食べ応えに腹いっぱい、胸いっぱい『EL TACOS(エルタコス)』
「本場の味を地域の皆さんになじむようアレンジしてます」と、店主の川村紀彦さん。メキシコ産マサ粉のコーントルティーヤにはあふれんばかりの具材がどどん! サルサをたっぷりのせ、ライムをひと搾り。手づかみでがぶりとかじりつけば、コーンとパクチーの芳香がふわっ。チキンのみっちり食感にも頬がゆるむ。鼻腔を抜けるサルサの爽やかな後味が食欲を再燃。次の1枚へと誘(いざな)われて、止まらねえぜ。
売り場の風情はメキシコそのもの『LA MALINCHE TIENDA CULTURA(ラ マリンチェ ティエンダ クルトゥーラ)』
メキシコの旅行会社に勤める牧野一太朗さんが、現地で買い付けた雑貨を生家の婦人服店『すみれ』に展開。「日本の日常に溶け込むものを」と、色彩豊かな小物からクールなアパレル、面白プロレスグッズまで幅広い。なかにはトルティーヤウォーマーなる珍品も。牧野さんは「日本では鍋敷きに使うお客さまもいて、それもアリだなと」と笑う。漂いまくる旅情感に、財布の紐(ひも)がゆるんじまうねぇ。
走れ! 転がれ! 楽しく鍛えよ!『ヒートアップ道場』
「お客さまを巻き込んで熱くヒートアップ!」が団体訓の「プロレスリング・ヒートアップ」の道場は、一般向けのプロレスクラスが大人気。体験で受け身やロープワークに挑戦。ロープに弾(はじ)かれ、マットに転がり込めば……これはクセになる! 鍛錬を積んだ会員には“発表会”なるイベントも。「実際の試合のごとく、入場曲を流すんです」と、代表のTAMURA☆GENE☆(タムラ・ジェネレーション)さん。リングに上がる自分を妄想。なんて甘美な誘惑か!
想像以上のメキシコ風情
何はともあれ、腹ごしらえだ。メシを食えば現地の風情を味わえるってもんさ。そんなわけで『EL TACOS』でタコスにかぶりつく。いいぞ、メキシコの風を俺は感じてる!
「川崎でメキシコ文化、盛り上げたくて」と、店主の川村紀彦さん。「祭りの日には『すみれ』の前で出店を出すんです」。その『すみれ』には『LA MALINCHE TIENDA CULTURA』のメキシコ雑貨がズラリ。あれ? もしや本当に「川崎 de メキシコ」、キテる?
「これ、かぶって帰る人もいるんです」と、差し出されたのはレスラーのマスク。メキシコったらプロレス(ルチャリブレ)だもんね。こんなん衝動買いしちゃうよね。こりゃプロレスもやらなきゃ噓だ。ならば『ヒートアップ道場』の門を叩たたくしかあるまい!
「いいですよぉ」「頑張って!」
一緒に練習する会員さんの応援にファイティングスピリッツが滾(たぎ)る。最高だぜ、アミーゴ!
しかし思い付きで始めた旅だが、想像以上にメキシコ風情を味わえたもんだ。「川崎 de メキシコ旅」はべらぼうにアツい!
取材・文=どてらい堂 a.k.a.メキシコに行ったことのない男 撮影=井上洋平
『散歩の達人』2025年4月号より