「呼び込み君」と呼ばれる理由とは?

これが単なる録音再生機ではなく「呼び込み君」と呼ばれる理由、それはかわいらしい顔が描かれ、両手を広げたポーズを取るキャラクターとして作られているからだ(顔の部分は販促メッセージが書かれたプレートに変更も可能なのだが、利用されているのを殆ど見かけないことから、多くの人はやはりキャラクターとして扱っているのだと思われる)。商品棚に置かれ、客に愛される姿を想定しての造形であろう。

ところが街のスーパーを眺めてみると、このかわいらしい呼び込み君が、なんとも無体な扱いを受けていることが多いのだ。一日中軽快な音楽と販促メッセージを再生し続ける、働き者の呼び込み君。この呼び込み君の地位を向上すべく、街に生息する呼び込み君の実態を追ってみたいと思う(なお、多くのスーパーでは店内撮影禁止のため、状況はイラストで再現する)。

手を忘れられた呼び込み君

圧倒的に多いのが、両手部分が取り付けられていない状態の呼び込み君である。確かに手を広げたデザインは場所を取る。だからといって、呼び込み君のチャームポイントである「ウェルカムのポーズ」を失わせてしまっても良いものだろうか。各スーパーに再考を促したいところだ。

両手が装着されていない呼び込み君。スーパーKでは、その上額に札が貼られていた

顔が変わってしまった呼び込み君

次に、顔が変えられているパターン。スーパーCでは、店のキャラクターである少年にチェンジされていた。呼び込み君の顔部分に貼り付けられた少年は両手を広げており、そうなると呼び込み君本来の両手部分を装着しない方が都合が良さそうだが、そもそも顔を変えられたこのキャラクターを「呼び込み君」と呼んでもよいものなのか、アイデンティティとは何なのかを考えさせられる一台だ。また、合羽橋の屋外に設置されていた呼び込み君も、見事に河童に変身させられていた。

スーパーCの、少年の顔が付けられた呼び込み君。これはもはや呼び込み君ではないのかも知れない
かっぱ橋の屋外に設置されていたかっぱ呼び込み君。割と凝った作りになっている(2020年)

簀巻きにされてしまった呼び込み君

これまで発見した呼び込み君の中で、最も悲惨な状況に置かれていたのは、スーパーOの鮮魚コーナーであった。その日のお値打ち品を繰り返し宣伝する呼び込み君は、棚の下にコードでグルグル巻きにされて横たわっていた。そもそもそんな状態で使って良いのか(恐らく棚下の高さ的に、立てて置くことができなかったのだと思われる)心配になるし、何より不穏な雰囲気に溢れている。一刻も早く救助したいところであるが、私にはどうすることもできない。そのスーパーに行くたびに、私はもどかしい気持ちに苛まれる。

スーパーOの緊縛呼び込み君。早く救出してあげたい。

このような呼び込み君であるが、最近では認知度も高まり、ミニチュアがカプセルトイになるとの情報もある。今後、より多くの人が呼び込み君に注目し、スーパー内での地位向上がなされるように願っている。

イラスト・写真・文=オギリマサホ