懐かしさに魅了され幅広い世代が集う『酒場 シナトラ』

酒場シナトラ看板メニューである肉豆腐は、秋田牛のスネ肉をじっくり煮込みほろほろとした仕上がりに。
酒場シナトラ看板メニューである肉豆腐は、秋田牛のスネ肉をじっくり煮込みほろほろとした仕上がりに。

戦後からのバラック跡地に立つビル。その地下の隅っこの、昭和感を醸す酒場が大にぎわいだ。ガラスの引き戸を開くと、巨大なコの字カウンターがさらに膨れるほどの活気で、酒や料理を注文する声にBGMが遠ざかる。オープンキッチンで腕を振るうのは、系列のビストロで腕を鳴らした料理人たち。仏料理の繊細さを活かした肴が自慢だ。イチオシは、A4ランクの秋田牛で作る肉豆腐780円。一人客には小サイズを勧めてくれる。

BGMは忌野清志郎。
BGMは忌野清志郎。
い草が香る縄のれんが目印。目黒の地下街にひっそりとたたずむどこか懐かしい雰囲気。
い草が香る縄のれんが目印。目黒の地下街にひっそりとたたずむどこか懐かしい雰囲気。

『酒場 シナトラ』店舗詳細

住所:東京都品川区上大崎2-27-1サンフェリスタ黒B1/営業時間:17:00〜24:00LO(日・祝は17:00〜23:00LO)/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩2分

日本酒で楽しむ和ピンチョス『ぴんちょ』

待ち合わせのほか、満席でもここで飲みながら待つことができる。
待ち合わせのほか、満席でもここで飲みながら待つことができる。

酒の升や竹、白木など和のエッセンスに、スペインバスクを彷彿とさせるモダンなタイルを合わせるなど、権之助坂でひと際目を引くスタイリッシュな空間。スペインのサン・セバスチャンにあるバルからヒントを得て、独自に和と洋のアレンジを加えたフィンガーフードのピンチョスをつまみに日本酒が味わえる。雲丹とうふのタパスや、鮭クリームチーズに味噌を合わせるなどユニークで見た目もおしゃれ。好奇心がくすぐられる新しい出合いを楽しもう。

2階はムーディーな照明の下にテーブル席が並ぶ。
2階はムーディーな照明の下にテーブル席が並ぶ。
おまかせピンチョス3種盛合せ990円。
おまかせピンチョス3種盛合せ990円。

『ぴんちょ』店舗詳細

住所:東京都目黒区目黒1-6-13/営業時間:11:30~14:30・18:00~24:00(金は18:00~翌2:00、土は17:00~翌2:00、日・祝は17:00~23:00)/定休日:不定/アクセス:JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩5分

廃墟ガレージがクラフト酒場に大変身『ANOTHER 8』

京都醸造の「春夏秋冬」シリーズの夏。ラージ1200円。上州牛の燻製たたき1350円やカリフラワーのグリル800円。 ※メニューは変更になる場合あり。
京都醸造の「春夏秋冬」シリーズの夏。ラージ1200円。上州牛の燻製たたき1350円やカリフラワーのグリル800円。 ※メニューは変更になる場合あり。

坂道にあった古いガレージに惚れ、「ここで、職人魂が光る日本のお酒を広めたい」と、決意したオーナーの大東赳彦さん。キャッシュオンのラフさに加え、スタンド席もソファ席も配置し、使い方自在の空間を作った。酒は、縁起のいい「8」にあやかり、タップ8本(ビール7、ワイン1)、日本酒8本を常備。これらに、和洋中の幅広い料理が伴走する。サクッと1杯の予定が、アナログレコードも心地よく、店内を回遊する輩も。

メニューを手に「ご説明します」とスタッフの小松蓮さん。
メニューを手に「ご説明します」とスタッフの小松蓮さん。
DJが入る夜もある。
DJが入る夜もある。

『ANOTHER 8』店舗詳細

住所:東京都目黒区下目黒1丁目2−18/営業時間:17:00~翌1:00/定休日:火/アクセス:JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩4分

ワインをグビグビ飲めるカジュアル空間『目黒FLAT』

ピンチョスの盛り合わせ単品350円(3種1000円)。写真は鶏肉パテ、オリーブ、鶏ハムなど。八ヶ岳直送! 有機野菜盛りサラダ820円、がぶ飲みワイン500円。
ピンチョスの盛り合わせ単品350円(3種1000円)。写真は鶏肉パテ、オリーブ、鶏ハムなど。八ヶ岳直送! 有機野菜盛りサラダ820円、がぶ飲みワイン500円。

突き出しはカゴ盛りの自家製パン。氷が浮かぶジョッキワインともども、気張らない風情に小躍りしたくなる。二人組オーナーの一人、矢吹通康さんは和食出身だが、物件を見つけたとき「和食は合わない」と方向転換。料理もパンありきで攻める。クリームチーズで伸ばした鶏肉パテ、まろやかな酸味のピクルスはもちろん、有機野菜サラダのドレッシングですら、パンのソースに早変わり。皿をぬぐいながら、ワインが果てしなく進む。

右から矢吹さん、阿部剛大さん。
右から矢吹さん、阿部剛大さん。
パン屋も併設。
パン屋も併設。

『目黒FLAT』店舗詳細

住所:東京都品川区上大崎2-15-5 1F/営業時間:12:00~23:30/定休日:第2月/アクセス:JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩1分

日本酒ラバーズなら狂喜乱舞の酒肴揃い『居酒屋 友』

「店はまだ30年」と仲村夫妻。
「店はまだ30年」と仲村夫妻。

まず供されるのが突き出しの小鉢4品。大皿料理から取り分けられ、きんぴらやナスの揚げ浸しなどを肴に、いきなり日本酒がくいくい進む。酒は季節酒も含めて約60種。「蔵元に行くとつい飲みすぎて、夢かと思っちゃうから」(マスターの仲村実さん)。昨今は試飲会を巡り、室町、江戸、近代、現代で異なる仕込みを復刻した島根の隠岐誉と出合った。生粋の目黒っ子でもあり、地元の仲間たちが作る妙味も、メニューにのぼる。

手造りしゅうまい500円、大山鶏のレバーさし500円、突き出し4種、隠岐誉700円は室町時代の仕込み方。
手造りしゅうまい500円、大山鶏のレバーさし500円、突き出し4種、隠岐誉700円は室町時代の仕込み方。
「健康いちばん、笑顔はにばん、酒はまいばん」と掲げた入り口。
「健康いちばん、笑顔はにばん、酒はまいばん」と掲げた入り口。

『居酒屋 友』店舗詳細

住所:東京都品川区上大崎2-18-14-2F/営業時間:17:00 ~24:00/定休日:日・祝/アクセス:JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩2分

日本酒と洋食のマリアージュが楽しい『和酒バル KIRAZ』

利き酒セット3種1650円。前菜は日替わり。
利き酒セット3種1650円。前菜は日替わり。

「この数年で日本酒の種類が増えました」とオーナーの馬宮加奈さん。流通が発達し、無濾過の原酒が出回るようになった。若い杜氏が増え、蔵の個性を追求しようという気運が高まったことも大きい。何を隠そう、馬宮さんは『三芳菊酒造』の娘。実兄は杜氏だ。酒の選択肢が広がれば、料理との組み合わせパターンも増す。そこで馬宮さんが提案するのは、「素材を重んじる」スペイン料理。1年間熟成し、和三盆糖のような上品な甘みの和酒バルKIRAZプロデュース商品「Kinkon Tokyo 貴醸酒2018」は、スペインオムレツ(トルティージャ)に合わせると華やかな味わいに変貌するのが不思議だ。スペインの生ハムパテ(ソブラサーダ)には、軽やかな酸味が特徴の発泡酒「新政 天蛙」がソース代わりにピッタリ。まずは、日本酒3種に前菜5種が付く利き酒セットを試してみよう。

グラタン1430円。燻製にした魚介など、その時々で具材は変わる。しっかりした味の牡蠣のアヒージョ1760円には「三芳菊 阿波山田錦 特別純米無濾過生原酒」を。
グラタン1430円。燻製にした魚介など、その時々で具材は変わる。しっかりした味の牡蠣のアヒージョ1760円には「三芳菊 阿波山田錦 特別純米無濾過生原酒」を。
日本酒の間口を広げることが馬宮さんの第一義。ご実家の『三芳菊酒造』に限らず、全国各地の個性豊かな品々を揃える。野菜は農家から直送されたものを使い、ていねいに手作り。
日本酒の間口を広げることが馬宮さんの第一義。ご実家の『三芳菊酒造』に限らず、全国各地の個性豊かな品々を揃える。野菜は農家から直送されたものを使い、ていねいに手作り。

『和酒バル KIRAZ』店舗詳細

住所:東京都目黒区三田2-9-5 1F/営業時間:18:00~24:00/定休日:月(祝の場合は翌)/アクセス:JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩9 分

部位の違いが際立つホルモン専門店の煮込み『小野田商店』

もつ煮込みとプレミアムモルツ生ともに550円。なんとメニューのほとんどがワンコイン+税。
もつ煮込みとプレミアムモルツ生ともに550円。なんとメニューのほとんどがワンコイン+税。

牛スジ、牛タンシタ、ハチノスが入った煮込みは、味を自分で調整する。塩と黒胡椒とポン酢。猛暑日には塩を多めに入れて、ビールをグイっとやる。牛の内臓だけでつくった煮込みは牛の旨味がガツンとくる。その次は、煮込んだ豚タンをポン酢にちょいと付けて口に放り込む。またビールをグビグビっとやる。外から店内を覗くとバーと見紛うカウンターで、主の小野田慎史さんと世間話をしながら、煮込みとビールから始めるのがお決まりのパターン。最近は女子が予約して男子がついてくるパターンのほうが増えたって? へえ、時代も変わったもんだ。

店主の小野田さんはホルモンだけでなく焼酎の知識も豊富で、品揃えはマニア垂涎。
店主の小野田さんはホルモンだけでなく焼酎の知識も豊富で、品揃えはマニア垂涎。
口の中でほぐれるゆでタン。
口の中でほぐれるゆでタン。

『小野田商店』店舗詳細

住所:東京都目黒区上目黒3-7-3 AOI HOUSE NAKAMEGURO Nビル1F/営業時間:18:00~翌2:00(金は~翌3:00)/定休日:火/アクセス:東急東横線・地下鉄日比谷線中目黒駅から徒歩1分

その日仕入れた鮮度抜群のもつ焼きを味わえる!『スタミナ串焼き 仲垣』

店長の小川裕之さん。真剣な表情で、一串一串焼き上げていく。
店長の小川裕之さん。真剣な表情で、一串一串焼き上げていく。

「芝浦の市場で仕入れた新鮮なモツを、その日中に食べてもらいたい」という語る店主は、毎日市場で朝締め豚の内臓肉を仕入れるほど鮮度にはこだわる。メニューは、豚をメインに鶏や牛など25種類ほど揃うもつ焼きや一品料理など。どれも素材本来の味わいを活かすため、手を加え過ぎずシンプルに仕上げられている。専門店がコンセプトというだけあって、1人でも気兼ねなくおいしいもつ焼きをサクッと味わいに来られる、居心地の良い店だ。

焼きもの盛り合わせ5本1280円〜ともつ煮込み580円に、天然水モルツ生630円を合わせて。
焼きもの盛り合わせ5本1280円〜ともつ煮込み580円に、天然水モルツ生630円を合わせて。

『スタミナ串焼き 仲垣』店舗詳細

住所:東京都品川区上大崎2-14-3 三笠ビル2F/営業時間:17:00~23:00LO/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩2分

酒好きが集う、アットホームな大衆居酒屋『日本酒ほろよい党 目黒』

店名が書かれたのれんに電球の灯りが、大衆的な雰囲気を演出している。
店名が書かれたのれんに電球の灯りが、大衆的な雰囲気を演出している。

9坪というこぢんまりとした寛げる雰囲気の店内には、20〜60代までの幅広い年代の客が集う。お客さん同士の距離が近く、アットホームな雰囲気がウリで、「酒飲みのための大衆居酒屋」がお店のコンセプトだ。1合420円〜という、かなりリーズナブルな価格で楽しめる日本酒が常時16種のほか、和食店で修業したという店長・小野塚さんがつくる、日本酒のアテが30品ほど。大衆居酒屋というだけあって、どれも気軽にオーダーできるお手頃価格で、ついつい通ってしまいたくなる店だ。

豊洲市場仲卸が目利きした魚を仕入れて作った本日のお刺身3種盛り680円に、日本酒AKABU1合 850円。
豊洲市場仲卸が目利きした魚を仕入れて作った本日のお刺身3種盛り680円に、日本酒AKABU1合 850円。

『日本酒ほろよい党 目黒』店舗詳細

住所:東京都品川区上大崎2-13-45 グリーンビュー白金1F/営業時間:18:00〜0:30LO(お客さんがいる場合02:00LO)/定休日:土・日・祝(土・祝は不定期で営業)/アクセス:JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩2分

100種以上揃う日本酒から、自分好みの銘柄を探せる! 日本酒バル『目黒 いと。』

入手がなかなか難しいと言われる、十四代や而今(じこん)などの銘柄も揃う。
入手がなかなか難しいと言われる、十四代や而今(じこん)などの銘柄も揃う。

“地域密着型の毎日通えるような店”をコンセプトに、2014年12月目黒にオープンした『目黒 いと。』は、それぞれ違う個性をもつ系列店の日本酒バル『目黒 いと をかし。』と『目黒 いと スタンド』、合わせて3店舗を同じ目黒駅西口で運営している。
「今まで知らなかったような銘柄も飲んでみて、日本酒の奥深さを感じてもらえれば」という店長・服部さんの思いから、100種以上揃う日本酒は週に20〜30本ずつ銘柄を入れ替えている。ひと手間加えたほっと落ち着くような和食ベースの料理との相性も抜群で、まさに毎日飽きずに通えるような店なのだ。

右奥から、大山鶏のカラアゲ1320円、いとのなめろう1050円、ポテトサラダとレバーパテの相盛720円。日本酒産土(うぶすな)750円(100g)を合わせて。
右奥から、大山鶏のカラアゲ1320円、いとのなめろう1050円、ポテトサラダとレバーパテの相盛720円。日本酒産土(うぶすな)750円(100g)を合わせて。

『目黒 いと。』店舗詳細

住所:東京都品川区上大崎2-25-12 みすずビル3F/営業時間:18:00〜翌2:00LO/定休日:月/アクセス:JR山手線目黒駅から徒歩3分

取材・文・撮影=YUKI 取材=佐藤さゆり・松井一恵(teamまめ)、井島加恵、藤井誠二、信藤舞子、撮影=丸毛 透、猪俣慎吾、オカダタカオ、山出高士