精密な「鳥」の博物画コレクションが大公開
『角川武蔵野ミュージアム』博物部門でアドバイザリーボードを務めている荒俣宏氏は、博物学の研究者としても知られ、1980年代から90年代にかけて、大著『世界大博物図鑑』シリーズを世に送り出した。その編纂(へんさん)の課程で収集したコレクションは同館に寄贈されており、本展ではそれらが一挙に紹介される。
「ヒトは生物の中で一番最後に生まれた末っ子だから、先に生まれた動植物のすることを見て生き延びる方法を学ぼうとした」「戦争の勝ち負けや都を建てる土地の選定も鳥に教えられ、ローマ建国には最初の支配者を誰にするのかの決定に鳥占いが使われた」(荒俣宏氏本展挨拶より)
まだカメラがなかった時代に人が憧れた鳥。神話や伝説において神に近い存在として扱われ、大航海時代を経て、世界の鳥は博物画の中に描かれてきた。神話の中の鳥から学問として記録された鳥へ。人が鳥をどう見てきたのか、その過程を実際の図譜を通してたどる内容が興味深い。
博物学者たちの鳥へのフェティシズムが炸裂!
フランスの銅版画家で博物画家のジャン=バティスト・オードベル(1759~1800)は、ハチドリの羽根がなぜあれほど美しく輝くのか疑問を抱き、その解明に取り組んだという。オードベルの執念は理論研究に留まることなく、博物画での再現にまで及んだ。刷り上がった版画に鮮やかな油絵具を刺し、箔押しの要領で金色を加える新技法を考案。輝きに魅せられ、光沢と立体感のある表現を追求したオードベルによる博物画『黄金の鳥、あるいは金属の光沢』も、本展の大きな見どころだ。
また、フランソワ・ルヴァイヤンの『フウチョウの自然史』(1801~1806)や、ジョン・グールドの『ハチドリ科鳥類図譜』(1849~1861)など、主に19世紀に刊行された博物図譜に掲載された貴重な博物画が公開されるのにも注目したい。
ぜひ鳥に取り憑かれた人々の視点を、博物画を通して追体験してみよう。
開催概要
「ワンダーバードに憧れて 鳥に取り憑かれた人々」
開催期間:2026年4月18日(土)~9月28日(月)
開催時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:火(ただし8月11日〈火・祝〉・9月22日〈火・祝〉は開館)、6月1日(月)~5日(金)
会場:角川武蔵野ミュージアム4階 荒俣ワンダー秘宝館(埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3)
アクセス:JR武蔵野線東所沢駅から徒歩10分
入場料:一般1400円、中学・高校生1200円、小学生1000円、未就学児無料
【問い合わせ先】
ところざわサクラタウンお電話窓口☏0570-017-396
公式HP https://kadcul.com/
取材・文=前田真紀 画像提供=角川武蔵野ミュージアム






