「高円寺ばか踊り」から関東一の阿波おどりへ

きっかけは1957年8月、現・高円寺パル商店街振興組合の青年部の誕生だった。ちょうどそのころ、お隣の阿佐ケ谷ではすでに七夕祭りが行われていて、人々は娯楽を求めて阿佐ケ谷に集まった。阿佐ケ谷のにぎわいを見た青年部の人たちは「高円寺でも自分たちの街にふさわしい行事を」と奮起。広い場所を必要としない阿波踊りを始めることになった。とはいえ、最初は本場の阿波踊りとはほど遠く、「高円寺ばか踊り」として商店街を踊り歩いた。

その後、いつまでもばか踊りではいけないと、メンバーが阿波踊りの師匠を探し始めた。1961年、徳島新聞社を通じて、徳島県人会で結成された木場連と出会い、阿波踊りの手ほどきを受けることに。これにより、技術がぐんぐん向上し、1963年には正式に「高円寺阿波おどり」と名乗るようになった。

今では関東一の規模を誇る阿波おどりへと成長し、毎年約1万人の踊り手と約100万人の観客で盛り上がる。また、高円寺の名を背負って一年中活動している高円寺阿波おどり連協会に所属している連が31連、所属はしていないものの地元連として認められている連が12連あり、高円寺ブランドを確固たるものにしている。

演舞場によっても魅力が異なる!

2026年は、本場徳島からの3連を含む、2日間で166連、のべ1万600人の踊り手が参加。会場は中央演舞場をメイン会場とした例年の8演舞場に加え、9つめとなる新たな演舞場「公園前演舞場」が誕生する。南口にある中央公園前の通りが演舞場となり、高南通りの演舞場から逸れた場所にあるので、比較的ゆったりと見られる可能性が高い。

実は演舞場によって演出や見どころが異なる。高南通りにある中央演舞場、桃園演舞場、みなみ演舞場は道幅もあり、フォーメーションを変えながら踊りを展開していくので見応えたっぷり。「ほかにも北口のひがし演舞場は100mもない短い通りなので全力の踊りが見られます。純情演舞場は狭い純情商店街を抜け広い駅前に出る際に、連がどんどん広がっていくのに注目。パル商店街やルック商店街の演舞場は、商店街の中で横広がりになれないため、縦2~3列で踊ります。狭いゆえに盛り上がり方がすごくて、お客さんも一体感が味わえます」と教えてくれたのは東京高円寺阿波おどり振興協会の井上さん。

横いっぱいに広がって踊る中央演舞場。連によっては100人を超す連もあり、迫力満点の踊りが楽しめる。
横いっぱいに広がって踊る中央演舞場。連によっては100人を超す連もあり、迫力満点の踊りが楽しめる。

さらに、「座・高円寺」や「セシオン杉並」といったホールでは、昼間に舞台公演も行われる。これらの会場では照明や音響にこだわり、舞台ならではの表現、舞台用の構成を披露する。通りで踊るのとはまったく違った表現ということなので、こちらもお見逃しなく(観覧にはチケットが必要)。「どの演舞場・会場でも楽しく見られると思います。高円寺の阿波おどりは近隣のみなさんの協力あって開かれるイベント。どうかルールを守って最後まで見ていただけれたら」と井上さん。2日間、熱気に包まれる高円寺の街を楽しもう。

開催概要

「第67回東京高円寺阿波おどり」

開催期間:2026年8月29日(土)・30日(日)
開催時間:17:00~20:00
会場:高円寺駅南北商店街、高南通り(東京都杉並区)
アクセス:JR中央線高円寺駅、地下鉄丸ノ内線新高円寺駅すぐ

【問い合わせ先】
東京高円寺阿波おどり振興協会☎03-3312-2728
URL:https://www.koenji-awaodori.com/

 

取材・文=香取麻衣子 ※写真は主催者提供