印象派をはじめとする新たな芸術はどのようにカフェで生まれたのか?
19世紀後半に芸術家たちが集った“カフェ”で行き交った創造について着目した本展。登場する“カフェ”とは、酒を含めて飲食する場としてのカフェをはじめ、飲食に加えて演者による大衆的な歌やトークを楽しむことができる「カフェ=コンセール」、「ガンゲット」(飲食に加えて、客が参加する形で踊る場所)、「キャバレー」(カフェ=コンセールから派生し、芸術的な活動が展開されるようになった場所)を総称する広い意味で捉えている。
印象派からゴッホ、ロートレック、ナビ派、ピカソまで、芸術家が “カフェ” という場からどのように触発され、作品を生み出したのか。当時芸術家たちをつなぐ重要な場を担っていたカフェで繰り広げられた、交友や関係性を掘り下げた内容となっている。
「カフェ・ゲルボワ」でのマネと印象派の交流に注目
特に本展では、集いの場となった「カフェ・ゲルボワ(Café Guérbois)」に注目。このカフェは、付近にアトリエがあったマネを筆頭に、後に印象派と呼ばれた若き芸術家や、新進気鋭の文学者が集う場だった。
ドガ、ルノワール、ゾラ、セザンヌ、シスレー、モネ、ピサロといった錚々たる面々が議論を交わしていたとされ、モネは後年、「際限なく意見を戦わすこうした『雑談』ほどおもしろいものはなかった。そのおかげで、我々の感覚は磨かれ、何週間にもわたって熱中することができ、そうして意見をきちんとまとめることができた。我々は考えをもっとわかりやすく明確にし、意志をさらにしっかりと固めて、そこから立ち上がることができたのだ」とインタビューの中でも語っている。
さらに、1897年に開店したバルセロナの「クアトラ・ガッツ(Quatre Gatz、四匹の猫の意)」にも焦点を当てる。「クアトラ・ガッツ」とはカザス、ルシニョル、ウトリーリョ、ロメウの4人からなる芸術家グループの名前でもある。彼らバルセロナの近代芸術運動(ムダルニズマ)の芸術家が出資し、全く新しいカフェを目指した。この店に通い、カザスらの展示を観ることでピカソはパリへ赴く決意を固めたとされる。
このクアトラ・ガッツのメンバーであるラモン・カザス作《マドレーヌ》が35年ぶりに来日するのも本展の大きな見どころになっている。
日にち限定で夜間も開館される本展。夜間開館時間(18~20時)限定で、少し大人向けの“カフェ”にまつわる裏話も披露されるという。興味のある方は、夜間開館を狙ってみてはいかがだろう。
開催概要
「“カフェ”に集う芸術家―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで」
開催期間:2026年6月13日(土)~9月23日(水・祝)※8月4日(火)以降一部展示替え
開催時間:10:00~18:00(ただし金・第2水・7月25日〈土〉・9月19日〈土〉~23日〈水・祝〉は~20:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし祝の場合とトークフリーデー6月29日・7月27日・8月31日は開館)
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
アクセス:地下鉄千代田線二重橋前〈丸の内〉駅から徒歩3分、地下鉄日比谷駅から徒歩3分、JR東京駅から徒歩5分、地下鉄丸ノ内線東京駅から徒歩6分、JR・地下鉄有楽町駅から徒歩6分
観覧料:一般2300円、大学生1300円、高校生1000円、中学生以下無料
※障害者手帳をお持ちの人は半額、その介護者1名は無料。
【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP https://mimt.jp/ex_sp/cafe/
取材・文=前田真紀 画像提供=三菱一号館美術館、公益財団法人ひろしま美術館






