中野『LABO麺』の澄んだ豚骨スープはフレンチの香り、技法だけじゃない想いの味
ちょっと迷い込んだ感のある、まるで欧州の路地裏……という雰囲気の中野レンガ坂。「LABO麺」の文字と、どんぶりの写真を載せた路上看板が出ていなかったら行き過ぎそうになる。店内に入りしばらくメニューを眺めても、「お洒落なカフェかな? 」と自分の中のラーメン屋の概念とのズレがある。それもそのはず、こちらのお店は元々ビストロであり、このラーメンを生み出したのもフレンチのシェフなのだ。しかし、ひとたび丼のスープと麺を口にすれば「清湯豚骨白醤油拉麺(ちんたんとんこつしろしょうゆらーめん)」という漢字の塊が、澄んだ香りと共に体の中に着地する。一人のシェフが、作りたくて作りたくて、挫折しかかったほどこだわり過ぎた一杯と、偶然に出合えた。あくまで軽やかに楽しめるラーメンとして。