「部屋」をテーマにソスの作品を編みなおす、意欲的な試み
初期の頃からアメリカ国内を車で旅し、風景や出会った人々を大判カメラで撮影してきたソス氏。出品作品シリーズのひとつ〈I Know How Furiously Your Heart is Beating〉では、そうしたロードトリップのスタイルではなく、舞踏家・振付家のアンナ・ハルプリン(1920-2021)や、小説家のハニヤ・ヤナギハラ(1974-)など世界各地にさまざまな人々を訪ね、その人が日々を過ごす部屋の中で、ポートレートや個人的な持ち物を撮影している。部屋とそこに暮らす人をテーマとするこのシリーズが本展のきっかけとなった。
「ポートレートや風景、静物などを定期的に撮影しているが、最も親しみを感じるのは室内の写真だ」と述べるソス氏の作品に登場するさまざまな部屋。その空間にたたずむ人々に意識を向けることで、果たして何が見えてくるのか。
広報担当者は、「本展は、初期の代表作から2024年秋刊行の最新作まで、約60点を紹介。30年に及ぶソスの歩みを振り返るだけでなく、『部屋』をテーマにソスのこれまでの作品を編み直す展覧会です。アメリカの美術学校を舞台に撮影された最新作シリーズ〈Advice for Young Artists〉にも注目です」と見どころを語ってくれた。
個人のパーソナリティを増幅させる「部屋」をキーワードに、ソス氏の表現の魅力を探っていく。
担当学芸員によるギャラリートークも開催(手話通訳付き)
担当学芸員が展覧会の構成や見どころをレクチャーするギャラリートークが12月6日(金)14時~・1月10日(金)14時~、『東京都写真美術館』2階展示室で開催。希望者は当日有効の本展チケットを持参のうえ、2階展示室入り口に集合。
開催概要
「アレック・ソス 部屋についての部屋」
開催期間:2024年10月10日(木)~2025年1月19日(日)
開催時間:10:00~18:00(木・金は~20:00、ただし1月2・3日は~18:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:月(月が祝・休の場合は翌平日)、12月29日(日)~1月1日(水)
会場:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
アクセス:JR恵比寿駅から徒歩7分、地下鉄日比谷線恵比寿駅から徒歩10分
入場料:一般800円、大学生・専門学校生640円、中・高生・65歳以上400円
※小学生以下及び都内在住・在学の中学生、身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方とその付添いの方(2名まで)無料。
【問い合わせ先】
東京都写真美術館☏ 03-3280-0099
公式 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4820.html
取材・文=前田真紀 画像提供=東京都写真美術館