招福猫児(まねぎねこ)が心願成就を約束「大谿山 豪徳寺」【豪徳寺】

招福殿の奥にある招福猫児奉納所。ここを訪れると無数の招き猫に取り囲まれ、一斉に語りかけられているような気分になる。
招福殿の奥にある招福猫児奉納所。ここを訪れると無数の招き猫に取り囲まれ、一斉に語りかけられているような気分になる。

江戸時代前期のある夏の午後、鷹狩りの帰りだった彦根城主・井伊直孝が門前を通ると猫に手招きされたそう。不思議に思いつつ和尚に声をかけ、休憩させてもらうと突然の雷雨。おかげで濡れずにすんだ直孝はここを菩提寺とし、豪徳寺ではやがて招き猫を「招福猫児」と呼び大切に祀(まつ)るようになった。現在招福殿の奥には参詣者が奉納した招福猫児が。長年かけて数が増え、圧巻の景色に。

本堂の前で休憩する猫。なお、かつて世田谷周辺は彦根藩の領地だった。「あちこちに隠れている招福猫児を探すニャ!」。
本堂の前で休憩する猫。なお、かつて世田谷周辺は彦根藩の領地だった。「あちこちに隠れている招福猫児を探すニャ!」。
三重塔にもいくつかの招福猫児が潜む。
三重塔にもいくつかの招福猫児が潜む。
招福猫児が描かれた絵馬。
招福猫児が描かれた絵馬。
御朱印帳(白)2000円。
御朱印帳(白)2000円。
駅名標キーホルダー800円。
駅名標キーホルダー800円。

「大谿山 豪徳寺」詳細

住所:東京都世田谷区豪徳寺2-24-7/営業時間:6:00〜17:00(寺務所受付は8:00~12:00・13:00~15:00)/定休日:無/アクセス:東急電鉄東急世田谷線宮の坂駅から徒歩5分、小田急電鉄小田原線豪徳寺駅から徒歩15分

参詣者に眠り猫がほほえむ「荻窪白山神社」【荻窪】

木のウロを見ると招き猫が隠れていた。
木のウロを見ると招き猫が隠れていた。

十二支に猫が入れなかった理由には諸説あるが、ネズミに騙(だま)されたというのが有力。それをかわいそうに思ったこちらの神職が、境内に眠り猫の石像を置いたのだという。東日本大震災以降、癒やしを求めて参拝に訪れる人が増えると、少しでも和んでもらおうと猫の石像を増やした。時には、遊びに来た地域猫が日向ぼっこしていたり、石像の上で昼寝する姿が見られることも。

手水舎にも猫の石像。猫が掲げる白い球から手水が流れ出る。
手水舎にも猫の石像。猫が掲げる白い球から手水が流れ出る。
境内には、2匹の眠り猫が。参詣後にじっくり散策し、探してみよう。
境内には、2匹の眠り猫が。参詣後にじっくり散策し、探してみよう。
参道に沿って木々が立ち並び、落ち着いた雰囲気。
参道に沿って木々が立ち並び、落ち着いた雰囲気。
御朱印帳2000円。
御朱印帳2000円。
猫みくじ500円。
猫みくじ500円。
なごみ守り700円。
なごみ守り700円。

「荻窪白山神社」詳細

住所:東京都杉並区上荻1-21-7/営業時間:6:00~17:00(社務所受付は10:00~12:00・13:00~16:00)/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩5分

太田道灌を勝利に導いた黒猫「自性(じしょう)院無量寺」【落合南長崎】

猫地蔵堂の観音像。光背に注目すると、猫の顔が描かれているのが分かる。
猫地蔵堂の観音像。光背に注目すると、猫の顔が描かれているのが分かる。

猫地蔵堂に祀られた観音像の周りには、参詣者が奉納した招き猫がずらり。年に一度、節分の日に開帳される秘仏の猫地蔵は、室町時代の武将・太田道灌が納めたものとされる。一説によると、江古田原・沼袋の戦いで形勢が不利になり、夜道を彷徨(さまよ)っていたところ黒猫に手招きされ、こちらに辿(たど)り着いた。それで命を救われたとその猫を連れ帰ってかわいがり、御礼に奉納したのが猫地蔵だったとか。

猫地蔵堂には、太田道灌を助けた黒猫にちなんで納められたのか、黒い招き猫も多い。
猫地蔵堂には、太田道灌を助けた黒猫にちなんで納められたのか、黒い招き猫も多い。
静かな境内。三味線になった猫を供養するための猫塚もある。
静かな境内。三味線になった猫を供養するための猫塚もある。
「私は門柱の上から街を見守っています」。
「私は門柱の上から街を見守っています」。

「自性院無量寺」詳細

住所:東京都新宿区西落合1-11-23/営業時間:9:00~17:00/アクセス:地下鉄大江戸線落合南長崎駅から徒歩3分

愛らしいみーちゃんを偲(しの)んで「戸越八幡神社」【戸越】

巨大絵馬「ミィドラゴン」(作画・奉納:手留手)。みーちゃんも描き込まれている。
巨大絵馬「ミィドラゴン」(作画・奉納:手留手)。みーちゃんも描き込まれている。

三毛猫のみーちゃんは神社の人気者だった。2023年9月に亡くなるまで20年以上境内で暮らし、そのみーちゃんに会うためわざわざ遠くから足を運ぶ参詣者も多かったようだ。「授与所の担当者がたまたま席を外していた時、みーちゃんがいつのまにか来て、店番のように座っていたことがあります」と、イラストレーターの猫田ぴろみさん。特別御朱印や手描き木札お守りなど、猫田さんが手掛けた授与品も人気だ。

休憩スポットが多く、近隣住民の憩いの場に。みーちゃんカフェも営業中。
休憩スポットが多く、近隣住民の憩いの場に。みーちゃんカフェも営業中。
生前の写真が飾られたみーちゃんのお墓。
生前の写真が飾られたみーちゃんのお墓。
にゃまびえ様特別御朱印500円。
にゃまびえ様特別御朱印500円。
手描き木札お守り1000円。
手描き木札お守り1000円。
手描き木箱1000円(※御守りは別売り・商売繁盛700円)。
手描き木箱1000円(※御守りは別売り・商売繁盛700円)。

「戸越八幡神社」詳細

住所:東京都品川区戸越2-6-23/営業時間:境内自由(社務所受付は9:00~16:00)/アクセス:地下鉄浅草線戸越駅から徒歩5分

福猫が願いをかなえてくれる「代田八幡神社」【世田谷代田】

天明5年(1785)に寄進された石鳥居。世田谷区内で2番目に古い鳥居と言われる区指定有形文化財。三毛猫のふくちゃんは100匹中1匹しかいない珍しいバージョン。
天明5年(1785)に寄進された石鳥居。世田谷区内で2番目に古い鳥居と言われる区指定有形文化財。三毛猫のふくちゃんは100匹中1匹しかいない珍しいバージョン。

こぢんまりとした境内はいつもきれいで清々しい。天正15年(1591)に創建されて以来、代田地区の鎮守の神としてずっと人々を見守ってきた。福猫「ふくちゃん」は、近所にある縁起物雑貨と本の店『ふくもの堂』とのコラボによって生まれ、2018年から正式に授与品の仲間入り。肩に担いだ福袋には持ち主の願い事を入れているそうで、日ごろから感謝し、優しい心でふくちゃんを撫(な)でると大きく育ててくれるという。

御利益は出世開運と武運長久。
御利益は出世開運と武運長久。
境内で地域の催しが開かれることも。
境内で地域の催しが開かれることも。
御朱印500円。
御朱印500円。
ふくちゃん 各1000円。「願い事を紙に書いて首元の水引に結ぶニャ」。
ふくちゃん 各1000円。「願い事を紙に書いて首元の水引に結ぶニャ」。

「代田八幡神社」詳細

住所:東京都世田谷区代田3-57-1/営業時間:境内自由(社務所受付は9:00~16:00)/アクセス:小田急電鉄小田原線世田谷代田駅から徒歩4分

仲睦(むつ)まじく2匹の招き猫が並ぶ「今戸神社」【浅草】

社殿の前で肩を寄せ合う招き猫。その奥にも大きな招き猫が鎮座する。「この先も末永く一緒に仲良しでいようね」。
社殿の前で肩を寄せ合う招き猫。その奥にも大きな招き猫が鎮座する。「この先も末永く一緒に仲良しでいようね」。

夫婦の神である伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)が祀られていることから、縁結びや恋愛成就、夫婦円満の御利益があるとされる神社。こちらの招き猫は2匹がぴったり寄り添っているのが特徴で、仲の良い様子が表現されている。周辺地域では18世紀から今戸焼の生産が盛んになり、そのうちの一つとして招き猫も作られるようになった。そのため、今では招き猫の発祥地の一つとしても広く知られている(諸説あり)。

授与品の招き猫もつがいになっている。
授与品の招き猫もつがいになっている。
ナミちゃんと呼ばれる白猫がよく遊びに来る。会えるとラッキー。
ナミちゃんと呼ばれる白猫がよく遊びに来る。会えるとラッキー。
人々の願いが込められた絵馬。
人々の願いが込められた絵馬。
御朱印帳1500円。
御朱印帳1500円。
恋勝みくじ200円。
恋勝みくじ200円。
縁結御守 各800円。
縁結御守 各800円。

「今戸神社」詳細

住所:東京都台東区今戸1-5-22/営業時間:境内自由(社務所受付は9~16時)/定休日:無/アクセス:私鉄・地下鉄・つくばエクスプレス浅草駅から徒歩15分

取材・文=信藤舞子 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2024年12月号より