①日本初導入レーンでストライク
階段からあふれる遊び心にワクワク『相模原パークレーンズ』
1972年に開店したボウリング場は遊び心がいっぱい。階段はド派手なアメリカンポップ調でローリング・ストーンズよろしく舌を出すし、2021年には3階を茶色のカラーレーンに、4階はレーン正面の壁をオールスケルトンに改装。ともに日本初導入なのだとか。「せっかくならワクワクしてもらいたくて」と2代目社長・中里則彦さん。1ゲーム一般700円。
・10:00~翌1:00(土・日・祝は9:00~)、無休。
・☎042-755-1110
②アメリカンなバーガーで腹ごしらえ
思いきりかぶりついてバーガーズハイに!『Hi! Diner』
アメリカンダイナー感満点な2022年開店のバーガー店では、常時10種類以上のハンバーガーあり。国産&US牛肉100%のパテは粗挽きで肉々しく、地元のパン屋に特注するバンズはふっくら柔らか。ソースは自家製サウザン風だ。写真はアボカド・熟成ベーコン・チーズ入りのABCバーガー(ポテト&ドリンクセット)2013円。
・11:00~15:00LO(土・日・祝は~16:00LO)、無休。
・☎なし
③和紙とアロマに癒やされる
触って嗅いで味わって全身でリラックス『noconoco』
「のんびり人が集まれる場所を作りたくて」と店主の飯塚典子さん。1階は好きな和紙と香りに関する雑貨店。日本のお香やフランスのエッセンシャルオイル、和紙作家・KAMIKURAさんのカラフルな和紙、オイルを垂らす陶器や木工などが揃うほか、ハーブティーもセルフサービスで提供。2階のレンタルスペースでは要予約でリラクゼーションも。
・11:30~19:00(日は~17:00)、月・火・水休。
・☎080-8711-3905
④リアルなジオラマに魅了される
こだわり詰まった80分の1の鉄道情景『トレインドリーム』
鉄道模型HOゲージのレンタルレイアウト店は、10×7mの規模に7.8mの直線あり、トラス橋梁あり、14線もの扇形庫ありと見どころ満載。情景を作るジオラマも精巧で、竹林をのぞけば枯れ葉が積もっているなど、細部までリアル。「博物館クオリティとうたってます」と店主の堅田寛さん。70年代の相模線、横浜線を走らせても絵になる! 2時間6600円(2席)~。
・11:00~19:00、水・木休(要予約)。
・☎090-5396-6277
⑤レトロな銭湯であったまる
愛されて57年、親子が守る街の湯『相模浴場』
2代目の出島久子さんと娘・恵美子さんが営む1967年創業の銭湯。男湯はヒマワリ、女湯はアジサイのタイル絵が浴場を華やかにする。井戸水を使った湯は「肌当たりが柔らかくて温かさが違います」。夜は麻布大学獣医学部の学生が日替わりで清掃やフロントに。「代々受け継がれているバイトなんです」と5年生のさくらさん。入浴料530円。
・15:00~22:00、月休(祝の場合は翌火休)・第2火休。
・☎042-752-7264
⑥締めはこだわりビールで
ラガーもIPAも相模原を思う『ケンズブルワリー』
さがみはラガー、西門エール、青い手IPAなど、沼田賢一さんが醸造するビール6種は、みな地元由来の命名ゆえ「いつネタが尽きるか心配です(笑)」。つまみも「高座豚手造りハム」や西門商店街唯一の八百屋『まもるや』の野菜を使用。地元愛もいただこう。飲み比べセット1600円、高座豚生ハム&チーズ780円。
・17:00~22:30LO(土・日・祝は13:00~)、水・木・最終日曜休。
・☎080-8690-9688
インバウンドとは無縁な街の不思議な引力
相模原駅の周辺は独特だ。地図を見れば北口に広大な空洞のような土地。これは在日米陸軍相模総合補給廠(しょう)。線路の北側はほぼアメリカなのだ。そんな中、時間限定で入れるのが共同使用区域にある相模原スポーツ・レクリエーションパーク。有刺鉄線と「WARNING」の文字だらけの10haの園内を探検すると、ピクニックし放題の芝生広場もグラウンドも日本じゃないみたい。
ならば南側はどうかと思えば、しっかり市街地でなんとボウリング場が2つ!「昔はさらに2つあってボウリング場激戦区でした」と『相模原パークレーンズ』の中里則彦さん。内装もアメリカンなのもやはり米軍施設を意識? 「いえ、関係ないです。でも週末はアメリカ人のお客さんも来ますね。座間や厚木からも」。
市役所そばでは『Hi! Diner』でハンバーガーを頬張る。「ハンバーガーにしたのはたまたまなんです。相模原はインバウンドとは無縁の街ですけど、軍服姿のベースの方は来られますね」とは店長の佐藤有菜さん。
街の昔話も聞きたくて、年季の入った商店街をぶらり。「西門」と書いてあるけど読みは、にしかど?
「“にしもん”です。この先に補給廠の西門があるから西門商店街と言うんです」と教えてくれたのは、『トレインドリーム』の堅田寛さん。
「朝鮮戦争の頃は補給廠で日本人がたくさん働いていて、夕方は商店街にどっと押し寄せたそうです」。調べると、多い時で1万人以上が主に重車両機器の修理を行っていたという。岡本太郎の彫刻があることからも想像できる街の繁栄ぶり。
「生鮮食品の市場もあって、30年くらい前の正月はアメ横のようなにぎわいで」とは『相模浴場』の出島久子さん。今は閉じた店も目につくが、ここはいつも人がいて元気な銭湯だ。「みなさんの憩いの場。私もお話するのが楽しみで続けてます」。
汗を流して身も心もほかほかになったら締めは『ケンズブルワリー』。風呂上がりに数軒先で自家醸造ビールが飲めるなんて誰の企み!?
「常連さんにもゴールデンコースって言われます(笑)」。店主の沼田賢一さんは商店街の桜並木に惚(ほ)れて「桜を見ながらビールが飲みたくて」出店を決めた。そんな桜、私も見てみたい。「この街は何もないってみなさん言うけど、ごちゃごちゃしてない住みやすさが一番です」。
観光地でも繁華街でもないけれど、不思議とまた来たいと思わせる懐深き街。春まで待てそうもない。
取材・文=下里康子 撮影=加藤熊三
『散歩の達人』2024年11月号より