風を切って揚がる凧をお守りに

2月の初午(はつうま)の日に全国各地の稲荷神社で執り行われる「初午祭」。大晦日に行われる「狐の行列」でも有名な、東京都北区の王子稲荷神社では2月の午の日に恒例の「凧市」が行われる。2025年は初午が6日(木)で、二の午が18日(火)にあたる。

この行事は江戸時代に端を発する。「火事とけんかは江戸の華」といわれたほど、江戸の町はたびたび大火に見舞われていた。熱風が大火につながることから、風を切って空高く揚がる凧を火難除けのお守りにと民衆が王子稲荷神社の奴凧を「火防の凧」として買い求めたのが始まりだ。

ユニークな「火防の凧」を自宅に祀ろう!

当日参拝者は前年の凧を奉納し、お参りをした後に境内社務所で新しい「火防の凧」を買い求める。凧は奴凧型、縦約20㎝、横約25㎝のサイズで1体1800円。凧を祀ると火難をまぬがれ、無病息災や商売繁盛に御利益があると人気だ。「神棚や台所などの火を使う場所の高い位置に祀るといいですよ」と教えてくれたのは王子稲荷神社の八木さん。キリッとした勇ましい表情の奴さんが火事にならないよう見守ってくれるのはなんとも心強い。

また凧市に合わせて、権現坂下の交差点から王子稲荷神社前の道路には約100軒の露店が立ち並ぶ。「王子駅から歩いてこられますと道の両側に露店が並んでいますので、お祭りらしい雰囲気を味わいながら参拝にいらしていただければ」(八木さん)。2月は空気が乾燥して火の取り扱いに一層気を付けなければならない季節。さまざまな屋台グルメも楽しみながら、縁起物の「火防の凧」を買い求めよう。

開催概要

「王子稲荷神社凧市」

開催日:2025年2月6日(木)・18日(火)
開催時間:10:00~18:00ごろ
会場:王子稲荷神社(東京都北区岸町1-12-26)
アクセス:JR京浜東北線・地下鉄南北線王子駅から徒歩5分

【問い合わせ先】
王子稲荷神社☎03-3907-3032

 

取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供