ピエール瀧
1967年、静岡県出身。1989年に、石野卓球らと電気グルーヴを結成。音楽活動の他、俳優、声優、タレント、ゲームプロデュース、映像制作などマルチに活動を行う。近著は『ピエール瀧の23区23時 2020-2022』(産業編集センター)。
なんだろう、激ゆるエクストリームスポーツみたいな
「立川(たてかわ)」じゃなくて「竪川(たてかわ)」なんだ。上に伸びてるのは首都高か。高速道路下の活用法っていろいろあると思うけど、公園にするのは合理的でいいアイデアだよね。
—— ここは江東区の公園なんですけど、川が多い江東区らしく、元々ここは川だったそうで。水路が地下に潜っていわゆる暗渠(あんきょ)になり、その上の土地が公園として活用されてます。それにちなんで、この先にもたくさん水場がありまして。水上アスレチックや、カヌーを体験できる場所もあるとのことです。
だから細長くて真っ直ぐの公園なのね。入り口にあるのはフットサル場か。
—— ここでたまにフットサルやるんですけど、フットサルって雨でも中止にならないんで、ここでやれると“当たり”なんですよ。首都高が屋根代わりになってくれるんで。
なるほど。野球と違って雨天中止ないもんね。首都高の下ってことは、ある程度の声とか出しても「静かにしろ!」って怒られないだろうしね。他の所よりかは許容デシベルが緩そうじゃない? そんなこと話してたら、騒音調査のマイクがあった。まあ高速の横だしね。この線路跡はなんだろう? チンチン電車か都電が、昔は走ってたんだな。
—— そして、ここがじゃぶじゃぶ池です、今は時季的に水がありませんけども。噴水が「寛永通宝」の形をしてる。
以前もさ、お金的なものから水が湧くのって見た気がするんだけど。なんなんだろうな、この金から水が湧くとうれしい!みたいな造りは。
—— 江戸時代は、この近辺で寛永通宝が鋳造されていたからそうなってるそうです。それで、あっちに見える次のエリアが日本庭園になってます。
立派な東屋だ。カラフルな鯉が池に放流されてる。「他の魚や生き物を放ったりしないで」「餌与えないで」だって。まあ、そりゃそうか。池のためのポンプとかだと思うけど、機械をスダレで覆ってあるのは良いよね。お、橋の下に浮世絵が飾られてる!
なんか“東京ならでは”感があるよね、こういうの。「三代目歌川豊国、浮世絵師。江戸時代の浮世絵師の中でも最多の作品数を持つ」だってさ。お、これは海老蔵じゃないの!?
—— 本当だ、五代目市川海老蔵って書いてありますね!
俺たちが思い浮かべるあの“海老蔵さん”は、今は市川團十郎白猿だよね。そんでお次は健康器具ゾーンか。
普段ならスルーするけど、ここのはなんか広いし、種類も豊富だからちょっとやってみていい? この足ツボのヤツなんて初めて見たよ。じゃあ靴脱いで、と。うわ、痛い痛い痛い痛い! かかとがめっちゃ痛い! ダメだ、1周できねえ!
—— ここに書いてある情報によると、かかとが痛いのは生殖器機能に効いているみたいです。
なるほど。まあ俺ももう60歳近いからさ、そりゃ生殖器に問題はあるだろうな。
向こうはキャッチボール場? 先輩たちがソフトボールでノックやってる。すげえ良い動きしてるよ。いいね、ああやって老後を過ごせるのは。そんでなんか見えてきたけど、あれは鉄橋?
—— 貨物線です。JR越中島線で使われている現役の線路みたいです。
そうなんだ! 線路が一本しかないから単線だけど、まだ使ってるのね。電車通らないかなあ。この土台のレンガ造りもすごいよね。1929年に造ったって書いてあるから、第一次世界大戦後くらいってことか。高速と鉄道の交通インフラを裏側っていうか、下からセットでのぞけることなんてあんまりないじゃない。すごい造り方してるよね。今いる道も元々川だったんだろうし。
落ちるの前提で作られてる感じがプンプンする
—— そしてあちらが水上アスレチックです。取材日の今日は2月ですが、いつもどおり遊ぶことができます。
ここから遂に水ゾーンか。「小学生以上、小学生未満の幼児あるいは補助を要する方でも保護者の同伴があればOK」。無料なのか。そんで大人もやって良しと。これ度胸いるな。「押すなよ! 押すなよ!」の世界じゃん(笑)。
—— 一応、タオルは持ってきてます(笑)。
矢吹くん先に行ってきてもらってもいい? そこの「けんけんぱ」みたいなヤツ。
—— 分かりました! ……あ、これ大丈夫ですよ! すごい安定してます!
安定してんの? 了解、やってみよう。うわ~、プレッシャーかかるわ! 足場はしっかりしてるし、別にそんなに難しくないんだけど、とにかくプレッシャーがすごい。
これ下が砂場だったら何のことはないのに、水だから不安感が増幅されるのよ。あきらかに、落ちるの前提で作られてる感じがプンプンするもん。これはおじいちゃんおばあちゃんにはできないな。落ちたらどうなっちゃうんだろ?っていう負の考えが脳内にむくむく湧いてきて、どんどん気持ちが落ちる側に傾いていく(笑)。
子供たち、絶対夏場はバシャンバシャン友達を落としてるよね。夏に来るなら水着で来るのが正解だろうな。この辺の子供たちの中で、ここの最高記録とかあると思うよ、「◯◯くん、1周1分16秒!!」みたいな。
—— 落ちたら、一応シャワーみたいな洗い場もありますんで(笑)。そして最後、ここがカヌー乗り場ですね。夏季限定ですけど、手ぶらで参加することができます。
1回600円か、冬はやってないのね。「濡れても良い服装で利用してください」だって。この施設はカヌーの裾野をだいぶ広げてると思うな。将来ここからオリンピック選手が出たりしてね。いやあ、この公園は読者の皆さんに体験してもらいたいなあ。あの水上アスレチックが無料は、もうやらない理由がないよ(笑)。
なんだろう、激ゆるエクストリームスポーツみたいな。夏場はさらに活気があって面白い場所だろうね!
『堅川河川敷公園』詳細
交通インフラ下から眺め度 ★★★★★
ダチョウ倶楽部度 ★★★★★
ネオ江戸度 ★★★★
水飲み場:あり トイレ:あり
自販機:あり 灰皿:なし
構成=カルロス矢吹 撮影=横井明彦
『散歩の達人』2026年4月号より







