初めてでも懐かしい、昭和の味わい『にれの木 本門寺通り店』【池上】
池上で長年親しまれてきた釜めし屋を、近所の古民家カフェ『蓮月(れんげつ)』店主・輪島さんが引き継ぎリニューアルオープン。炊き上がりまで約20分。ワクワクしながら待つこの時間がすでにごちそうで、運ばれてきた釜めしの木蓋を開けるとふわぁっと上がる湯気とふくよかなお出汁の香り。食べる前からもううまい。五目釜めしは甘じょっばい鶏そぼろ、煮含めたシイタケやタケノコが炊き上がった米とこの上なく合い、海老、栗とのバランスも絶妙。「よくぞ先代の味を引き継いでくれました」と頭を下げたくなる。香ばしいおこげを頂く頃には心までホカホカに。
『にれの木 本門寺通り店』店舗詳細
目にも鮮やかな伊×和のオリジナル鍋『焼とり・鍋 炭トマ』【蒲田】
イタリアンのシェフと和食の料理人が腕をふるう店の看板は、特製トマトソースと3種のピリ辛合わせ味噌が効いたハイブリッド鍋。中央にこんもりと鎮座するトマトがスープにほどよく溶け込んだら、さぁ食べごろ。たっぷりの野菜やキノコ、備長炭で炙(あぶ)った地鶏肉やつみれが、ほんのり甘みとコクのあるピリ辛スープにからみ、口中に旨味があふれ出す。思わずスープを飲み干したくなるが、しばしの我慢を。炭トマならではの鍋の締め、とろーり熱々チーズリゾットが待っている。合いの手に炭火焼き鳥をはさみつつ、最後の一滴まで楽しみ尽くそう。
『焼とり・鍋 炭トマ』店舗詳細
スパイシーな香りに食欲が加速する『マーラータン 青山小火鍋 東京大森店』【大森】
中国でも有数の激辛料理で知られる湖南省で修業した紅(べに)さんがふるまう鍋は、タレを使わずスープと共に味わうスタイル。八角や草果、シナモンなど漢方と、骨付き豚肩肉が溶け合ったスープは濃厚でスパイシー。辛味も細かく調整できる。具材は下味をつけた柔らかい牛ハラミやラム、魚やロブスターの団子、凍(し)み豆腐、締めの春雨まで迷うほど。「このスープには大根がよく合うので外さないで」と紅さん。小皿で提供されるため、ガッツリ系にもヘルシー系にも自分仕様の火鍋をカスタマイズできる。一人でも楽しめる鍋のサイズ感もうれしい。
『マーラータン 青山小火鍋 東京大森店』店舗詳細
丁寧にとられた出汁の仕事に感嘆『うどん屋こはく 大森店』【大森】
店内はカウンター10席とほどよい広さ。厨房(ちゅうぼう)ではうどんを茹(ゆ)でる羽釜と、おでんの鍋が並んでグツグツ。期待はいやが上にも高まる。小麦の味が豊かな特注のうどんはほどよいコシ。伊吹産いりこ、ウルメイワシ、アゴ、カツオなどで贅沢(ぜいたく)にとった出汁の中で麺がツヤツヤに輝く。うどんと並ぶ名物が、この出汁で炊いたおでん。ダイコン、卵、こんにゃく、厚揚げとオーソドックスなタネながらそのビジュアルはなんと真っ黒。口に含むと意外なほどホッコリ優しい味わいで、二度驚く。季節限定の日本酒とも好相性で、知っておくとかなりうれしい大森の小確幸だ。
『うどん屋こはく 大森店』店舗詳細
取材・文=平野かおり 撮影=井上洋平(『にれの木 本門寺通り店』、『焼とり・鍋 炭トマ』)、逢坂聡(『マーラータン 青山小火鍋 東京大森店』、『うどん屋こはく 大森店』)
『散歩の達人』2026年2月号より






