Chatoan 茶とあん

当世サロンを形づくる浅蒸し茶と自家製あん

浅蒸し煎茶の氷水出しはとろんと甘い。5種から選べるサービスのお茶請けには、ミニもなかも。

路地裏の小さな店に、手押し車の年配者、赤ん坊連れなどの地元民が次々と顔を出す。岡山出身の店主・増田玲子さんが朗らかに迎え、世間話をしながらお茶を淹れる。もともとが大の日本茶好きで、 「東京には日本茶の店がいっぱい。週末ごとにハシゴしました」 。さらに、 和菓子の基礎を学び、 「お茶を飲みながら地域とふれあえる場に」 と2017年に開業。 「茶葉の旨味がしっかりした浅蒸しが好きで、その甘みを楽しんでほしくて」 と、1煎めは湯出しもあるが、水出しをぜひ。その後、湯を足し、茶菓子とともに3煎ほど、のんびり煎を重ねる。北海道無農薬小豆の自家炊きつぶあんがすっきり甘く、茶の渋みとあいまって、脱力。みな、にんまりと打ち解けていく。

掌で湯温を確かめる増田さん。
熟成茶の駿府600円と、粒あんたっぷりクレープ600円。
看板を描いたのは舞台演出家。彼と仲間の作品が店内に温かみを添える。
氷と水で淹れても茶葉がきれいに開く。香りも楽しんで。

『Chatoan 茶とあん』店舗詳細

住所:東京都杉並区阿佐谷北1-21-28/営業時間:10:00~19:00LO/定休日:月/アクセス:JR中央線阿佐ケ谷駅から徒歩6分

目を閉じて五感すべてで味わう

5席が並ぶカウンターに立つ玉井さん。

靴を脱ぎ階段を上がると、正面に小さな茶花。店内はほのかに緊張感があるも、店主・玉井大介さんの温もりある接客に和らぐ。玉露、抹茶、煎茶、萎凋(いちょう)煎茶に分類される品書きは10数種類と、実にシンプルだ。「抹茶は通常、合組(ごうぐみ。様々な茶葉のブレンド)ですが、珍しい単一品種を体験いただけます」今日は、宇治の『五香』。まず、抹茶に挽く前の香り高い碾茶(てんちゃ)を。やがて、シュウシュウと湯が沸く音、茶筅(ちゃせん)の音が響く。

品種の味が伝わる点て方で。
季節の抹茶1700円前後。絞り出し急須を使って抽出した碾茶、茶菓子(この日は茗荷谷『一幸庵』より)、抹茶の順で味わう。

『伍』店舗詳細

住所:東京都港区南青山3-14-4 2F/営業時間:11:00~19:00ごろ/定休日:不定/アクセス:地下鉄表参道駅から徒歩4分

東京茶寮

ハンドドリップの煎茶を飲み比べ

まるでコーヒーを淹れるよう。

ちゃぶ台がテーブルに変化したように、急須がドリッパーになっても!? そんな新しい煎茶の淹れ方を提案。おいしいだけでなく、熱い思いで取り組む生産者のお茶を発掘し、開店以来、43種のお茶を紹介してきた。「10度の味の違いを楽しんで」と、店長の井原優花さんは、しなやかな所作でドリップする。70度で抽出する1煎目は、丸い茶碗で甘みと旨味を。80度を注ぐ2煎目は、渋みと香りをじっくりと。3煎目は香ばしい玄米を入れて。

コの字のカウンターはドリッパー前が特等席。
奥にショップ。
煎茶2種飲み比べ+お茶菓子1400円は、月替わりの8種類から選べる。竹炭を練り込んだ求肥でこしあんを包む「くろ大福」は、深蒸しによく合う。

『東京茶寮』店舗詳細

住所:東京都世田谷区上馬1-34-15/営業時間:13:00~19:30LO(土・日・祝は11:00~)/定休日:月(祝の場合は翌日)/アクセス:東急田園都市線三軒茶屋駅から徒歩7分

サルトリイバラ喫茶室

小さな農園の希少な国産紅茶を

釜炒り茶の産地、熊本県馬見原産の岩永一号960円を明治後期に作られた輸出用のカップ&ソーサ―で。鶏おこわ(副菜付き)940円。

開店準備を進めていた3年前、国産紅茶の質の向上を確信。「よし、いける!」と、類いまれな専門喫茶店に。店主・中野木綿子さんは農薬を使わない茶葉を求めて、自ら茶園を訪ね、プレミアムなものを取り寄せている。各茶葉の紹介を丁寧に綴つづったメニューから、熊本の山深き地で女性が作る「岩永一号」を。透明感のある紅色を愛でながら、ひと口。穏やかな甘みの間に、清々しい風が吹くようだ。おこわと交互に運ぶと、食事に合うと気付く。

国産紅茶の奥深い魅力を伝える中野さん。

『サルトリイバラ喫茶室』店舗詳細

住所:東京都杉並区高円寺南3-46-2-2F/営業時間:12:00~21:45LO(日・祝は~19:45)/定休日:水(火不定)/アクセス:JR中央線高円寺駅から徒歩4分

表参道 茶茶の間

煎茶と洋菓子を、香りで楽しむ

煎茶合わせ「抹茶ちゃ」2200円は、抹茶のお菓子3品と、静岡の古い茶園にて在来実生で作られた「流星」。

「2005年の開店当時はシングルオリジンの日本茶を揃えるカフェは少なかった」と振り返る店主の和多田喜さん。生産者と交流し、選び抜いたお茶を提供し続ける中、特に香りを重視するように。「その土地の、その農園の、その人にしか作れない香りを伝えたい」。考案した煎茶と洋菓子のマリアージュは、まさに、香りを楽しむ手法だ。抹茶のスイーツに、静岡県産「流星」を。深い甘みの余韻にチョコをひと口。茶の香りが、さらに立つ。

「急須の中に、茶畑で感じた香りを再現したい」と、和多田さん。

『茶茶の間』店舗詳細

住所:東京都渋谷区神宮前5-13-14/営業時間:12:00~18:00LO/定休日:月・火(祝の場合は営業)/アクセス:地下鉄千代田線・副都心線明治神宮前駅から徒歩6分

台湾茶藝館 桜樺苑

台湾茶文化に浸る魅惑のひととき

竹茶盤にのる茶器が愛らしい。右下が聞香杯。高山烏龍茶「冷香」1300円。

台湾にルーツのある店主・何宛樺(かえんか)さんが、「本物のおいしい烏龍茶を味わって」と、2018年春に開店。有名な凍頂烏龍茶や東方美人も揃うが、標高1600mの小さな茶園で、温暖差と川霧に恵まれて育つ良質な茶葉「冷香」が看板だ。何さんが伝統的な手法で淹れる1煎目は、聞香杯(もうこうはい)を使って、豊かな香りに心を澄まそう。2煎目からは見様見真似、お客が自ら湯を注ぎ、煎ごとに変わる風味を感じたい。異国情緒のサロン席や個室もあり、旅心地に。

アフタヌーンティーセット1300円は、オリジナルのお菓子3種、台湾風軽食3種。
茶藝師の何さん。

『台湾茶藝館 桜樺苑』店舗詳細

住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-5-9/営業時間:11:00~18:30LO/定休日:日・月/アクセス:東急三軒茶屋駅から徒歩7分

取材・文=松井一恵 撮影=鈴木奈保子
『散歩の達人』2019年12月号より