冨久晴

戦後創業、セピア色の佇まいに酔う

武さん、時男さんの優しい兄弟で切り盛り。一見さんも楽しく飲める。

創業は1949年。コの字カウンターは夕方から常連で埋まっていき、注文のメモはカウンター裏にチョークで書くという、正しき大衆酒場。「品書きや仕入れ先までじいちゃんの代からほとんど変えてません」と3代目の青木武さん。看板は毎朝芝浦の市場から届くモツを焼く、もつ焼き各140円。初代から注ぎ足しのタレで焼くレバもうまいが、出色は辛味噌で味わうナンコツたたき。ナンコツのコリコリ感とパンチのある味噌味がホッピーを誘引!

かしらやしろなどもつ焼きは8種。塩で焼くものは辛味噌も別容器で出してくれる。左はにら玉450円、奥は煮込み400円。ホッピー450円。
もつ焼は3代目が備長炭で焼く。
今や希少な酒燗器も。
住所:東京都豊島 区南大塚2-44-6 飯田ビル1F/営業時間:16:00〜22:00/定休日:日/アクセス:JR山手線大塚駅・都電荒川線大塚駅前停留場から徒歩3分

煮込 千成本店

黒光りの梁の下、とろとろ牛モツで一献

「煮込みは味噌仕立て。20時ごろに無くなることも多いの」と女将。

会津若松の築100年以上の古民家を移築し、店を始めて早や半世紀。歴史の重ね着が、山手線駅前とは思えない味のある雰囲気を醸しだす。店の顔は芝浦の市場から仕入れた朝じめ牛モツがたっぷりの煮込み。「脂を蓄えたいい牛モツだから丁寧にアクをとるの」とは昼過ぎから鍋番をする女将の財津千代子さん。同じく朝じめのモツを使うもつ焼き各120円で杯を重ねたら、シメはまかないから生まれたうにスパゲッティ1380円で決まり!

2代目の龍夫さんと千代子さん、長女の綾子さんを中心に切り盛り。
煮込み593円、日本酒中徳利1646円など。
住所:東京都豊島区巣鴨2-3-8 第2ゆたかビル1F・2F/営業時間:16:00~22:50(祝は~21:50)/定休日:日/アクセス:JR 山手線・地下鉄三田線巣鴨駅から徒歩1分

KUSHIKOMA 井こし

地酒がグイグイ進む、創作つまみの数々

手前からお新香の玉子焼き、能登のイシリを使ったレバパテ540円。

店主の井越克徳(かつのり)さんは、地酒好きが集う大塚の名店『串駒』から2003年に独立。常時20種以上揃う日本酒の多くが、旨味ののった純米や純吟だ。「火入れしていないフレッシュな生酒が好きなんです」。肴がまた、イシリ(イカの魚醤)を使った焼さばのサラダ600円(税別)やお新香の玉子焼き500円(税別)など、地酒を加速させるものばかり。「料理人歴も日本酒歴ももう40年(笑)。どの食材の組み合わせが日本酒に合うかは大体心得ているつもりです」。

店主の井越さん。全15席。白山通りから1本入った路地にある。
紀土純吟生670円、巌純吟オリ864円(各1合)など。
住所:東京都豊島区巣鴨1-18-1/営業時間:17:30~24:00/定休日:無(臨時あり)/アクセス:JR 山手線・地下鉄三田線巣鴨駅から徒歩4分

駒露地

おしどり夫婦と多彩な酒肴に憩うひととき

中央が志乃吹さん。2 階はちゃぶ台の座敷席。

取材当日、黒板にはうなぎ串313円やねぎとろとアボカド豆腐518円など50種近くの品書きがずらり。「仕入れ先の千住の魚河岸で食材を見てると、あれもこれも食べてほしいって浮かんできて。妻にはほどほどにねって言われますが(笑)」と店主の高橋義明さん。奥さんの志乃吹さんがおもに選んだ地酒も20種近くあり、杯を重ねていると隣で常連がひとこと。「この店は、朗らかな奥さんと寡黙で真面目なご主人の人柄が一番の魅力だね」。(2018.02月取材時点)

有頭エビのソースがかかるカキとちぢみほうれん草のグラタン824円、ブリ、真鯛などが彩る刺身のおまかせ3点盛り1058円。地酒は各734 円。
さつき通り商店街に面す。
住所:東京都豊島区駒込2-14-8/営業時間:17:00〜23:00(土・祝は17:00~23:30)/定休日:月・第3火/アクセス:JR山手線・地下鉄南北線駒込駅から徒歩2分

ダイニング ハルコマ

おもちゃ箱みたいな店で、楽しき夜更かし

厚岸のまるえもんほか生ガキ3点盛り1400円、味噌漬けの鶏肉を焼いたけいちゃん焼き850円など。岐阜の地酒も用意。

店内は『ゴッドファーザー』サントラのジャケットやラグビーのジャージなど店主 ・鷲見(すみ)孝二さんの好きなものでデコレーション。「よく、おまえんちに遊びに来たみたいって常連さんに言われます。」。つまみも、地元岐阜市の郷土料理けいちゃん焼きから好物の生ガキ、元タイ料理屋店長の経歴を活かしたガパオライスなど、鷲見さんカラーが随所に。「ジャズライブや寄席、マジックショーも開催してるので、ぜひ遊びに来てください!」。

朴訥とした人柄の鷲見さん。
数年前にカウンター席を拡大。
住所:東京都豊島区駒込1-19-1 ピアレスビル駒込 2F/営業時間:20:00〜翌1:00 /定休日:日(イベント開催の場合は翌月曜)/アクセス:JR山手線・地下鉄南北線駒込駅から徒歩5分

鳥晶 巣鴨本店

大ぶりの串で、火入れの妙を堪能

「最高の状態で食べてほしいので、盛り合わせはなく1本ずつ提供してます」と店主。

客の目当ては朝締めの阿久津の紅ふじ鶏を使った焼鳥。「新鮮で肉のハリがあり、おいしいんです」と店主・木下智晶さん。ゆえにレバー150円やささみ200円はミディアムレアで供され、官能的な食感。つくねやねぎま各200円は、最初巣鴨にしては強気な値付けと思ったが――ピンポン玉サイズのジューシーなつくねや大ぶりでプリッとしたねぎまのうまさに、むしろ安いと納得。火・金はちょうちん、水・土はさえずり各250円など希少部位も!

巣鴨の繁盛店だ。
手羽先鬼こしょう串250円(左から2番目)など。生ビール500円。
住所:東京都豊島区巣鴨2-9-27/営業時間:17:30~翌1:00(24:00LO)/定休日:無/アクセス:JR 山手線・地下鉄三田線巣鴨駅から徒歩2分

立呑みひろし

駒込のんべえの人間交差点

マスターはもとベースプレイヤー。一軒目づかいや、シメに寄る客など客層は幅広い。

長髪のマスター、佐藤ひろしさん、春美ママとカウンターで話すおじさんたちに交じり、若い女性客もちらほら。「ふたりは懐が深いから、話の相手もしてくれるし、ほっといてもくれるから居心地よくて」と皆勤賞の常連さん。お酒もつまみも大体400円以下。柿ピーやオニオンスライス各150円など簡単なものもあれば、豚肉とナスのオイル焼き350円など手の込んだ料理もあり、軽く飲みに来たつもりがつい食べすぎてしまうお客も。

里イモやナスの素揚げが入る揚げだし豆腐400円(奥)など。梅しそバイス350円。
2010年に開店。
住所:東京都北区中里2-2-1/営業時間:16:00〜24:00/定休日:日・祝/アクセス:JR山手線・地下鉄南北線駒込駅から徒歩1分

三番倉庫

熟練マスターの所作に酔う、街の老舗バー

温かなハスキーボイスのマスター。奥にはテーブル席も。

大塚にバーを構えて40年以上のマスター、吉村利治さんは生粋の大塚っ子。「もともと祖父が大塚で三孫酒場という酒屋をやってて、僕が3男だったからこの店名にしたんです」。洋酒は200種近く揃い、なかでもウイスキーはアイラ島のものや瓶詰め工場が独自の樽で熟成させるボトラーズウイスキーなど、約110種と圧巻の品揃え。「生のザクロの果汁を使ったジャックローズなど、季節のフレッシュフルーツカクテルも女性に好評ですよ」。

ジャックローズ1320円。
カキのオイル漬660円などママが手掛ける料理も絶品。ピート香の効いたカリラのモッホ12年1320円。
住所:東京都豊島区北大塚2-7-5/営業時間:17:30〜翌1:00/定休日:日(連休の場合月も休)/アクセス:JR山手線・都電荒川線大塚駅から徒歩3分

構成=フラップネクスト 取材・文=鈴木健太  撮影=丸毛 透、 山出高士
『散歩の達人』2017年2月号より

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