旬の野菜やハーブを使用するベトナム料理
野菜やハーブをふんだんに使った料理が並ぶ『Raindrop』。この店では、全国各地から旬の食材が届けられているので、おいしさはピカイチ。店長の駒井俊紀さんは「パクチーが苦手なお客様が、『この店で初めてパクチーをおいしいと思いました』といってくれたことがありました」。それだけ良質で新鮮なものが使用されているという証だろう。さらにシソやミョウガ、漬け物など、日本ならではの食材を料理に使っているので、馴染みやすい料理になっているという。
店舗は2階にある。階段の天井には、ベトナムを意識したかランタンの装飾が施してあり、ムードを盛り上げてくれる。
広々とした店内はすべてステンレス製のテーブル席で、壁に作られた棚にはボトルワインが並ぶ。なんだか、かわいらしくもあり、異国情緒を感じる。
駒井さんは「ランチタイムは女性客が多いですが、ディナータイムはご夫婦やカップルが多いです」と話してくれた。
ヘルシーでおいしいベトナム料理と、店内の雰囲気。たしかに女性に好かれそうだ。
アサリの出汁が効いた食べやすい薬膳鍋
この店一番のおすすめが牛タン薬膳鍋1人前2400円(注文は2人前~)。薬膳鍋はベトナムでは通年食卓に並ぶ伝統的な料理だ。薬膳鍋というと香りや味が刺激的でちょっと敬遠してしまう人もいるだろうが、この店では大丈夫。八角やシナモン、コリアンダーなど、薬膳ならでのは香辛料が使われているが、ベースとなるのはアサリの出汁なので、薬膳特有のクセはあまりなく、スパイシーながらも滋味深く仕上がっている。
熱々のスープで薄切りの牛タンをサッと煮込んで食べれば、サクッとした食感が心地いい。ほのかに感じるスパイスが食欲を増進させ、2人前200gという牛タンはアッという間になくなってしまう。
野菜やキノコ類は2人前だとざるいっぱいに盛られている。タレの薬味としてパクチーや長ネギ、ショウガのほか、エビ風味の食べるラー油・サテソースやごま油などもあるので、味変を楽しみながら食べ切ってしまった。
締めには、香りがいいタイ米の一種・ジャスミンライス250円~での雑炊や、フォー同様に米粉で作った麺のブン250円を注文しよう。
生春巻きやバインセオなど、ベトナム定番の一品料理を
ベトナム料理といえば忘れられないのが生春巻き。この店では数種類あるが、なかでも人気なのが「エビとお野菜・しば漬けの生春巻き」450円。ライスペーパーで巻かれた生春巻きはエビや濃いピンクのしば漬け、野菜などが透けていて美しい見た目だ。
ひと口食べると、エビのプリプリ感と、しば漬けの酸味がある。なにか今まで食べた生春巻きとは違い、物足りなさがなかった。駒井さんに聞くと「生春巻きには生野菜ではなく、酢漬けにしたなますを使っています」とのことだった。さらに大葉も使われているので、爽やかながらも味のしっかりとした生春巻きを食べることができる。
ベトナム風のお好み焼きバインセオも、現地ではお馴染みの料理。海鮮たっぷりバインセオ1680円は、皮の中にはエビやタコ、イカなどがメニュー名どおりたっぷりと入っている。シャッキリとしたモヤシと玉ネギもアクセントになり、ヌクマム(魚醤)につけて食べれば、魚介の風味がさらに広がり、さっぱりと食べることができる。
辛さや甘辛さ、酸味など、自分好みにカスタマイズ
卓上には各種調味料が置かれている。
コショウのほか、ほんのりと甘みを感じるシラチャーソース(チリソース)、コクのある甘さのブラックスイートソイソース、ピリリとした辛さがある唐辛子のオイル、さっぱりとした甘酸っぱさがあるニンニク酢がある。
駒井さんは「料理は全体的に優しい味わいに仕上げています。各種調味料で自分好みにしてみるのも楽しいですよ」と話してくれた。
ベトナム料理にはベトナムのお酒を
これだけの料理がそろっているのならば、お酒と一緒に味わいたい。どうせならベトナムゆかりのアルコールを合わせよう。
ベトナムのビール「333(バーバーバー)」は、スッキリとした味わい。「サイゴンスペシャル」各750円はフルーティーさがある味わいが特徴。どちらもそうだが、ベトナムのビールは全体的にライトな飲み口になっている。
ベトナムでよく飲まれているワインはオレンジワイン(グラス700円~)。オレンジで作ったワインではなく、白ワイン用のブドウを皮を取らずに醸造している。色合いがオレンジ色に見えることから名が付いたという。ここでは常時6種類ほどのオレンジワインがあるので、スタッフと相談しながら飲んでみるのもいいだろう。
ランチタイムでお得に食事を
ランチタイムならば、「鶏肉のフォー」や「豚肉の生姜焼き つけ麺 ブン・チャー」各780円など、リーズナブルにベトナム料理が楽しめる。
ちなみにブンとはフォーと同様、米粉で作った麺のこと。フォーは包丁で切って麺にするが、ブンは機械を使って生地を押し出して製麺にしているという。
「牛肉のせ和え麺」880円は、冷たいブンの上に炒めた牛肉のほか、なますやミョウガ、パクチーなどがのっている。ここに鶏と牛で取った温かいスープを入れて、思いっきりかき混ぜて食べる。ハーブの香りとシャキシャキとした食感、プルッとした歯ごたえのブンがよく合い、甘辛く炒めた牛肉がアクセントになる。調味料を加えて好みの味に仕上げるのもいい。
おいしいベトナム料理を探しだそう
駒井さんは「メニュー名だけでわからないときはスタッフにお聞き下さい。おいしいベトナム料理はいっぱいあります。一人でご来店いただいても、いろいろな料理が食べられるように量を調整しますよ」と話してくれた。
生春巻きやフォーは、今では多くの人が知っていると思うが、まだまだあるおいしいベトナム料理がたくさんあった。薬膳鍋や一品料理をオレンジワインとともに楽しんでみたい。
取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン