懐かしさに魅了され幅広い世代が集う『酒場 シナトラ』
戦後からのバラック跡地に立つビル。その地下の隅っこの、昭和感を醸す酒場が大にぎわいだ。ガラスの引き戸を開くと、巨大なコの字カウンターがさらに膨れるほどの活気で、酒や料理を注文する声にBGMが遠ざかる。オープンキッチンで腕を振るうのは、系列のビストロで腕を鳴らした料理人たち。仏料理の繊細さを活かした肴が自慢だ。イチオシは、A4ランクの秋田牛で作る肉豆腐780円。一人客には小サイズを勧めてくれる。
『酒場 シナトラ』店舗詳細
日本酒で楽しむ和ピンチョス『ぴんちょ』
酒の升や竹、白木など和のエッセンスに、スペインバスクを彷彿とさせるモダンなタイルを合わせるなど、権之助坂でひと際目を引くスタイリッシュな空間。スペインのサン・セバスチャンにあるバルからヒントを得て、独自に和と洋のアレンジを加えたフィンガーフードのピンチョスをつまみに日本酒が味わえる。雲丹とうふのタパスや、鮭クリームチーズに味噌を合わせるなどユニークで見た目もおしゃれ。好奇心がくすぐられる新しい出合いを楽しもう。
『ぴんちょ』店舗詳細
廃墟ガレージがクラフト酒場に大変身『ANOTHER 8』
坂道にあった古いガレージに惚れ、「ここで、職人魂が光る日本のお酒を広めたい」と、決意したオーナーの大東赳彦さん。キャッシュオンのラフさに加え、スタンド席もソファ席も配置し、使い方自在の空間を作った。酒は、縁起のいい「8」にあやかり、タップ8本(ビール7、ワイン1)、日本酒8本を常備。これらに、和洋中の幅広い料理が伴走する。サクッと1杯の予定が、アナログレコードも心地よく、店内を回遊する輩も。
『ANOTHER 8』店舗詳細
ワインをグビグビ飲めるカジュアル空間『目黒FLAT』
突き出しはカゴ盛りの自家製パン。氷が浮かぶジョッキワインともども、気張らない風情に小躍りしたくなる。二人組オーナーの一人、矢吹通康さんは和食出身だが、物件を見つけたとき「和食は合わない」と方向転換。料理もパンありきで攻める。クリームチーズで伸ばした鶏肉パテ、まろやかな酸味のピクルスはもちろん、有機野菜サラダのドレッシングですら、パンのソースに早変わり。皿をぬぐいながら、ワインが果てしなく進む。
『目黒FLAT』店舗詳細
日本酒ラバーズなら狂喜乱舞の酒肴揃い『居酒屋 友』
まず供されるのが突き出しの小鉢4品。大皿料理から取り分けられ、きんぴらやナスの揚げ浸しなどを肴に、いきなり日本酒がくいくい進む。酒は季節酒も含めて約60種。「蔵元に行くとつい飲みすぎて、夢かと思っちゃうから」(マスターの仲村実さん)。昨今は試飲会を巡り、室町、江戸、近代、現代で異なる仕込みを復刻した島根の隠岐誉と出合った。生粋の目黒っ子でもあり、地元の仲間たちが作る妙味も、メニューにのぼる。
『居酒屋 友』店舗詳細
日本酒と洋食のマリアージュが楽しい『和酒バル KIRAZ』
「この数年で日本酒の種類が増えました」とオーナーの馬宮加奈さん。流通が発達し、無濾過の原酒が出回るようになった。若い杜氏が増え、蔵の個性を追求しようという気運が高まったことも大きい。何を隠そう、馬宮さんは『三芳菊酒造』の娘。実兄は杜氏だ。酒の選択肢が広がれば、料理との組み合わせパターンも増す。そこで馬宮さんが提案するのは、「素材を重んじる」スペイン料理。1年間熟成し、和三盆糖のような上品な甘みの和酒バルKIRAZプロデュース商品「Kinkon Tokyo 貴醸酒2018」は、スペインオムレツ(トルティージャ)に合わせると華やかな味わいに変貌するのが不思議だ。スペインの生ハムパテ(ソブラサーダ)には、軽やかな酸味が特徴の発泡酒「新政 天蛙」がソース代わりにピッタリ。まずは、日本酒3種に前菜5種が付く利き酒セットを試してみよう。
『和酒バル KIRAZ』店舗詳細
部位の違いが際立つホルモン専門店の煮込み『小野田商店』
牛スジ、牛タンシタ、ハチノスが入った煮込みは、味を自分で調整する。塩と黒胡椒とポン酢。猛暑日には塩を多めに入れて、ビールをグイっとやる。牛の内臓だけでつくった煮込みは牛の旨味がガツンとくる。その次は、煮込んだ豚タンをポン酢にちょいと付けて口に放り込む。またビールをグビグビっとやる。外から店内を覗くとバーと見紛うカウンターで、主の小野田慎史さんと世間話をしながら、煮込みとビールから始めるのがお決まりのパターン。最近は女子が予約して男子がついてくるパターンのほうが増えたって? へえ、時代も変わったもんだ。
『小野田商店』店舗詳細
その日仕入れた鮮度抜群のもつ焼きを味わえる!『スタミナ串焼き 仲垣』
「芝浦の市場で仕入れた新鮮なモツを、その日中に食べてもらいたい」という語る店主は、毎日市場で朝締め豚の内臓肉を仕入れるほど鮮度にはこだわる。メニューは、豚をメインに鶏や牛など25種類ほど揃うもつ焼きや一品料理など。どれも素材本来の味わいを活かすため、手を加え過ぎずシンプルに仕上げられている。専門店がコンセプトというだけあって、1人でも気兼ねなくおいしいもつ焼きをサクッと味わいに来られる、居心地の良い店だ。
『スタミナ串焼き 仲垣』店舗詳細
酒好きが集う、アットホームな大衆居酒屋『日本酒ほろよい党 目黒』
9坪というこぢんまりとした寛げる雰囲気の店内には、20〜60代までの幅広い年代の客が集う。お客さん同士の距離が近く、アットホームな雰囲気がウリで、「酒飲みのための大衆居酒屋」がお店のコンセプトだ。1合420円〜という、かなりリーズナブルな価格で楽しめる日本酒が常時16種のほか、和食店で修業したという店長・小野塚さんがつくる、日本酒のアテが30品ほど。大衆居酒屋というだけあって、どれも気軽にオーダーできるお手頃価格で、ついつい通ってしまいたくなる店だ。
『日本酒ほろよい党 目黒』店舗詳細
100種以上揃う日本酒から、自分好みの銘柄を探せる! 日本酒バル『目黒 いと。』
“地域密着型の毎日通えるような店”をコンセプトに、2014年12月目黒にオープンした『目黒 いと。』は、それぞれ違う個性をもつ系列店の日本酒バル『目黒 いと をかし。』と『目黒 いと スタンド』、合わせて3店舗を同じ目黒駅西口で運営している。
「今まで知らなかったような銘柄も飲んでみて、日本酒の奥深さを感じてもらえれば」という店長・服部さんの思いから、100種以上揃う日本酒は週に20〜30本ずつ銘柄を入れ替えている。ひと手間加えたほっと落ち着くような和食ベースの料理との相性も抜群で、まさに毎日飽きずに通えるような店なのだ。
『目黒 いと。』店舗詳細
取材・文・撮影=YUKI 取材=佐藤さゆり・松井一恵(teamまめ)、井島加恵、藤井誠二、信藤舞子、撮影=丸毛 透、猪俣慎吾、オカダタカオ、山出高士