「あそび」の感覚から生まれた「全仕事」を紹介

Photo by Masataka Nakano。
Photo by Masataka Nakano。

2016年から各地を巡回し、話題を集めた「イラストレーター 安西水丸展」。2026年5月20日から『PLAY! MUSEUM』で開催される本展は、新たな展示を加えての再始動となる。

イラストレーターという枠にはまることなく、小説、漫画、絵本、エッセイや広告など、多彩な創作活動で時代の第一線を歩み続け幅広く活動した安西水丸。都会的で洗練されたタッチが支持されるとともに、シンプルながら誰にも真似することのできない独特の存在感がある。

生前、安西は自身のことを「今でも小学生の絵を描いている、普通の人」とあらわし、「仕事」と「あそび」を行き来しながら制作を続けたという。『PLAY! MUSEUM』ではその仕事のスタイルに着目し、安西にとって描くことの原点だった「あそび」の感覚をたどりながら、彼の「全仕事」を印刷物、原画、版画、関連資料約400点以上で紹介する。

また、安西がしばしばイラストレーションの中に取り入れた、画面を横切る一本の線「ホリゾン(水平線)」を用いる作品約70点についても特集。『PLAY! MUSEUM』の楕円型の展示室で、約50mにわたって1本の水平線のように作品が連なる、ユニークな空間演出も大きな見どころだ。

作品「猫と花」illustrated by Mizumaru Anzai。(C)Masumi Kishida。
作品「猫と花」illustrated by Mizumaru Anzai。(C)Masumi Kishida。

村上春樹『午後の最後の芝生』をイメージして描かれた原画も初出品

村上春樹『午後の最後の芝生』イメージ画illustrated by Mizumaru Anzai。(C)Masumi Kishida。
村上春樹『午後の最後の芝生』イメージ画illustrated by Mizumaru Anzai。(C)Masumi Kishida。

安西が装丁を担当した村上春樹の『中国行きのスロウ・ボート』をはじめとするエッセイや、村上との共著の絵本などの作品たちにも注目したい。本展では、近年安西のアトリエで見つかった、村上の初期短編『午後の最後の芝生』をイメージして描かれた原画が初出品。村上以外にも安西と親交が深かった、嵐山光三郎や和田誠との共作なども振り返る。

さらに、作品のモチーフにもなった、独自の美意識があふれる雑貨コレクションも展示。繰り返し作品に描かれたスノードームをはじめ、英国のアンティーク陶磁器・ブルーウィローや、アメリカンフォークアートなどの民芸品、丸ペンや万年筆といった仕事道具など、アトリエに飾られた収集品の一部を紹介する。

収集品のスノードーム3点。
収集品のスノードーム3点。

展示だけではなく、安西の作品づくりに挑戦するワークショップや、会場限定のオリジナルグッズ、館内カフェ「PLAY! CAFÉ」でのコラボメニューも見逃せない。期間中の「PLAY! CAFÉ」では、「純喫茶プレイ」に変貌して安西が愛したカレーなどのメニューを提供する。どこか懐かしい雰囲気の中、ゆったりとした時間を過ごそう。

開催概要

「イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY」

開催期間:2026年5月20日(水)~7月12日(日)
開催時間:10:00~17:00(土・日・祝は~18:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:無
会場:PLAY! MUSEUM(東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟2F)
アクセス:JR立川駅から徒歩10分
入場料:一般1800円、大学生1200円、高校生1000円、中・小学生600円、未就学児無料

【問い合わせ先】
PLAY! MUSEUM☏042-518-9625
公式HP https://play2020.jp/article/anzaimizumaru/

 

取材・文=前田真紀 画像提供=PLAY! MUSEUM