ピエール瀧
1967年、静岡県出身。1989年に、石野卓球らと電気グルーヴを結成。音楽活動の他、俳優、声優、タレント、ゲームプロデュース、映像制作などマルチに活動を行う。近著は『ピエール瀧の23区23時 2020-2022』(産業編集センター)。
凄いなこの公園、広場のメガ盛り詰め合わせだよ
東京のエッジの方に来てるんだよね。ここは江東区になるの?
—— はい。今回行くのは都立の大島小松川公園、江東区と江戸川区に跨がるかなり大きな公園です。江東区からスタートして、橋を渡って江戸川区へ。ぐるっと回ってまた江東区側に戻るというルートで歩こうかと思います。
なるほど。俺、ほとんど土地勘なくてイメージできないゾーンだわ。きっと一戸建てもあるんだろうけど、公園全体がマンションや団地にぐるっと囲まれてるね。ここが入り口か。大島小松川公園「わんさか広場」って書いてあるよ。
—— この公園、大きく分けると4つの広場がありまして。それぞれ飛地になってるんですが、それらを一つずつ見ていきます。
4つもあんの!? めっちゃあるじゃん。今いる広場だってさ、ドッグランてわけじゃないけど、めっちゃ広いもんね。
—— 中川大橋を渡ると、次の広場に着きます。向こう側はもう江戸川区ですね。
さっき地図見たんだけどさ、災害対策もあるだろうから「とりあえずは場所を確保しておきますね、公園という名の」っていうことだろうね。こんだけ周りにマンションやらなにやら建ってたらそうなるのも無理ないね。でもこの公園の土地には高い建物とかは建たない訳だから、この辺のマンションに住んでたら気持ち良さそう。
広場も全部芝生なんだな。お、川沿いにカヌーが置いてある! 江東区立中学校カヌー部だって、渋いな。ガチでカヌーとかボート部みたいなのをやりたい人にしてみたらこの辺りって良い環境だろうね。なんかさ、この広大さと橋を渡ってく感じって、黙って歩くには最高だね。昼間でも静かだから、夜はちょっと静か過ぎて怖いかもしれないけど。
—— で、橋を渡りきりまして、ここからが「風の広場」になります。
なんかムクドリいるね。しかも太ってる(笑)。海も近いし、鳥は結構多く来てるんだろうな。この水門みたいなヤツは何?
—— 「旧小松川閘門」て書いてありますね。閘門(こうもん)は、水位の異なる水面を持つ河川や運河、水路に設けられる船を通航させるための施設、だそうです。1976年までは普通に稼働していたとのことですね。
ああ、オランダとかでやってるやつだ。船が入ったら両方に蓋をして、水位を調整して、船を行かせたらまた開けてってやつ。水圧で水面上げて上の川に船を行かせるんだよね。その頃までは河川交通がここにもあったってことか。なんかシーラカンス的な像もあるね。
—— 「ムー大陸より2」という作品名だそうです。公園の外側になるんですけど、あそこに見えている荒川ロックゲートっていうのが現在稼働している閘門です。
ちょっと見てみようか。公園の外だけど勉強にもなるしさ。
うわ、これはすごいわ! 「閘門は船が乗るエレベーター」だって。確かにそうだ。中川と荒川は水位差が最大で3.1mもあるんだってさ。荒川の方が水面が高いのね……。まず荒川側から船を入れて、荒川側のゲートを閉じます。で、中の水を抜いていって中川の水面と同じ高さにします。そうなったら、中川の側のゲートを開ける、と。逆に中川の方から来た船の場合は、今の行程の逆をやれば荒川に行けるわけだ。
ひと昔前までは、さっきのやつがやってたってことでしょ? その作業を。今はこのロックゲートのお陰でデカい船も通れるようになったんだろうね。
—— このタワーの上に登れるみたいなんで行ってみます?
行けるの? お~、この抜け感は凄いね! 川の向こう側に見えるのはもう千葉県?
—— あれはまだ江戸川区ですね。
そうなんだ。いや、でもここまで登って川と閘門を上から見られるって凄いよ。階段に災害レベルのパーセンテージとか書いてあったから、ここも災害対策用でもあるんだろうね。じゃあ公園の方に戻ろうか。
—— はい。次はマンションの間を抜けて、「自由の広場」というところに向かいます。
自由の広場? この公園、今までもずっと自由だったけどね(笑)。全く不自由さを感じたことはなかったよ。
そして到着したここが「自由の広場」か。ここに来て、ようやく今回一つ目の遊具に遭遇(笑)。凄いなこの公園、広場のメガ盛り詰め合わせだよ。「ご飯・ライス・白米のコンボ」みたいなさ(笑)。広いところにちょっと実験的な遊具を置いたんだね。キッズたちよ、駆け回んなさい系だ。船の遊具がある。やっぱり水路にちょっとかけてんだな。
みんなで散歩でも行くか!って感じで!
—— あとは、あちらにバーベキュー場がありますね。
ここでバーベキューやっていいの!? なんか炭の匂いがする。「木炭を使う自立型のコンロのみが使用できます」だって。あの焼き鳥焼いたりするやつってことかな。「利用料金無料」、「施設や学校などの団体利用はダメ」、「1区画20名様」か、なるほど。部活の打ち上げとかだったらいいのかな? 少年野球のバーベキューとかね。子供を遊ばせといて、親がここで肉を焼くのはいいよね!
—— ではラストの広場、野球場やテニスコートがある「スポーツ広場」に向かいます。
そうか、橋渡るとまだ広場があんのか! もう4個目だよね。しかしここも凄い空間面積だな。「スポーツ広場」まで来て、やっと自販機が1個あったよ! すごい喉乾いてたから買っていい? この公園ってさ、絶対に面積当たりの自販機の数が足りてないと思う(笑)。トイレはたくさんあったけど。まあでも、これだけ見渡す限りの団地やマンション、集合住宅の子たちが集って遊んでる場所でしょ。全員を収容できるぐらいの広さは確かに確保してると思う。
—— 川沿いだと、水害に備えなきゃいけないですしね。
そうだろうね。まあ、もの思いにふけりながら歩くのには本当に良い場所だと思ったな。近くに住んでたら、「ご飯も食べたし、春だしさ。みんなで散歩にでも行くか!」って感じのなんでもない幸せを噛みしめられそう!
『大島小松川公園』詳細
空間コンボ度 ★★★★★
住民空間積算度 ★★★★★
水運学習度 ★★★★
水飲み場:あり トイレ:あり
自販機:あり 灰皿:あり
構成=カルロス矢吹 撮影=横井明彦
『散歩の達人』2026年5月号より







