飯出敏夫(いいで としお)

温泉の取材・執筆に特化して約40年。近年のテーマは「山と温泉」で、『温泉百名山』『日帰りで登れる 温泉百名山』(ともに集英社インターナショナル)を上梓。温泉達人コレクションhttp://onsen-c.comを発信中。

高峰温泉『ランプの宿 高峰温泉』開放的な絶景野天風呂が爽快【小諸市】

館主の後藤英男さん。
館主の後藤英男さん。
人気の「標高2000m 雲上の野天風呂」は宿泊客専用。遠く中央アルプスまで視界に入る絶景を望む。
人気の「標高2000m 雲上の野天風呂」は宿泊客専用。遠く中央アルプスまで視界に入る絶景を望む。
日帰り入浴ができるのは1階にある「ランプの湯」。
日帰り入浴ができるのは1階にある「ランプの湯」。

長野・群馬の県境付近に広がる、高峰高原の稜線上に立つ一軒宿。宿前まで公共交通で行ける高所温泉として屈指の存在だ。星の観望会(中止の場合はスライド上映)、池の平湿原ツアーなど、独自のサービス企画も好評。

住所:長野県小諸市高峰高原704-1/アクセス:北陸新幹線佐久平駅からバス(一日2便)1時間10分の高峰温泉下車すぐ

奥蓼科温泉郷『渋御殿湯』宿泊客専用の足元湧出泉が人気【茅野市】

奥蓼科温泉郷の最奥に位置し、武田信玄の隠し湯、諏訪歴代藩主愛用の「御殿湯」と呼ばれた古湯。浴場は東の湯(宿泊客専用)と西の湯(日帰り利用も可)の2カ所。渋長寿湯は東の湯の男湯のみが足元湧出泉だ。

住所:長野県茅野市北山5520-3/アクセス:JR中央本線茅野駅からバス(土・日曜・祝日と8月1~30日運行、一日2便)58分の渋の湯下車すぐ

稲子湯(いなごゆ)温泉『稲子湯旅館』北八ヶ岳登山口に湧く希少な泉質の湯【小海町】

公共交通利用では、最もバスの本数が多い北八ヶ岳の登山口に位置する一軒宿。風呂は小ぶりの男女別内湯のみ。自然湧出の豊富な源泉が湯口にあふれ、ぬる湯の入浴は下山後のクールダウンに絶好である。

住所:長野県小海町稲子1343/定休日:不定(要確認)/アクセス:JR小海線小海駅からバス40分~1時間(経路による)の稲子湯下車すぐ

鹿塩温泉『湯元山塩館』加温と源泉浴槽で体感する濃厚な塩湯【大鹿村】

館主の平瀬定雄さん・恭子さん夫妻。
館主の平瀬定雄さん・恭子さん夫妻。
窓の緑が目に沁みる石湯。手前が約30度の源泉浴槽。
窓の緑が目に沁みる石湯。手前が約30度の源泉浴槽。

中央構造線が貫く秘境の山間に濃い塩湯が湧き、ここでは温泉を煮詰めて製造する伝統の山塩を復活させた。浴場は男女交替制の天然石風呂と石湯の2カ所。双方に加温適温と源泉浴槽があり、温冷交互浴が堪能できる。

住所:長野県大鹿村鹿塩631/アクセス:JR飯田線伊那大島駅からバス40分の鹿塩下車、徒歩10分(鹿塩バス停から送迎あり、要予約)

唐沢温泉『唐沢鉱泉』適温とぬる湯の浴槽に注ぐ自噴の炭酸泉【茅野市】

女将の両角(もろずみ)美喜子さん(左)と若女将の亜希子さん。
女将の両角(もろずみ)美喜子さん(左)と若女将の亜希子さん。
男女ともほぼ同じ造り(写真は男湯)で、中央は源泉を引く湯口。
男女ともほぼ同じ造り(写真は男湯)で、中央は源泉を引く湯口。
名物の特注料理「猪鍋」は2人前6600円~。
名物の特注料理「猪鍋」は2人前6600円~。

北八ヶ岳山麓では、最も施設の整った観光客向きの一軒宿。豊富な湯量の自噴泉を引いた浴槽は男女とも豪壮な古代杉造りで、中央で仕切る2つの湯船は約41~42度と約35~38度に加温。冷たい源泉打たせ湯もある。

住所:長野県茅野市豊平4733-1/アクセス:茅野駅から車40分(宿泊客のみ送迎あり、要予約)
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じっくりの秘訣は、ぬる湯と温冷交互浴

信州には気温や湿度の高い日におすすめの、じっくり浸かりたい温泉がある。キーポイントは、ぬる湯。それも、低温の源泉浴槽と加温浴槽を備えていて、温冷交互浴が楽しめれば最高だ。というわけで、高峰温泉、稲子湯温泉、奥蓼科温泉郷の渋御殿湯、唐沢温泉、鹿塩温泉の代表格5湯を取り上げた。

高峰温泉は、小諸市高峰高原の稜線上にある温泉だ。標高約2000mの高所に位置し、それだけでも冷涼な環境なのに、さらに高峰渓谷から吹き上げる涼風が加わり、通常は25度以下という爽快さだ。風呂は加温適温と約35度の源泉浴槽があるランプの湯、湯船の底に隙間を作って加温浴槽の湯が流れ込むので、約38度ある展望風呂の内湯2カ所は温冷交互浴が堪能できる。そして極め付きは絶景とともに楽しむ「標高2000m 雲上の野天風呂」である。

稲子湯温泉の標高は約1500m、公共交通利用ではもっとも便利な北八ヶ岳登山口にある。ここには源泉と加温浴槽はないが、蛇口をひねると源泉温度8.1度の冷鉱泉が注ぎ、自分好みのぬる湯にできるのが魅力だ。硫黄を含んだ二酸化炭素泉という希少な泉質で、口に含むとサイダーのような清涼感が味わえる。

標高1880mに位置する奥蓼科温泉郷『渋御殿湯』は、北八ヶ岳の登山口に位置する。約27度の渋御殿湯源泉と足元湧出泉の約31度の渋長寿湯源泉があり、宿泊客専用浴場では、この2種類の源泉浴槽と渋御殿湯の加温浴槽に入浴できる。

唐沢温泉の標高は1870m、奥蓼科温泉郷からは徒歩約1時間の距離にあるが、車道は天狗岳登山口のここで行き止まり、という秘湯。すぐ近くで自然湧出する源泉は10.2度の冷鉱泉。これを湯船では適温とぬる湯に加温し、冷たい源泉は打たせ湯で楽しめるという趣向である。

信州の秘境・大鹿村にある鹿塩温泉は、元々この地で岩塩が採掘されたのが始まりで、南アルプスの登山口として親しまれてきた。源泉は12.1度の硫黄を含んだ強塩冷鉱泉。風呂は加温と源泉浴槽があり、仕切りの壁からの熱伝導で温まった源泉浴槽の湯温は約30度。標高は約750mだが、朝晩の涼しさは格別だ。

5湯とも登山口にあるので、下山後に入浴してクールダウンと筋肉疲労回復を図れば、より深くこれらの温泉の魅力を実感できるはず。まさにじっくり魅力が倍加する5湯といえよう。

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文・写真=飯出敏夫
『旅の手帖』2026年8月号より