レンコン!!
ビタミンC、ミネラル、 食物繊維がたっぷり
栄養に優れ、酢バスのほか、サラダやいため煮などさまざまに味わえる健康野菜、レンコン。土浦市は生産量日本一を誇るレンコンの産地で、霞ケ浦湖岸の木田余、手野、田村、沖宿地区を中心にハス田が広がっており、今が収穫の最盛期だ。ハス田に近いJA土浦の直売所「サンフレッシュはすの里」での購入が便利。たくさんの地場産品も選べる。
亀城公園
洪水になると亀のように浮かんで見えた平城
中世は小田氏配下、近世には譜代五家が治めた城跡。江戸時代は土屋氏の治世がもっとも長く、歴代藩主は11名を数える。武田信玄・勝頼の家臣で「片手千人斬り」の土屋昌恒(まさつね)の孫が初代数直(かずなお)で、この初代と2代政直は老中を務めた名君。その後水戸から2度養子を迎え、最後の藩主は慶喜の弟だった。公園前の古民家カフェ『城藤茶店(しろふじのちゃみせ)』(水ほか休。☎︎029-895-0283)では、年4回の落語寄席など定期的にイベントがある。
土浦まちかど蔵 「大徳」&「野村」
貴重な建物を活用する 江戸情緒あふれる街角
城跡に近い旧水戸街道中城通りの街角は江戸情緒が豊か。とくに向かい合った2つの商家は、江戸後期から明治初期の建築で必見。「大徳」は呉服商の見世蔵を改装し観光案内や観光みやげ品を販売、砂糖店だった「野村」は袖蔵の奥に文庫蔵やレンガ蔵の喫茶がある。レンタサイクル(予約不可)や観光ボランティアガイド(土・日・祝日常駐・3名以上要予約)も利用可。
ほたて
旧水戸街道の四つ角で歴史を刻む 150年食堂
明治2年(1869)、水運の荷揚げ場そばに鮮魚店兼食堂として創業。市内に7店あった予科練指定食堂の一つで生徒らが食事や家族との面会を楽しんだ。先代が浅草で修業した江戸前の天ぷらが看板メニュー。その日の気候で油を調合、蓋でしっとり蒸された天丼はふんわり食感。ダシが効いた豆腐入りのあら汁もうまい。
ロケ地巡り
あのドラマの名シーンも土浦が舞台だったかも
誘致に熱心なこともあり、市内ではドラマや映画のロケがよく行われる。旧制土浦中学校本館がドラマ『坂の上の雲』で海軍兵学校として使われ、モール505は映画『散歩する侵略者』の舞台となるなど、さまざまな作品中で土浦の風景が見られる。旧市役所本庁舎は朝ドラ『半分、青い。』で岐阜のバスステーションとして登場。一瞬筑波山が映り込んだのはご愛敬。
喫茶 蔵
明治の蔵でレンコンとカレーのコラボを味わう
1929年にドイツの飛行船「ツェッペリン伯号」が立ち寄った際に土浦の食材を使ったカレーを振る舞ったこと、海軍のまちだったことにちなんだご当地カレー「つちうらカリー物語」が人気。名物のレンコンを入れるのがお約束で数十店が腕を競っている。落ち着いたレンガ壁の喫茶蔵でも気軽に味わえるほか、レトルトカレーは「大徳」で4種類を販売中。コーヒー350円。
海軍のまち・土浦
著名パイロットや飛行船を 胸いっぱいの愛で歓迎
昭和の頃、土浦といえば多くの人が即座に予科練を連想した。その予科練(土浦航空隊)と飛行船やリンドバーグが立ち寄った霞ケ浦航空隊が隣の阿見町、航空廠など関連施設が市内にあったことで、土浦は「海軍のまち」だった。料亭や食堂に海軍御用達が多いのはそのためだ。遺構は市町境に多いが、市街を望む台地にも海軍病院の痕跡がある。ちなみに1929年に飛来したツェッペリン伯号に続いて建造されたのがヒンデンブルグ号。某ロックバンドのジャケットになった飛行船だ。
吾妻庵 総本店
趣ある老舗で楽しむ 明治からの伝統の味
土浦で『ほたて』の次に古い明治6年創業のそば処。ここも予科練指定食堂で、建物はもちろん古い什器(じゅうき)や木札の品書きなど、調度にも往時の雰囲気が色濃く残る。生徒らが好んだざるをはじめ、長年愛されてきたメニューはそばとうどんのみ。小エビたっぷりのサクサクなかき揚げと、細めの二八そばを濃いめのつゆで頂く。
上高津貝塚ふるさと歴史の広場
意外に快適だった? 縄文時代の暮らし
約1万年続いた縄文時代、どう食べ物を手に入れどんな暮らしをしていたのか。貝塚や古墳が点在する土浦にあって関東有数の規模を誇る上高津貝塚で、出土品や複製した道具などから想像を膨らませよう。考古資料館と広場をセットで見学して理解を深めたい。
照井の井戸
お茶やコーヒー用に汲みにくる人も多い
照井山(しょうせいざん)という山号をもつ寺の境内で、数百年前から枯れることなく湧き続ける清水。江戸初期に土浦の殿様が策で囲んで石臼の桶を入れ、住民や水戸街道の旅人に喜ばれたという。まもなく城まで約1㎞の木樋(もくひ)を埋めて通水させた。土浦の上水道の始まりである。夏冷たく冬温かい水は散歩の途中にありがたい。
佐野子かっぱ堂
ミイラの手とともに集落を守護するカッパ
約700年前、いたずらするカッパを村人が捕らえ、僧が諭し右手首を切り落として放した。以来悪さをせず川で溺れる者もなくなったという。持ち出すと雨が降るといわれるカッパの手は厳重に保管され、毎年6月第1土曜の祭りで開帳される。佐野子は古い集落でカッパを捕らえた人々の子孫が今も公民館周辺に多く住む。
ニコニコ珈琲
煎りたてをネル抽出して生まれる芳醇な味わい
まろやかで奥行きを出せるネルドリップ式にこだわる自家焙煎の店。つちうらブレンド100g594円、店内500円。運動で失われるアミノ酸3種を補うBCAA COFFEE270円〜はサイクリストを応援する新商品。地域活性化で始めた朝市のニコマルシェ(第3日曜8〜11時)も好評。
中華の福来軒
地元で人気の老舗が創作したアイデアカレー
高安関が子供の頃、家族とよく来た老舗。レンコンカレーラーメンはレンコン粉入りの特製麺に、リンゴやバナナなどフルーツの甘みを活かした特製キーマカレーが盛られたもの。このキーマカレーとホクホクのジャガイモを合わせたツェッペリンカレーコロッケは散歩のお供。
水郷桜 イルミネーション
2012年に始まった「光がつくる"Art"」なイベント。華やかな「水と虹のアーチ」が迎える会場は、土浦を代表する風物などをモチーフにした、約24万球の電飾からなるイルミネーションで幻想的に彩られる。
例年11月中旬~2月中旬に開催。17:00〜21:00、無料。茨城県土浦市大岩田(霞ケ浦総合公園オランダ型風車前広場) ☎︎029・823・4811(市産業文化事業団)
郁文館正門
卒業生が大活躍する 藩校跡の中学校
土浦藩の藩校跡は現在土浦第一中学校。ここは大関髙安はじめ、女優の栗山千明、ギタリストの寺内タケシら有名人の母校。ちなみに俳優の三浦春馬は市内真鍋小学校・第二中学校の卒業生。真鍋小には樹齢110年を超えるソメイヨシノ5本が校庭中央に立ち、新入生を迎えるお花見集会などがよくテレビで紹介される。見学は外から。
旧制土浦中学校本館
西洋の香り漂うゴシック風明治建築
旧制中学校校舎としては全国初の国指定重要文化財となった1904年竣工の名建築。玄関の三連アーチと2つの尖塔、優美なアカンサス意匠、手すきガラスの窓などすべてが匠の技。修復工事が春に終わり、桜と濃茶の配色も創建時に戻された。現在は外観を主に部分公開中。
小田氏治(うじはる)旧跡めぐり
佐竹氏や後北条氏、越後上杉氏の狭間で30年以上戦に明け暮れた常陸小田氏15代氏治(1531〜1601)。何度も本拠の小田城(現つくば市)を追われて藤沢城や土浦城に逃れたため「最弱の戦国武将」と呼ばれる。だが人望厚く家臣や地元民に慕われ、先祖伝来の領地を奪われるたびに周囲の支援ですぐに取り戻した。晩年大名の身分を失うも天寿を全う。見方によっては最強の武将かも。
テクノロジーカフェ シンギュラリティ
リアルなVRなど技術を楽しむ大人の遊び場カフェ
「新しい何かを発見できれば」との思いが詰まった新感覚の大人カフェ。技術者から文系人間まで、ゆったり酒を飲みながら気軽に最新技術に触れ親しんで語り合える。オーナー制作のVRコンテンツを楽しんだ後は、人工知能が考えたオリジナルドリンクを。
小町山
往復2〜3時間、茨城で最新のハイキングコース
土浦市最高峰の宝篋山(ほうきょうさん)と知る人ぞ知る「千代田アルプス」の間にある。有志が1年かけて3つの登山コースを手弁当で整備し2018年春に完成。巨岩やオブジェなど見どころが多く、山頂付近にはパラグライダー離陸場があり見晴らしがよい。常磐道土浦北ICから約10分と近いため都内からのハイカーも急増中。
小町の館
美しい里山風景を眺め 常陸秋そばに舌鼓
小野小町伝説が残る集落の観光拠点。土産品や農産物などを販売、一角には小町のギャラリーと『そば処 小町庵』がある。土浦産常陸秋そばを石臼で碾いて手打ちし、茹でたてを出す二八そば、揚げたての天ぷらに休日は行列になるときも。予約でそば打ち体験もできる。
取材・文・撮影=飯田則夫
『散歩の達人』2019年1月号より