店長の作り上げるあたたかい空間
ブルーグレーの扉を開くと、思ったよりも広々とした店内に、形の違う椅子やテーブルがセンスよく並ぶ。店の真ん中にある木のオブジェが特徴的だ。
「内装は全部自分たちでやってるんです」と、店長の上田さん。2013年の開店に合わせて全体をリフォーム。その後もカウンターの位置を何度も変えたり、倉庫だった2階を改装して店舗にしたりと数多くのリノベーションをしてきた。DIYとは思えない出来栄えだ。
だけど、どことなく手作りのあたたかさを感じて、なんだかほっとする。それがこの店の魅力だと感じた。
毎日約200個使用!食べ比べて選んだ深谷の卵
この店の看板商品といえば、プリンとオムライス。どちらも卵を必要とするメニューだ。一日の使用量を聞いてみたところ、なんと約200個! オムライス1皿につき、3個以上使うというのだから納得もするが、それにしてもすごい量だ。卵はすべて深谷産のものを使用している。
10軒以上の養鶏所を食べ比べて選んだ卵で、味のバランスと鮮度の良さで決めたという。また、作っている人の顔が見えることも安心材料だ。
特製プリンは、ちょっと硬めで懐かしい味
ちょっとレトロな高足の銀食器。カラメルシロップの中から、生クリームとイチゴ、アイスクリームののったプリンが顔を出しているのがかわいい。
プリンをすくってみると、少し硬めの手応えがあった。最近、このタイプのプリンは食べていなかったかも……。と思う。
一口食べると、コクのある卵の風味にカラメルソースの苦味と甘み。そして、溶けるような食感のプリンでは得られない、存在感のある硬さが絶妙だ。生クリームとアイスクリーム両方が付いてくるのもうれしい。
丁寧に描くラテアート。毎回変わる絵柄にも注目!
ラテアートも上田さんが担当。丁寧に描いていくのを見るのは楽しかった。
開店前に1年ほどカフェで働いたことがあり、コーヒーの淹れ方はそこで教わった。しかし、スイーツや料理のメニューは、開店してから独学で作れるようになったという。
今では毎朝、4〜8種のスイーツをスタッフと一緒に作っていて、この日はショートケーキやレモンタルト、レアチーズケーキなどがショーケースに並んでいた。
「だんだんうまくなりました」と上田さんは笑う。
たくさんの人が集い、世界が広がるような店にしたい
店の真ん中に堂々と立つシンボルツリーは、最近花屋さんに作ってもらったものだ。
「店内に森を作りたくて」
何かと騒がしい昨今。森の中にいるときのように、少しでも心を休めてほしい。そして、この木のもとで多くの人が出会い、一人ひとりの世界が広がるような店でありたい。そんな願いが込められていると話していた。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ