『はらぺこあおむし』はこうやって生まれた!
今も世界中で愛され続ける絵本『はらぺこあおむし』の作者で、アメリカを代表する絵本作家、エリック・カール(1929~2021)。『はらぺこあおむし』はアメリカでの初版時、技術的な難しさから、日本の会社が引き受け、印刷・製本を担って世に出ることになったという。そこから7年を経て、美しい翻訳によって日本語版が出版された。
本展日本語サブタイトルの「はじまりは、はらぺこあおむし」には、この絵本がエリック・カールにとってはじめて自分で文章も書いた絵本であること、子供が最初に出会う絵本の一つでもあること、また、その後の絵本作家たちに大きな影響を与えた本でもあることの3つの意味がこめられている。
展示も『はらぺこあおむし』(1969年)の原画からはじまり、『パパ、お月さまとって!』(1986年)や『10このちいさな おもちゃのあひる』(2005年)など、色鮮やかな27冊の絵本の原画約180点が展示され、見ごたえある内容になっている。
展覧会担当の学芸員山木さんは「エリック・カールの代表作『はらぺこあおむし』は子供だけでなく、自身も子供の頃読んだことのある人が多く、思い出につながっている作品ではないでしょうか。日本語版と英語版がどう違うのか、作品に貼られている一枚一枚の模様はどんなふうになっているのか、間近でみてもらうと楽しいと思います。また、カールがどういう人生を歩み、どういう思いを作品に込めたのか。『絵本の向こうになにがみえる?』というフレーズは、大人になってからこそ汲み取れるものも多いはずです。ぜひ大人の方にも見ていただきたいと思います」と見どころを語る。
『はらぺこあおむし』全ページの原画が大集結
アメリカに生まれ、6歳の時に両親の故郷であるドイツに移住したカール。ドイツでグラフィックデザインを学び、卒業後はファッション誌のアートディレクターになった。その後1952年にはニューヨークへ戻り、ニューヨーク・タイムズ紙のデザイナーとなったあと、広告代理店のアートディレクターやフリーランスのデザイナーとして活躍。本展ではグラフィックデザイナー時代のポスターや、日本では出版されていない画風の異なる絵本など、貴重な資料も展示される。
さらに『はらぺこあおむし』誕生のきっかけとなったダミーブック「みみずのウィリーのいっしゅうかん」もあわせて紹介。物語の流れや構図、デザインのアイデアを練るためのダミーブックは、ラフなタッチが味わい深く、最終版とは違う物語や異なる構図もあり、試行錯誤のプロセスにふれられる貴重な資料だ。
展示の最後となるアトリエ編では、カールがあらかじめさまざまに色付けした美しい薄紙の実物も展示される。本人が鮮やかな色紙をカッターであっという間にカットし、瞬く間にあおむしを仕上げていく様子が映像で観られるのも見逃せない。
開催概要
「エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし」
開催期間:2026年4月25日(土)~7月26日(日)
開催時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし5月4日と7月20日は開館)・5月7日・7月21日
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F、3F(東京都江東区三好4-1-1)
アクセス:地下鉄半蔵門線清澄白河駅から徒歩9分・地下鉄大江戸線清澄白河駅から徒歩13分
入場料:一般2300円、学生・65歳以上1600円、中学生・高校生1000円
※小学生以下無料
※土日・祝休日および会期末(7月22日~7月26日)は日時指定チケットが優先
【問い合わせ先】
東京都現代美術館☏03-5245-4111(代表)
公式HP https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/ericcarle2026-27/
取材・文=前田真紀 画像提供=東京都現代美術館





