ゆるさがくせになる下北夏の風物詩。『プチガーデン下北沢』[下北沢]
飲み屋街を越えた広場に、欧風屋根の小屋が建ち並んだのは2012年。毎年、夏季限定のビアガーデンが開かれている。「今年も“待ってました!”と声をかけられたんです」と、店長の斎藤達也さん。酒とつまみの注文は、奥の小屋でキャッシュオン。枝豆や揚げたてのハムカツもいいけれど、棚に並んだ缶詰にも目移り。ベンチ席で夏の夜風を浴び、ビールを喉に通す痛快さはたまらないが、しゃれた小屋で飲むのもこの場所ならではの楽しみ。
『プチガーデン下北沢』店舗詳細
ワインと料理とキノコに心おどる。『お食事とお酒 hanaiguchi』[永福町]
電球が照らす食卓は、木の素朴さが手に伝わるもの。席に着けば、窓から通り抜ける風が心地いい。店には大きなテーブルが備えられ、「お客様同士が同じ卓を囲んで、つながっていけたら」と、店主の今村崇司さん。たとえ一人でも、手の込んだタパス4種類を盛ったお一人様用セットがあり、皿の上はにぎやか。今村夫妻が大好きなキノコを盛り込んだ締めもある。20種ある赤白泡のワインには、稀有なものも。ゆるりと味わいたい。
『お食事とお酒 hanaiguchi』店舗詳細
職人の技が光る割烹居酒屋。『松見坂 味げん』[駒場東大前]
こぢんまりとした店内の壁に貼られたお品書きは、手に入った食材によって、大将の木村元(はじめ)さんが書き直しているのだとか。自家製コロッケを注文すると「これは、僕が料亭で小僧と呼ばれていたころに賄いで作っていたやつでねえ」と、目を細める。まんまるに揚がったコロッケに詰まったジャガイモはホクホク。また、締めも外せない。ふんわりと焼かれた鮭ハラスをほぐし、ふんだんにのせた丼は、常連さんからも人気の一品だ。
『松見坂 味げん』店舗詳細
うれしい酒肴が揃うセンベロ酒場。『やきとん あかね』[久我山]
芝浦仕入れの豚を、炭火で焼き上げるやきとんが旨味凝縮。でも、その日のおすすめには、馬肉のさくら寿司や鮮魚なども記され、ラインナップの幅広さといったら。「常連さんに馬肉屋さんや、釣り好きがいて。釣果をけっこう持ってきてくれるんです」と、店主の山田和人さん。ビア樽にクッションをのせた、ザ・大衆酒場には、毎夜暖簾(のれん)をくぐる常連が少なくないのも納得だ。
『やきとん あかね』店舗詳細
自慢の日本酒をとくと味わおう。『酒とさか菜』[神泉]
「自分がもっとも好きな味の日本酒を、店で出したい!」とは、女将の髙塚正子さん。愛知の『関谷醸造』から協力を得て、オリジナルの純米大吟醸“酒とさか菜”を設計、自ら仕込みにも赴いている。どっしりと米の甘さを感じるこの酒に合わせるつまみは、静岡出身の大将・茂樹さんが仕込む静岡おでんが外せない。串に刺さった黒はんぺんに出汁が染みて、ほどよく甘辛。かつお節と青のりの風味が混ざり、日本酒にぴったりだ。
『酒とさか菜』店舗詳細
雑多で濃密なローカル酒場。『ボエーム』[三鷹台]
看板には「音楽とウイスキー」の文字。扉を開ければ、範子ママが「初めまして? かしら」と微笑む。バーボンやスコッチもあるが、小樽出身のママがこよなく愛するウイスキーはニッカ。ちびちび舐めながら、焼き魚やふわふわのしゅうまいなど、ほっこり和む手料理をつまむのもいい。店内を流れるのは、ジャズロックや荒木一郎などなど。やがて常連が集まり、カウンターに並ぶとディープさがパワーアップ。夜はにぎやかに更けていく。
『ボエーム』店舗詳細
ミュージシャンが創った飲めるレコード屋。『飲み屋 えるえふる』[新代田]
「レコード屋のスペースがある飲み屋があったらおもしろいよね」。そんな会話をきっかけに、ミュージシャンの會田洋平さん・辻友貴さんが2015年に開業。ドリンクにはアールグレイ茶割り290円に、赤唐辛子と大葉を入れた金魚酎など。フードにはもやしナムル150円、とり天ほか酒飲みが喜ぶ品が並び、しかも安い! 「酒場で気に入ったものを『これくらなら出す』という値段で作ってるだけなんです」と酒場ライターの顔も持つ會田さん。店内のレコード屋の名は「LIKE A FOOL RECORDS」。商品は視聴も可能だ。
『飲み屋 えるえふる』店舗詳細
気分は中東の水タバコバー。『ALADDIN』[吉祥寺]
現地スタイルの本格的なシーシャ(水タバコ)バー。フレイバーは約30種、各1500円。チャージ有500円。約2時間じっくり楽しめる。初心者にはスタッフがアドバイスしてくれる。水タバコとは別に、1ドリンク400円~の注文が必要。
『ALADDIN』店舗詳細
肉汁たっぷりの焼き立てチキンを。『POLLO』[吉祥寺]
看板メニューは、ローズマリーで香りづけし、じっくり焼き上げるジューシーなひな鶏。塩漬けした豚のスネ肉をボイルしたアイスバイン。12月22~25日は、クリスマス用ローストチキンのテイクアウトのみの営業。
『POLLO』店舗詳細
構成=柿崎真英 取材・文=高橋健太・佐藤さゆり・信藤舞子(teamまめ)、古澤誠一郎 撮影=高野尚人、オカダタカオ、金井塚太郎、門馬央典