ハレの国分寺(陽)と、ケの青梅(陰)。『ねじまき雲』にある2つの顔。「すごいコーヒーと渋い店内。大ブレイクするに違いない」と確信を持ち、青梅で開店したのは、2006年のこと。「青梅では、少し早すぎました」と、店主の長沼慎吾さんは振り返る。2012年、青梅は研究の場としてそっくりそのまま残し、 23 ㎞東の国分寺に新店を作った。

パリッとハードに 寡黙な感じでやってます

国分寺の(陽)は広く扉を開くので、入店についてお願いを明記。長沼さんは、紐タイを結んだよそいきスタイルで、自ら焙煎した豆に涙の雫みたいな湯を落として抽出する。メニューも豊富で、ハンドマシンで抽出するエスプレッソや、こしあん羊羹などスイーツも光る。

左/客席からは長沼さんの手元、 エスプレッソマシンは見えな い。右/(陽)の店内。独りの時間を。
コーノブレンド「旋風(つむじ)」700円。
青梅から持ってきた窓枠。

不思議と内向的な 心優しい人が集います

国分寺が定休日の水曜日は、ホームの青梅へと戻る。小型焙煎機で延々かつ黙々 と焙煎と向き合った後、22 時からは喫茶営業が始まる。エプロン姿のラフな長沼さんは、なじみ深い常連客に囲まれて、青梅でしか使わないネルを取り出す。メニューは、コーヒー6種とウイスキーしかなく、お菓子 はお客が持参する。

左/丸見えの抽出風景。右/(陰)の店内。常連客はそれぞれ定位置を持つ。
ネルドリップで淹れるデミタスの「あさつゆ」800円。
水曜日は焙煎日。

(陰)と(陽)、店の雰囲気や客層、そして長沼さんの様相も真逆だが、国分寺には月のモビール、青梅には太陽のタペストリーを飾り、「2店で1つの宇宙観を表 現している」なんて言う。

長沼さんには、開店当初 から描いているイメージが ある。「『ねじまき雲』の心地よさを共感してくれる人が集う、みんなのサロンにしたい」。それが今、じわっとかない、集う人の展覧会を開催するなどおもしろい文化を発信し始めている。

住所:東京都国分寺市東元町2-18-16 吉野ビル104/営業時間:14:00~21:30LO/定休日:水・木/アクセス:JR・私鉄国分寺駅から徒歩5分
住所:東京都青梅市上町326-1/営業時間:22:00~23:30LO/定休日:水のみ営業/アクセス:JR青梅線青梅駅から徒歩5分

構成=林本啓祐 取材・文=松井一恵 撮影=千倉志野