見栄えと旨さに二度びっくり!『第二宮嶋庵境野支店』[群馬県桐生市・ひもかわ]

県産小麦キヌノナミの風味を活かしたもりひも川750円。カレーひも川900円も美味だ。
県産小麦キヌノナミの風味を活かしたもりひも川750円。カレーひも川900円も美味だ。

桐生名物の極広ひもかわは、店ごとに競いエスカレートして当店では何と15㎝幅。「食感をよくするために薄くのばすと切れやすい。うどんの3倍手間がかかります」とご主人は苦笑い。だから店のメニューにないので直接注文しよう。桐生は織物と共にうどん屋も栄えたという。「父の代には織り子さんの夜食にと、工場に40人分の出前をしていました」。

茹で上がりを冷水で洗う。昔のひもかわは冬のものだった。
茹で上がりを冷水で洗う。昔のひもかわは冬のものだった。
先代が始めたこの店では、当時ひもかわはせいぜい2~3㎝の平麺で帯うどんとも呼ばれた。
先代が始めたこの店では、当時ひもかわはせいぜい2~3㎝の平麺で帯うどんとも呼ばれた。

『第二宮嶋庵境野支店』店舗詳細

住所:群馬県桐生市境野町6-601-8/営業時間:11:30~14:30・17:30~20:30(日・祝~20:00)※変更する場合もあり。※手打ちのため売り切れ次第終了/定休日:月・第3火/アクセス:JR両毛線小俣駅から車で10分

注文後に打つ究極の手打ち麺『三升屋』[群馬県渋川市・水沢うどん]

透明感があってつるっと旨い。手打ちならではの切れ端で♡形のおまけ付き。もりうどん550円は小鉢付き。
透明感があってつるっと旨い。手打ちならではの切れ端で♡形のおまけ付き。もりうどん550円は小鉢付き。

群馬県3大うどんの中でも特に歴史あるのが、水澤寺参道で400年前から食べられた水沢うどんだ。榛名山の清涼な水で練った透明感のあるうどんで、現在は約1kmの道筋に13軒が点在している。今も手打ちを貫くこの店では、メニューはもりとかけの2種類だけ。ご主人は、客の注文を受けてから生地を打って茹で上げるので芯が残らず、弾力ある食感に。

一度に打って茹でる量は2、3人前。このまま干して乾麺も販売。
一度に打って茹でる量は2、3人前。このまま干して乾麺も販売。
家庭的な店。自家製きんぴらと漬物の小鉢も美味だ。
家庭的な店。自家製きんぴらと漬物の小鉢も美味だ。

『三升屋』店舗詳細

住所:群馬県渋川市伊香保町水沢221/営業時間:11:00~15:00ごろ ※手打ちのため売り切れ次第終了/定休日:水/アクセス:JR上越線・吾妻線渋川駅から群馬バス「伊香保温泉」行き約20分の「水澤観音前」下車、徒歩1分

地元の昔話にちなんだ創作うどん『花山うどん』[群馬県館林市・館林のうどん]

地元茂林寺に伝わる昔話にちなんだ「分福茶釜の釜玉うどん」920円。
地元茂林寺に伝わる昔話にちなんだ「分福茶釜の釜玉うどん」920円。

その昔は館林城主にうどんを献上し、乾麺は贈答品として発達。皇后陛下美智子様のご実家である醤油醸造業の正田家が、明治 33年に市内で製粉会社(現在の日清製粉)を興すなど、気品あるうどん歴の町だ。当店 5代目は小麦粉に詳しく、地元産つるぴかりときぬの波を繊細に調合してうどんを打つ。「分福茶釜の釜玉うどん」は具材豊か。

120年前、良質な地粉と地下水の館林で乾麺屋を創業。乾麺販売の店は隣に並んでいる。
120年前、良質な地粉と地下水の館林で乾麺屋を創業。乾麺販売の店は隣に並んでいる。

『花山うどん』店舗詳細

住所:群馬県館林市本町2-3-48/営業時間:11:00~15:00 ※手打ちのため売り切れ次第終了/定休日:日/アクセス:東武伊勢崎線館林駅から徒歩1分

県内産の小麦で打つ昔ながらの味『中央食堂』[埼玉県加須市・加須うどん]

ナスとネギと薄揚げを炒めて、コクを出したつけ汁が絶妙な「なす南ばん汁」600円。
ナスとネギと薄揚げを炒めて、コクを出したつけ汁が絶妙な「なす南ばん汁」600円。

利根川流域の江戸時代からの小麦どころで、今もうどん屋が多い。地元の不動ヶ岡不動尊總願寺には、約300年前に館林城主から饂飩粉を贈られたお礼状があり、うどん歴の古さを裏付ける。こちらでは、県内産小麦あやひかりを練り込んだ手打ちうどんを、野菜入りつけ汁でいただける。家庭料理のような優しい味わいにほっこり。

50年以上うどんを打つご主人と奥さん。おかもちも年代物。
50年以上うどんを打つご主人と奥さん。おかもちも年代物。

『中央食堂』店舗詳細

住所:埼玉県加須市中央2-10-13/営業時間:11:00~14:00・17:00~19:30 ※手打ちのため売り切れ次第終了/定休日:水/アクセス:東武伊勢崎線加須駅から徒歩4分

歴史にあやかり、開運できるかも!?『藤エ門』[栃木県小山市・小山うどん]

開運肉汁うどん780円。地元では来客時にうどんを打ち、自宅の鶏の肉や野菜を入れた温かい汁と共に出す習慣があったとか。
開運肉汁うどん780円。地元では来客時にうどんを打ち、自宅の鶏の肉や野菜を入れた温かい汁と共に出す習慣があったとか。

縁起の良い商品名は400年前、北上する徳川家康が小山の本陣で軍議を開いて引き返したため、関ケ原の戦いで大勝した「小山評定」に由来しているのだ。ではうどんをいただき、開運をば。大ぶりのつけ汁には豚肉やネギなどが豪快に盛られ、地元産小麦イワイノダイチのなめらかなモチモチ感が活きるうどんを付けて食せば、まさに至福である。

日光連山の伏流水で粉を練る。
日光連山の伏流水で粉を練る。
小山は栃木県で一番の小麦生産地。
小山は栃木県で一番の小麦生産地。

『藤エ門』店舗詳細

住所:栃木県小山市城北6-1-4/営業時間:11:00~20:30 ※手打ちのため売り切れ次第終了/定休日:火/アクセス:JR各線小山駅から徒歩12分

馬肉とキャベツの意外な調和『くれち』[山梨県富士吉田市・吉田のうどん]

豪華版くれちうどん600円。
豪華版くれちうどん600円。

富士山が迫る吉田の町は、かつて織物が盛んだった。「朝から晩まで機織りをする女房を気遣い、男が夕食のうどんを打ったんです」とご主人。そんなわけで吉田のうどんはごつい。麺は太くて硬めだし、馬肉とキャベツと具も独特。やみつきになる。味噌と醤油を合わせた汁に、唐辛子とゴマなどをすった「すりだね」で調えている。

富士山の伏流水で毎日打つうどんは、茹で立てが身上。
富士山の伏流水で毎日打つうどんは、茹で立てが身上。

『くれち』店舗詳細

住所:山梨県富士吉田市上暮地1-18-22/営業時間:10:00~14:00 ※手打ちのため売り切れ次第終了/定休日:火/アクセス:富士急行線寿駅から徒歩3分

煮込んで味わうお袋の小麦食『ほうとう処 いしはら』[山梨県甲州市・ほうとう]

ほうとう1000円。野菜たっぷりだ。
ほうとう1000円。野菜たっぷりだ。

うどんが小麦食文化のハレならば、麺を茹でずに直接鍋で煮込む「すいとん」や「おきりこみ」などは家庭で常食するケの料理。「ほうとう」もそれで「かぼちゃや芋などと共に大鍋で味噌味の汁で煮込んで、家族で取り分けたものです」と奥さん。かつてこの家で暮らしたお姑さんに教わった味わいは、体を芯から優しく温めてくれる。

注文後、一人前ずつ生地を切って小鍋で煮込む。
注文後、一人前ずつ生地を切って小鍋で煮込む。

『ほうとう処 いしはら』店舗詳細

住所:山梨県甲州市勝沼町藤井928/営業時間:11:00~15:00 ※手打ちのため売り切れ次第終了/定休日:火(祝の場合は翌日)/アクセス:JR中央本線勝沼ぶどう郷駅から車で10分

取材・文=眞鍋じゅんこ 撮影=鴇田康則