『三鷹 二葉』のばらちらし
海鮮キラめき 五感が悦(よろこ)ぶ宝石箱
思わず見ほれる麗しさ。2代目の松原弘忠さんは、「(惜しまれつつ閉店した)神楽坂『二葉』の叔父が考案したんです。芸妓さんたちが食べやすいようにって」と話す。コシヒカリの酢飯に穴子のツメをたらりとかけ、10種以上の具をちりばめる。貝、トロが加わる「上(じょう)」は贅沢至極で、まろやかな旨味の坩堝(るつぼ)。作りたてはふっくら、時間が経てば味がなじむ、異なる味に出合えるのもうれしい。宴用に皿を持参し、盛り付けてもらう常連も少なくない。
『三鷹 二葉』店舗詳細
『寿し屋のやすけ』の手巻き寿し
先っちょまで具がぎっしり!
押し寿司、太巻き、茶巾寿しなどもあるが、都内でも珍しい手巻き寿しがおすすめ。足立市場で仕入れたネタを惜しげもなく用いた6種類を、初代親方の味を実直に守った酢飯と、多少時間が経っても風味よく歯切れもいい海苔でくるり。なかでも、店主の古屋清隆さんに「出血大サービス」と言わしめるうには、まろやか&濃厚なウニの海の中を飯粒が泳ぐよう。ねぎとろのなめらかな甘みにもほれる。1本で食べ応え十分。手づかみでかぶりつけ!
『寿し屋のやすけ』店舗詳細
『西麻布 いなりや 呼きつね』のいなりずし
歯触りと香味に心躍る一口サイズ
袋状が多いなか、こちらは巻きタイプ。使うのは、熊本名産の南関(なんかん)揚げだ。「これは袋にならないんですよ」とは店主。炊いた揚げを、2日以上寝かせて味をなじませていて、上品でふくよかな旨味がのぼる。お寿司屋のオーナーが、お客様の手土産から考案した食べやすい小ぶりサイズで3種入りを用意。シャリにまぶした金胡麻と、炒って香ばしさと小気味いい歯触りを際立たせたクルミ、そして明太子や焼きのり、数の子など。豊洲仕入れの旬味が楽しみだ。
『西麻布 いなりや 呼きつね』店舗詳細
『すし乃池』の名代穴子寿司
時間をおいてもふわふわとろける
江戸前穴子をなるべく用い、握る直前にさっと炙って香ばしさを醸す。その風味を損なわぬよう、シャリは塩と酢で仕上げ、皮目に濃厚な穴子のツメをたっぷり。「店と同じ味が楽しめるように」と店主の野池幸三さんが工夫を凝らした名品だ。鼻を抜ける香味に、思わず鼻息が荒くなる。
『すし乃池』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=オカダタカオ