アップデートし続ける相模原流サロン文化『古本屋カフェ サニーデイリング』【淵野辺】
「大学演劇部の大道具さんから教えてもらって」と、店主の岩崎翔さんがセルフDIY。ジャングルと化す本棚に、獣医学などの教科書、サブカル本、聖書などを並べている。カオスなラインアップに触発されてか、短歌サロンとなったり、雑誌を作ろうと話したり、文化活動も活発だ。「ボードゲームに熱中する大人たちが勉強する中学生に怒られたこともあります」と頭をかくほど、雑談できる朗らかさ。「しゃべりに来る常連のため」、岩崎さんと話せる席もある。
『古本屋カフェ サニーデイリング』店舗詳細
狭小空間にせめぎあうアートな珍奇世界『奇妙な植物園』【相原】
小さな商店街の一角。2階に上がると珍奇植物がわんさか。「いびつでちょっと気味悪い、シュールなアートが好き」と話す園長さんは、「植物はアート」と、マダガスカルや南アフリカの乾燥地植物、南米ジャングルの熱帯植物など、マイノリティーを揃える。さらに、植物を眺めてまったりお茶できるように、店の半分をブックカフェにした。「店員からは話しかけません」と言うが、ひとたび尋ねると堰(せき)を切ったように目尻を下げ話し始める園長さんとの時間も楽しい。
『奇妙な植物園』店舗詳細
混沌としながらも凝縮する多国籍カルチャー『ロッサアバウ』【相武台前】
一見、エスニック雑貨店。インド、タイなどの雑貨に混じり、店主・渡邉直美さんの母手作りの小バッグも並ぶ。けれど、店に入ると広々としたテーブル2卓が現れる。渡邉さんは現地で買い付けたインディアンジュエリーの店を下北沢などで構えたが、実家を改装して移転。「海外で食べて衝撃だった」というナスのフムスやインドカレーなど、総菜満載の手料理スパイス使いが絶妙で、香りのトリコに。奥に風呂場を改築した小部屋も。「インド人の夫がタブラ奏者で教室もありますよ」。
『ロッサアバウ』店舗詳細
感性の高さにも驚く、住宅地に潜む南アフリカ『ばりん家(ち)』【橋本】
民家風建物の前に看板はあるものの、どこか謎めく風情。中に入れば、のどかなカフェ空間の奥、南アフリカのクールなクラフト雑貨が満載だ。結婚を機に現地の文化に魅了された店主のバリ紗李奈さんは「エシカルなローカルブランドを日本に広めたい」と、ネットショップから始め、母・サカモト瞳さんの「カフェをやりたい」の言葉に背中を押された。看板はルイボスティのラテ。現地ではレッドラテと呼ぶポピュラーなノンカフェインドリンクは、おだやかな発酵香がクセになる。
『ばりん家』店舗詳細
取材・文=林さゆり 撮影=加藤熊三
『散歩の達人』2024年11月号より