刺し身に、唐揚げ、お寿司まで。ウマ三昧を国産で!
船橋駅から徒歩4分、京成船橋駅から2分。飲食店がひしめく通りで、なんともファンシーなウマのイラストが出迎えてくれる。ここが、『大衆馬肉酒場 ジョッキー船橋店』だ。言わずもがな、馬肉が食べられる居酒屋である。
今回は数ある馬肉メニューから3品をご紹介。まずは、本日のおまかせ馬刺し盛り(1名盛り)750円を注文。「馬刺しは9割9分くらいの勢いで、お客様からご注文いただきますね」と店長の田中さんは話す。
この日はモモ、ハラミ、中トロ、コウネだった。「味がすっきりしている部位から食べるのがおすすめです」と田中さん。馬刺しは基本的に、皿の右側にすっきりめ、左へいくほど濃いめの部位が並ぶそう。
食べ方は魚の刺し身に近く、馬刺し用の甘めなしょうゆに付けて食べる。
「馬肉好きなお客様は、当店の肉を気に入ってくれることが多いですね」と話す田中さん。居酒屋で提供される馬肉は外国産も多いそう。しかし『ジョッキー』の馬肉は全て、本場・熊本から直送された国産モノだ。
生臭さや水っぽさはなくフレッシュ。また、ほどよい肉目(繊維)や弾力がある。この歯応えが、……なんだか楽しい!
「脂が乗っているので最後に食べてみてください」と教えてもらったコウネは、たてがみの部分。確かに濃厚で、コリコリとした食感だ。クセになるこの味わいに、ハマる客も多いという。
このお店のもう1つの名物、10円ウマから(馬肉の唐揚げ)。「馬肉はやっぱり、生かレアですね」。
そのこだわりは唐揚げにも見られる。この絶妙なレアな揚げ方は、“経験と勘”なのだとか。うん、この歯ごたえも、……やっぱりクセになる。
次は、お寿司を食べてみよう。ヘルシー三貫(ヒレ、ロース、ハラミ)860円を注文。一般的に馬肉は、高たんぱく低カロリーな肉と言われている。そのなかでも、さらにヘルシーな部位として厳選されたのがこの三貫だ。
お寿司専用のしょうゆを、ちょいと付けてパクリ。シャリの酢の加減はひかえめ。だからこそ、肉のほんのりした甘みが生きる。こちらも、すっきりかつ新鮮な『ジョッキー』の馬肉を楽しむのにピッタリなメニューだ。
「平日はビジネスマン風のお客様がメインです。それから、グルメな方も多いですね」と田中さん。そうやってこのお店の馬肉を気に入った客が、「食べてみなよ!」と馬肉ビギナーを連れてきてくれることもあるそう。
カラフルなドリンクに、ちょうちんの灯り。一年中お祭りみたいなお店
野菜の人気メニューは熊本名物、からしレンコン530円。からしの鮮やかな黄色が映える。厚めに切られたレンコンのシャクシャク感に、どんどん箸が進んでしまう。
『ジョッキー』のお酒はホッピースタイル。焼酎をはじめとした中身と割りものを選び、お好みで梅干しなどのトッピングもできる。カラフルな割りものが多いため、ジョッキやビンを写真に収める人も多いらしい。
カウンターのドリンククーラーに入っているのは、色とりどりのビン。天井からは、ちょうちんも下がっている。なんだか縁日に来たみたいだ。
……おや? お店の壁に、なにやらユニフォームが並んでいる。よく見ると、テレビでは野球中継も。
店長の一言で、野球ファンの憩いの場へ
この店内の野球ムードは何なのだろうか?聞いてみると、田中さんは「実は、僕自身がロッテ(千葉ロッテマリーンズ)ファンなんです」と告白。
そういえば先ほど、「馬刺しは9割9分くらいの勢いで、お客様からご注文いただきますね」こんなことを言っていた。9割9分……野球ファンらしい答え方。営業中も、試合の結果が気になって仕方ないそう。
野球シーズンには、試合のテレビ中継を見に来店する客も。球場で試合を見た帰りに立ち寄り、おみやげをくれる客もいるのだとか。いつからそのようなお店になったのだろうか?
「ある日ロッテが試合でひどく負けてしまって、悔しくて。やけになって『今日の試合のチケットの半券を見せてくれたら、ドリンクサービスします』とお店のSNSに書いたんです。そしたらみるみるうちに拡散されて!そこからロッテファンが集まるようになりましたね」なるほど、野球ファンの店長が、野球ファンを呼んだのだ。ときどき、現役の選手やOBも来店するのだとか。
馬肉好きも、野球ファンも集まる、一年中お祭りのような居酒屋。もちろん、シンプルにお酒を楽しみたい人もウェルカムだ。平日は15時から、土・日・祝は昼12時からと早めのオープン。明るいうちからウマい料理とホッピーを並べて、お祭りを始めよう。
取材・文・撮影=aki