人もまばらで、ゆったりした空気が流れる土曜朝。まずは日本橋三井タワーで2019年秋に開店した『IPPUKU&MATCHA』へ。シングルオリジンの宇治抹茶を1杯ずつ茶筅で点て気軽に出してくれる。「茶葉を丸ごととれる抹茶は天然のエナジードリンク。朝飲むと頭がすっきりします」と店員さんの言葉に気分が上がる。同じく新オープンのコレド室町テラスには台湾茶の老舗『王德傳』が日本初出店。グラスに注いだフレッシュティーは泡が立ってビールみたい!
一方、日本茶の老舗といえば、元禄3年(1690)創業の山本山。昨年、日本橋髙島屋S.C.新館と共にオープンした『ふじヱ茶房』では、江戸で初めて販売したという宇治茶で一服だ。
「日本茶はもっと遊べるお茶! いろんな香りを通して、国際的な日本橋で日本茶のよさを広めたい」と語るのは、日本茶フレーバーティー専門店『おちゃらか』のダントン・ステファンさん。その種類は青りんごに焼きいもにコーラ!? でもあくまでも茶葉が主役で、香りはほんのり。日本茶の可能性を思い知る。人形町の『ShiZenTea』も、「日本茶は飲める場がなければ広まらない」とアメリカ出身の麻生ジョー陽介さんが昨年開いた日本茶カフェ。手軽な茶こしでも十分おいしいことに驚いた。浜町の『salon de thé PAPIER TIGRE』はフランス文具店でなぜ日本茶? と思えば、「日本で開くなら日本茶でしょ」とのシンプルな理由。和菓子屋の多い土地柄もポイントだったとか。
そう、和菓子といえば日本橋はどら焼きの名店揃い。食べ比べて〝私の一番〞を探そう。和に飽きたら洋もあるぞ。『ベーカリーポム』はあんこも自家製。小豆の皮がほっくり柔らかく優しい甘さだ。正統派な直球あり遊び心の変化球あり。伝統と革新が交わる街の今を表すような楽しいお茶とあんこにおなかいっぱい。
お抹茶だって気軽に飲みたい!『IPPUKU & MATCHA』
日本橋三井タワーで今秋に開店した。江戸時代から続く老舗茶農家の手摘みによる上質な宇治抹茶が気軽に味わえる抹茶スタンド。シングルオリジンの宇治抹茶を1杯ずつ茶筅で点て気軽に出してくれる。「茶葉を丸ごととれる抹茶は天然のエナジードリンク。朝飲むと頭がすっきりします」と店員さんの言葉に気分が上がる。人気ベーカリー『365日』のパンとコラボしたオリジナルの濃厚抹茶の板チョコのサンドもぜひ。店内奥には4席の茶室があり、宇治抹茶の飲み比べコースやおやつセットでゆっくりと一服も。
『IPPUKU & MATCHA』店舗詳細
本場の台湾茶の楽しさ発見!『王德傳 日本橋店』
台湾で1862年創業の老舗茶荘が日本初出店。厳選された産地のウーロン茶や緑茶、紅茶の茶葉を販売し、喫茶では台湾の茶師がその場で一杯ずつ作り提供する。フレッシュティーは専用の機器を用いてきめ細やかな泡を立てた面白い1杯。発酵度合いで異なる色味も楽しもう。茶にはケーキとドライフルーツが付く。
『王德傳 日本橋店』店舗詳細
五感で楽しむ至福の日本茶空間『山本山 ふじヱ茶房』
300年以上歴史のある山本山の創業地に開かれた喫茶店。茶を淹れる所作、注がれる湯の音、器から伝わる温度、香りと味と、茶を五感で楽しむことができる空間だ。店ゆかりの宇治茶や玉露はもちろん、点てた抹茶をかけて食べるアッフォガートなどの甘味も絶品。
『山本山 ふじヱ茶房』店舗詳細
日本茶+香り=楽しさ無限大!『おちゃらか』
2020年7月、現在の場所に移転オープン。緑茶やほうじ茶に多彩な植物や食品の香りをまとわせたオリジナルフレーバーティーの販売店『おちゃらか』。その種類は青りんごに焼きいもにコーラ!? でもあくまでも茶葉が主役で、香りはほんのり。日本茶の可能性を思い知る。「日本茶はもっと遊べるお茶! いろんな香りを通して、国際的な日本橋で日本茶のよさを広めたい」と語るのは、店主のダントン・ステファンさん。
『おちゃらか』店舗詳細
改装した古民家でお茶漬けサラサラ『ShiZen Tea』
「日本茶は飲める場がなければ広まらない」とアメリカ出身の麻生ジョー陽介さんが古民家を改装し、2018年オープン。燕三条のステンレス製の茶こしを使ってお茶を手軽に味わえる。扱う茶葉の産地は八女、静岡、鹿児島、京都など。1等米を緑茶や魚介だしの香る昆布茶でいただくお茶漬けもおすすめ。ワークショップも月数回開催。
『ShiZen Tea』店舗詳細
フランス文具と日本茶が一つ屋根の下『salon de thé PAPIER TIGRE』
1961年築の2階建て建築で営むのは、パリの文房具ブランドの国外第1号店。オシャレな文具が並ぶ傍らには日本茶サロンが併設される。フランス文具店でなぜ日本茶? と思えば、「日本で開くなら日本茶でしょ」とのシンプルな理由。扱う茶葉は全国の生産者から仕入れた無農薬の有機茶葉だ。抹茶ラテの抹茶は人形町の日本茶店、茶菓子も『玉英堂』からと、地元の味も生かされる。
『salon de thé PAPIER TIGRE』店舗詳細
ウサギの由来は店名にあり!?『日本橋 日月堂』
明治10年(1877)創業の和菓子店。看板商品のどら焼きは、店名の由来「日進月歩」の「月」にちなんだウサギの焼き印がポイント。国産小麦粉と餅飴を使う皮は、香ばしく小気味よい弾力。北海道産小豆を白ザラ糖の蜜に浸して3日かけて作るつぶあんは小豆本来の豆感が残り自然な甘み。
『日本橋 日月堂』店舗詳細
自家製あんこも魅力のパン屋さん『ベーカリーポム』
昭和3年(1928)に小伝馬町で創業し、31年前に移転。日本橋で貴重な自家製造パン店は具材も極力手作り。つぶあんも店主の祖父の代から店で炊く。使う小豆は豆問屋のご近所さんによるお見立て。靴のように大きなコッペパンあんこ、つぶあんぱん、ふわふわあんロールとあんこ系はどれも人気だ。
『ベーカリーポム』店舗詳細
取材・文=下里康子 撮影=山出高士
『散歩の達人』2019年12月号より