広がる! 子供のためのアートの世界
チェコでは伝統的な木のおもちゃの簡潔で象徴的な造形が、近代以降のアーティストたちにとって創作の源泉となってきた。戦後、工業化の進展によって合成樹脂やプラスチックなどの新素材が導入されると、おもちゃの表現やあり方にも大きな変化が生まれたという。こうした動きのなかで、工業デザイナーとしてファトラ社などで活躍したのが、リブシェ・ニクロヴァー(1934~1981)だ。ゴム製のおもちゃ、空気で膨らむおもちゃ、音の出るおもちゃなど、素材の柔軟性や弾力性を生かした作品は、いまやチェコ・デザインを代表する存在になっている。
広報担当者は「チェコを代表するプロダクトデザイナー、リブシェ・ニクロヴァーを紹介する国内初の展覧会です。美的感覚と遊び心にあふれたニクロヴァーの多数の作品を通して、プラスチックが夢の素材だった時代を振り返ります。あわせて現代チェコの木のおもちゃや、チェコで大切にされてきた子供のための絵本、そしてニクロヴァーの息子ペトル・ニクルの現代アートまで紹介。世代を越えて受け継がれてきた、チェコの子供のためのアートとデザインを満喫できます」と見どころを語る。
どこかレトロ感が漂いつつも、観る人の心を掴んで離さない。そんなチェコ・デザインの魅力に触れる絶好の機会となりそうだ。
ニクロヴァーのおもちゃに実際にさわれるコーナーも
ニクロヴァーのおもちゃや試作品を通して、プラスチックが「夢の素材」として捉えられていた時代を振り返る本展。あわせて、モダン・デザインの先駆者ラジスラフ・ストナル(1897~1976)、デザインブランド〈tititi〉を手がけるテレザ・タリホヴァー(1977~)をはじめとする作家たちの作品やディアコニエ社による木のおもちゃも紹介される。さらに、ニクロヴァーの息子である現代美術作家ペトル・ニクル(1960~)が手がけた人形劇のパペットや絵本など、その創造的世界の広がりにも迫る。
注目は、ニクロヴァーのおもちゃに実際にさわることのできるコーナーだ。観るだけでなく実際にその質感を体感できる。世代を超えて受け継がれてきた、チェコにおける子供のためのアートの世界を存分に堪能しよう。
開催概要
「チェコのおもちゃとデザイン―ニクロヴァーのプラスチック・トイから現代作家のアートまで―」
開催期間:2026年7月18日(土)~9月23日(水・祝)
開催時間:9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(8月10日・9月21日をのぞく)
会場:群馬県立館林美術館(群馬県館林市日向町2003)
アクセス:東武鉄道伊勢崎線多々良駅から徒歩20分
入場料:一般850円、大学生・高校生420円、中学生以下、障がい者手帳をお持ちの人と付添1名は無料。
※群馬県在住の65歳以上の人は平日2割引き。
【問い合わせ先】
群馬県立館林美術館☏ 0276-72-8188
公式HP:https://gmat.pref.gunma.jp/
取材・文=前田真紀 画像提供=群馬県立館林美術館






