温度の違いで楽しむ日本茶の飲み比べ

三軒茶屋駅から駒沢方面へ国道246号線沿いを5分ほど歩いた先、住宅街の一角に凛とした佇まいで現れる『東京茶寮』。店内の中心にはコの字型のカウンターが設えられ、四方を囲むように広がる真っ白な空間が清潔感ある印象を与える。「現代の茶室をイメージした」というこの店では、単一農園・単一品種を指すシングルオリジンの茶葉のみを扱う。全国の特定農家から仕入れる茶葉は50種以上にのぼり、それぞれ産地や味わい、色味のバランスにこだわって選び抜かれた銘柄が揃う。

煎茶2種飲み比べ+お茶菓子1400円。

店では、その中から月ごとに6~8種の茶葉を入れ替えて提供している。イートインメニューの煎茶飲み比べでは、その6~8種の茶葉から1種または2種を選ぶシステム。甘味・渋味・旨味・香りの4つにチャート分けされた茶葉のメニューを参考に、その日の気分に合わせた味わいを選ぶことができる。

お茶は、1煎目と2煎目でそれぞれお湯の温度を変えて提供。お湯の温度だけで、ここまで味わいや色合いが変化するのかと、驚かされることだろう。季節ごとに替わるセットのお茶菓子も、お茶の香りや味わいを引き立ててくれる。3煎目には玄米を加え、玄米茶として飲み比べの体験を締めくくる。

日本茶文化も現代のライフスタイルに合わせてアップデート

バリスタの小野寺さん。

この店を語るうえで欠かせないのが、世界初の試みとなるハンドドリップでの茶葉の抽出だ。

「ちゃぶ台からテーブルへと生活様式が変わっていったように、日本茶の淹れ方も時代の流れに合わせて変わっても良いんじゃないかと考えました」と店全般のデザインを担当している谷本幹人さんは語る。

そのような考えから、日本茶専用のハンドドリッパーを独自で開発。一見するとコーヒーのドリッパーのようだが、よく見ると構造自体は急須とそれほど変わらない。茶葉を抽出している間にお湯がサーバーに落ちることなく、ドリッパー内に留めておける機能は、まさに急須そのものである。

このハンドドリッパーは、デザインのアップデートをかなえただけでなく、茶葉の味わいの違いがはっきり出るという特長も併せ持つ。ドリッパーは店専用のツールとなるが、自宅でも現代のライフスタイルに合った急須をと、従来とは異なるデザインの急須を販売している。

透明急須3785円。

取っ手がないが、お湯を入れても熱くならない素材を使用しているため安心して使えるうえに、収納の際にかさばることもない。また、茶葉が開いていく瞬間が見えるようにと、あえて透明なままにしているのだという。ミニマルなデザインながら機能性をしっかりと備えた、まさに新時代の急須といえるだろう。

長い歴史を持つ日本茶の良い部分はそのままに、アップデートが必要な部分は時代に合わせて変えていく。

そして、そこには発想の転換を活かした斬新なアイデアがある。『東京茶寮』で、日本茶の未来を見るような気持ちがした。

『東京茶寮』店舗詳細

住所:東京都世田谷区上馬1-34-15/営業時間:13:00~19:30LO(土・日・祝は11:00~)/定休日:月(祝の場合は翌日)/アクセス:東急田園都市線三軒茶屋駅から徒歩7分

取材・文・撮影=柿崎真英