抽出方法さまざまなコーヒーに酔う『ねじまき雲(陽)』
「店員の撮影不可」とあれば緊張が走る。が、迎えてくれるのは黒い帽子とベストにループタイ姿の「ねじ君」こと長沼慎吾さんと、柔らかな雰囲気の百合子さん。百合子さんに感化され、「コーヒーにどっぷり」とのこと。青梅で焙煎とカフェを始め、以来ずっと時間のかかる手作業を続けている。抽出方法は、ペーパードリップ、サイフォン、水出しを長沼さんが担当。百合子さんは、手動式エスプレッソマシンで、手の感覚を頼りにコーヒーエキスを搾っている。季節限定アレンジも魅力で、春、ナッツラテは花柄に。12席の店内ではつながりある人の作品展示も開催。
これぞ、大人に愛されるお菓子『胡桃堂喫茶店』
西国分寺の人気店『クルミドコーヒー』の2号店で、一昨年3月に開店。『クルミドコーヒー』が子供にも人気のヨーロッパテイストでまとめられているのに対して、こちらはぐっと大人をひきつけるオーセンティックな趣だ。お菓子はひとつひとつ店内で手作り。ふわりと焼き上げたカステラに、自家製つぶあん、ホイップを挟んだシベリアは、年配の方にも「なつかしい」と喜ばれている。コーヒーは、札幌の『菊地珈琲』でダブル焙煎された豆を使用。円みのある酸味が緩やかに広がっていく浅煎りは、甘めに炊いたつぶあんとよく合う。
おいしさは店主が誠実である証し『おやつ工房 さかみち』
「特に変わったことはしていません。基本を守っているだけなんですよ」と笑う店主の坂井美知子さん。厳選された品揃えのケーキ、焼き菓子をじっくり味わえば、坂井さんの誠実さが確かに伝わってくる。タルトは、クッキー生地にぎゅっと敷き詰められたクレームダマンドが、トッピングされたジューシーなフルーツをしっかりと下支え。醸し出されるアーモンドの香りが甘みと合わさり、ふくよかな味わいを生んでいる。ちなみに、店は平地に立っているが、名前が坂井美知子さんだから、略して『さかみち』!
取材・文=松井一恵、信藤舞子 撮影=千倉志野、オカダタカオ 構成=林本啓祐