みりんの全国生産量トップは千葉県。なかでも、流山はみりんを製造する「流山キッコーマン」の工場があり、みりんの本拠地といえる。それなのに、地元の人でも流山が白みりん発祥の地だと知らない人が多いという。流山の町づくりを進める「ワクリエイション」の代表・手塚純子さんはその現状を知り、『本みりん研究所』を開設。手探りでいろいろなみりん商品を作ってはや7年、仕事の依頼も増えつつあるという。また、地元『窪田酒造』の「流山本みりん」専売店『かごや商店』の店主・金子巌さんも、みりんについて丁寧に教えてくれる。金子さんの願いは、「みりんは流山だよね」と言われる日が訪れることだとか。

2022年8月にオープンした『葉茶屋 寺田園』では、本みりんずくめの御膳やスイーツが好評だ。地元に住むスタッフも本みりんを知らず、実際にここで使ってみりん風調味料との違いに驚いたという。ほかにも和菓子店ではこぼれ梅(みりんの搾り粕)を使ったまんじゅうがあるほか、カフェやベーカリーなどにもみりんを使った商品が並ぶように。“みりんといえば流山”となる日もそう遠くはない!

1.みりんの魅力を再発見しよう

本みりん研究所

流山駅の隣で、みりんの可能性を発信中

みりん商品は『machimin』で日替わり販売中。クッキー、ビスコッティのほか、数量限定のみりんキャラメルは出合えたらラッキー!
みりん商品は『machimin』で日替わり販売中。クッキー、ビスコッティのほか、数量限定のみりんキャラメルは出合えたらラッキー!
佐藤さんはレシピも考案。「もっと意外性のあるみりん商品も考案中です」
佐藤さんはレシピも考案。「もっと意外性のあるみりん商品も考案中です」
みりんをモチーフにしたアクセサリーまで!
みりんをモチーフにしたアクセサリーまで!

『machimin』隣接の白い建物が『本みりん研究所』のキッチン。
発起人の手塚純子さんと調理担当の佐藤恵美さんの2人を中心に、住民が参加型で「みりんでこれできないかな?」という会話から出たアイデアを形にしている。今までに、キャラメル、羊羹、クラフトコーラなどが商品化。もうすぐ食パンも登場!

『本みりん研究所』店舗詳細

住所:千葉県流山市流山1-264 machimin内/営業時間:10:00~16:00/定休日:日(臨時休あり)/アクセス:流鉄流山線流山駅改札隣

2.みりん×地元食材を味わおう

葉茶屋 寺田園

有形文化財を改装した日本茶カフェ

天井の梁や壁などは当時のまま。イスは一脚ずつ異なるアンティーク。
天井の梁や壁などは当時のまま。イスは一脚ずつ異なるアンティーク。
流山みりんのパイ生地シュークリーム682円。日本茶は605円~。
流山みりんのパイ生地シュークリーム682円。日本茶は605円~。
最後の一滴まで注ぐお茶を淹れる所作も素敵。「みりんと出汁で焼き上げた厚焼き玉子のサンドもぜひ」
最後の一滴まで注ぐお茶を淹れる所作も素敵。「みりんと出汁で焼き上げた厚焼き玉子のサンドもぜひ」

TERADAZEN 2023 1540円

砂糖の代わりにみりんを用い、油も一切使っていない。蒸し野菜を付けて味わうみりんの甘酢あんや、みりんとみりん粕で造った白和えなど芳醇な麹の香りとやさしい甘みが秀逸で、汁椀もほんのり甘い仕上がり。ひと口菓子付き。

乾物やお茶の店として使われていた築133年の建物を改装。メインは日本茶だが、料理やスイーツには白みりんが取り入れられている。流山の3種類のみりんを料理に合わせて選び、そのまま使うだけでなく、さっと煮切ったり、煮詰めたりすることで味わいを調整しているという。料理によって異なる甘みや香りの変化を堪能できる。

『葉茶屋 寺田園』店舗詳細

住所:千葉県流山市流山2-101-1/営業時間:10:00~16:30LO(夜は完全予約制の『葉茶屋dinning』として営業)/定休日:月(祝の場合は営業し、翌火)/アクセス:流鉄流山線流山駅から徒歩7分

3.みりんについて、より深く学ぼう

かごや商店

「流山本みりん」が買えるのはここだけ

こぼれ梅(300g)324円(左)。みりんゼリー(オリジナル/こぼれ梅入り)各300円。販売はここだけ。
こぼれ梅(300g)324円(左)。みりんゼリー(オリジナル/こぼれ梅入り)各300円。販売はここだけ。
こぼれ梅マーム129円。シナモン風味のしっとりクッキー。
こぼれ梅マーム129円。シナモン風味のしっとりクッキー。
現在は予約制で販売中。流山本みりんは予約が落ち着いたら店頭でも購入可だ。マンジョウ印の本みりん(左)も扱う。
現在は予約制で販売中。流山本みりんは予約が落ち着いたら店頭でも購入可だ。マンジョウ印の本みりん(左)も扱う。
金子さんは流山本みりんの宣伝担当でもある。「みりんのことなら何でも聞いてください!」
金子さんは流山本みりんの宣伝担当でもある。「みりんのことなら何でも聞いてください!」

3代目となる金子巌さんの母が地元で顔が広く、昔からの縁もあり、『窪田酒造』の「流山本みりん」の専売店になることに。江戸時代の製法を取り入れ、火入れ以外はほぼ手作業で造られているため、「こぼれ梅」と呼ばれるみりん粕も店頭に並ぶ。金子さんの愛情あふれるみりん話を聞けば、ぜひ本物を味わってみたいと思うはずだ。

『かごや商店』店舗詳細

住所:千葉県流山市加5-1708/営業時間:9:00~19:00/定休日:水/アクセス:流鉄流山線流山駅から徒歩14分

取材・文=井島加恵 撮影=山出高士
『散歩の達人』2023年4月号より