まるで飲む和菓子な抹茶ラテ

アボカドトーストセット1400円。
アボカドトーストセット1400円。

今回は開店直後におじゃましたので、ブレックファストメニューから。

可愛らしいメニュー。
可愛らしいメニュー。

朝のメニューは、分厚いバタートーストにミニ野菜ジュースがついた朝パンセット800円、アボカドトーストセット1400円、フレンチトーストにベーコン、リコリッタチーズのついたブレックファーストフレンチトースト1600円から選べる。

さらにトッピング&アディショナルメニューも充実。

プレーンオムレツやグラノーラヨーグルトなど付け加えることもできるし、バターを増やしたりホイップを追加したりも自由自在。朝からおいしさをプラスオンできるのはうれしい。今回はアボカドトーストセット1400円をオーダー。

トーストにはフムス、ひよこ豆、ビートを使ったペーストがオン! アボカドがたっぷり乗せられて、リコリッタチーズも添えられている。仕上げにはピンクペッパーがぱらり。ビビッドなピンク色のペーストで一日分のかわいいをチャージ。サラダはオリーブオイルと塩というシンプルな味付けで朝にぴったり。

がぶりといただくと、心地よいサクサクトーストの歯ざわり。あざやかな色合いとは裏腹なやさしい味わいのペーストと、濃厚なアボカドがとけあって心と体に染みわたり、ピンクペッパーが寝起きの頭をピリリと刺激してくれる。リコリッタチーズのクリーミーな風味もソフトなアクセントに。

抹茶ラテ600円。桃色の器と抹茶の緑の対比が華やかでついついカメラを向けてしまう。
抹茶ラテ600円。桃色の器と抹茶の緑の対比が華やかでついついカメラを向けてしまう。

食後には抹茶ラテ600円をいただく。砂糖の代わりの糖蜜がついてくる。

まずはそのままいただくとすっきりした苦みでしゃっきりとした気分に。お次は糖蜜をイン。やわらかい甘みでほっと心がくつろぐ。そう、これはまるで飲む和菓子。

ラテなどに使っているエスプレッソの抽出には、セミオートのエスプレッソマシンを使うそうだ。オートマシンよりも手がかかるし、技術も求められる。それでもセミオートにこだわる理由は、オートでは不可能な微妙な調整によって、焙煎度合いや豆の種類による繊細な違いを表現するためだ。

デザイナーであるオーナーによる多面性のある内装

『フェブラリーキッチン』店内。
『フェブラリーキッチン』店内。

北欧? インダストリアル? そしてシャビ―?

複数のテイストがみごとに調和している内装に気づく。席によって店内の表情ががらりと変わる。

『フェブラリーキッチン』店内。
『フェブラリーキッチン』店内。

「オーナーの本職が洋服のデザイナーで、内装などもオーナーによるものですね。統一感はつまらないという思いから、バラバラな感じを出したそうです。モノトーンに柄物など、いわゆる抜け感を持たせているというか」と店長の佐々木さん。

『フェブラリーキッチン』店内。
『フェブラリーキッチン』店内。

「とにかく自分のやりたいデザインを取り込んでいくんですね。ガラステーブルなんてあまり飲食店では使いたがらないんですが、インパクトは大です」

温かみのある古木が支える大きなガラステーブルの存在感は抜群だ。

繊細なガラステーブルが中央に鎮座しているかと思えば、窓際のカウンターは無骨な板で、打ちつけられたかすがいが剥き出しになっている。

カウンターテーブル。
カウンターテーブル。
黒アイアンのシャンデリア。
黒アイアンのシャンデリア。

インダストリアルな配管と黒アイアンのシャンデリアが奏でる絶妙な空気感に思わずうっとり。

外にはテラス席もあり、座る場所を変えれば何度訪れても新鮮な感覚を持てそうだ。

ナポリタンが自慢のハイセンス喫茶店

特異なセンスで非日常感あふれる『フェブラリーキッチン』だが、佐々木さんが目指すのは、町に馴染み、フラッと入れる「令和の純喫茶」。

「浅草は有名な観光地で、普通の下町とは少し違いますからね。特にここは花やしきや浅草寺にも近いので、お客様も観光客や外国人の方たちが多いです。ですが、そういった人たちだけではなく地元の人たちも気軽に立ち寄れる場所になってほしいんです」と佐々木氏は笑顔で語る。

「メニューも試行錯誤で色々と手を加えてきました。徐々に浅草という場所に合った、喫茶店のようなメニューに変化しています。ナポリタンやプリンがそうですね」

看板メニューでもある東京オムナポリタン1400円はとくに麺にこだわり、製麺を老舗の浅草開化楼に依頼している。2.1㎜〜2.2㎜程のナポリタン専用生パスタを使ったナポリタンはもちっとした食感と歯応えがあり人気だという。

「コーヒーは今、スペシャルティなど、いい豆を浅煎りで淹れるのがはやっています。ただ、そういうコーヒーは個性が強くてあまり料理に合わないですし、毎日飲むとちょっと疲れてしまうと思うんです。だからうちでは少し深めに焙煎したキレのいい、毎日の生活に寄り添うようなコーヒーを提供しています。自家焙煎なんですよ」

『フェブラリーキッチン』では店長やスタッフでコーヒーの焙煎度合いと抽出のバランスなどを実践を交えて常に探求している。

定番メニューのみならず季節ものにも力を入れている。桃とアールグレイプリンや、チーズキャラメルカボチャプリンなど、旬のフルーツや食材を使った季節限定スイーツをシーズンごとに創作する。

観光客にも地元民にも愛される喫茶店を目指す『フェブラリーキッチン』

『フェブラリーキッチン』外観。
『フェブラリーキッチン』外観。

気負った空気はなく、誰もが落ち着いてくつろげる雰囲気。この店を町の一部としたいという佐々木さんの思いが行き届いている。

令和の純喫茶『フェブラリーキッチン』では、コーヒーで一休みしてもよし、季節のスイーツを楽しんでもよし、ナポリタンに舌鼓を打ってもよし。休日の朝はブレックファストメニューでシャキッと体に元気をチャージしてもいい。

飽きの来ないコーヒー&フードの『フェブラリーキッチン』は浅草のマストゴーカフェだ。

住所:東京都台東区浅草2-29-6/営業時間:9:00~17:00LO/定休日:無/アクセス:つくばエクスプレス浅草駅から徒歩6分

取材・文・撮影=かつの こゆき