黄色い壁に映える「生姜醤油ラーメン」の看板

店名が書かれた大きな暖簾(のれん)が目を引く。
店名が書かれた大きな暖簾(のれん)が目を引く。

大森駅東口のアーケード商店街「大森銀座商店街」を抜けた先にある『中華そば 結。』。黄色い壁が印象的で「生姜醤油ラーメン」と書かれた看板がかかる。
店内はカウンター席のみのこぢんまりとした造りだが、落ち着いた佇まいがあり、じっくりとラーメンが食べられそうだ。
入り口近くにある券売機には「醤油ラーメン930円」とあるが、これが長岡風ラーメンのこと。さっそく購入することにする。

ショウガの香りが食欲を誘う

チャーシューやメンマなど具だくさんの醤油ラーメン。
チャーシューやメンマなど具だくさんの醤油ラーメン。

しばらくしてラーメンが出されると、ショウガの香りが鼻をくすぐり、食欲が湧いてくる。

スープは、大量の豚ゲンコツと背ガラ、羅臼昆布、干しシイタケの出汁、最大の特徴であるショウガを加えて時間をかけてゆっくりと作るため濁りがない清湯に仕上げる。厳選した4種類の醤油、旨味が濃縮した黒みりんを加え、チャーシューの煮汁を加える。ひと口飲んでみると、ショウガのしっかりとした爽やかさとともに、豚骨をはじめとした出汁の旨味が広がってくる。

麺はスープのインパクトに負けない、特注の多加水縮れ麺。小麦の風味が感じられ、モッチリとした食感がたまらない。

取材時はちょうどチャーシューを仕込んでいた。大量のチャーシューは大迫力。
取材時はちょうどチャーシューを仕込んでいた。大量のチャーシューは大迫力。

口の中でほろりとほどけるチャーシューも絶品。この仕上がりになるためにはかなりの手間暇がかかるという。店長の中村耕市さんによると「肉が固くならないように1時間ほどじっくりと時間をかけてスープで煮ます。さらに醤油と黒みりんで味がしっかりと染み込むように約50分煮込みます。その後、火を止めて2時間寝かせることによって味を落ち着かせます」と話してくれた。3枚のチャーシューがすぐになくなってしまうほどの旨さだ。

店主が語るラーメンへの情熱

スープは丁寧に漉すことで、最良の状態を保っている。
スープは丁寧に漉すことで、最良の状態を保っている。

たまたま店舗を訪れていた店主の中島幹尚さんに話しをうかがうことができた。
長岡ラーメンに惚れ込んだ理由を聞いたところ「長岡に遊びに行った時に食べて、おいしかったのでぜひ自分で作りたいと思いました。ただマネするのではなく、自分なりにアレンジをし、あえて本場よりショウガの風味が強く出るようにしています」と話してくれた。
また、「ラーメンのレシピは必ずこれをしなければいけないという正解はないですよね。だから自由な発想で表現できるのです。インスピレーションでさまざまなラーメンが生まれます。ショウガラーメン専門店の『中華そば 結。』のほか、煮干しラーメン専門店の新丸子『麺や でこ』、味噌ラーメン専門店の『九段下 中路』とコンセプトを変えたラーメン店を展開しています」。
スープは注文があるたびに小鍋で温めて提供している。これについては「スープをずっと火にかけていると、濃度や風味が変わってしまいます。これを防ぐためにでき上がったスープを漉して、専用の機械で冷やし、注文ごとに温めています。さらに定期的に濃度計で確かめ、常に一定の味を保つようにしています」と話してくれた。
ラーメンに賭ける並々ならぬ情熱を感じた。

ショウガが効いた塩ラーメンや限定メニュー。いろいろと食べてみたい

厨房が大きく取られて店内。カウンター席だけだが広々としている。
厨房が大きく取られて店内。カウンター席だけだが広々としている。

醤油ラーメン同様に、ショウガの風味がいい塩ラーメンもおすすめ。厳選した4種類の塩とともに、煮干しやシジミ、羅臼昆布の出汁が加わった一品。ほかにも、まぜそばやつけ麺なども好評。さらには、約1ヶ月ごとに季節の素材を組み合わせた限定メニューも登場する。
中村さんは「地域密着のラーメン店なのでリピーターが多いため、さまざまな限定メニューを提供しています。なるべく1ヶ月間提供したいのですが、人気のラーメンですと早く販売終了となってしまいますので、お早めにお試し下さい」と教えてくれた。

醤油ラーメンは、ショウガのインパクトが最後まで効いていて、体がポカポカしてくる。また醤油ラーメンも食べたいし、ほかの定番メニューも気になる……。う~ん、限定メニューも気になるし、これはしばらく通ってしまいそうだ。

「また食べたいと思える味を提供します」と店長の中村耕市さん。
「また食べたいと思える味を提供します」と店長の中村耕市さん。
住所:東京都大田区大森1-26-5 浅野ビル 1F/営業時間:11:30~14:30・17:30~21:30(土の昼は~15:30。日・連休最終日は11:30~15:30・17:30~21:00)/定休日:不定/アクセス:JR京浜東北線大森駅から徒歩6分、または京浜急行大森海岸駅から徒歩10分

取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン