行くと支流の寸庭川を横切り、越沢川(こいざわがわ)へと出る。なんとなく原始的な川のように見える。ちょっぴり屋久島の川の雰囲気が漂っている。
川を渡ると坂道に。およそ100m上がると松の木尾根の東屋へ。坂の途中に一軒の家。ちょうど人が出てきたので話を聞く。この先の越沢の集落は廃村になって久しいが、最近ひとり住んでいるという。この一軒家の主人も週に1回ほど青梅から来て畑を作っているのだという。
尾根に立つ東屋からの眺めはなかなかで、鳩ノ巣の家並みとその奥に山々が広がっている。中央部には標高1225mの本仁田山(ほにたやま)がくっきり。
渓谷の景色と山の展望、両方味わえる贅沢ルート
東屋から鳩ノ巣の集落へ下って、多摩川に架かる吊り橋の鳩ノ巣小橋を渡った先から鳩ノ巣渓谷が始まる。白丸ダム近くまでの500mの間に奇岩や巨岩が渓谷沿いに連なっている。まさに圧巻の景観である。流れる多摩川もよりきれいに感じる。ちなみに渓谷は例年11月半ばころの紅葉時季がにぎわうようだ。
渓谷から石段を上がり白丸ダムへ。湖畔遊歩道は2019年の台風19号の土砂崩れの影響で通れず、青梅街道にいったん出て奥多摩駅方面へ向かうことにした。数馬峡遊歩道を歩き、発電所を過ぎると『もえぎの湯』もすぐそこ。温泉で疲れを癒やし、湯上がりのビールで締めて帰路につく。
【山麓温泉】 奥多摩温泉 もえぎの湯
名湯に浸かり、2 階の大広間で乾杯!
奥多摩駅周辺に日帰り入浴のできる施設はいくつかあるが、食事も乾杯もというと町営のここがいい。2階の畳の広間はのんびりするには最高。
『奥多摩温泉 もえぎの湯』店舗詳細
【山麓酒場】 ビア カフェ バテレ
外飲みもできる! 自家製ビールがうまい店
2015年に奥多摩駅近くの柳小路にできたクラフトビールの店。外飲みもできるので、登山者が立ち寄るようになった。営業が土・日だけになったのが少し寂しい。平日なら奥多摩駅2階『ポートおくたま』でどうぞ。
『ビア カフェ バテレ』店舗詳細
取材・文・撮影=清野編集工房
『散歩の達人』2021年3月号より