小さかった女

重奏スパイスの余韻に浸る

東京キーマとチキンの合いがけ1350円は平日昼限定。ドリンク、スープ、キャベツ付き。

個性的な店名由来を尋ねると「今は大きく育ちました」と、小助川麻里耶さん。勤めた居酒屋で、小柄をキープする田尻紡さんと意気投合し、独立した。当初はビストロ的だったが、名物作りに励むなかで誕生したのがチキンカレー。「スパイスは試行錯誤した独自の使い方」と笑うが、トマトだけの水分に、スパイス13種を加えたルーは、香りと辛みが重層的。カレーに合う特注焙煎のコーヒーと味わうべし。

ほろにがカラメルの豆乳プリン+200円。
右から麻里耶さん、紡さん。

『小さかった女』店舗詳細

住所:東京都品川区小山5-25-14 カーサファイブ1F/営業時間:11:30~15:00・18:00~21:00/定休日:月/アクセス:東急目黒線西小山駅から徒歩4分

ぎょぎょ

魚好きにはたまらん、日替わり旬魚の味と質

煮魚定食のそい煮990円は刺し身付き。早春はメバルなどが登場。

「引退して魚屋を閉めたけど、暇を持て余してさ」と、伊藤功さんは2016年に居酒屋を開店。「魚屋はあくまで併設」と笑いつつ、昔なじみの料理店にも卸す。豊洲市場で目利きした旬魚揃いゆえ、ランチは基本、日替わりだ。淡白な白身魚は鍋に大量に入れ、酒と水だけでじっくりことこと。ふっくらしっとりの煮魚は上品な味わい。また、生アジのフライは衣が軽く、香味が鼻を抜ける名品。リピーター続出に納得しきり。

単品追加率の高いアジフライ580円はビール500円と。
刺し身、総菜も販売する魚屋の奥に潜む。

『ぎょぎょ』店舗詳細

住所:東京都目黒区原町1-15-2/営業時間:11:30~13:30LO・16:00~21:00LO/定休日:水・月2回火/アクセス:東急目黒線西小山駅から徒歩3分

手打ち蕎麦 ほかげ

昼から飲みたくさせる酒肴も見逃せない

昼飲みセット3200円は800円以下の酒付き。旬の先付け、〆サバ、天ぷら、そばへと至る。2400円~あり。

料亭や割烹などで腕を磨いた店主の手塚さん。「修業中に締めのそばを打っていたので」と独立し、石川県産を中心に福井、山形などのそば粉を仕入れて手打ち。厚削りのかつお出汁が効いた濃いめのつゆに付けると、そばは清冽な香りがふわり。また、「つい、酒に合うよう肴を仕込んでしまいます」と日本酒好きを自任し、昼飲みセットも用意。旬菜や〆サバの旨味が酒で花開き、とても1杯じゃ終えられない。

せいろ800円。
ゆったりテーブルを配した大人専用の店だ。

『手打ち蕎麦 ほかげ』店舗詳細

住所:東京都品川区中延6-1-21/営業時間:11:30~14:00LO・18:00~21:30LO(日は~14:30LO。月祝の場合、日は昼夜営業し月祝は昼のみ営業)/定休日:木昼・月(祝日の場合は翌火休)/アクセス:東急大井町線荏原町駅から徒歩4分

三陽楼

辛みと甘みが渦巻く革新的担々麺

濃厚鶏白湯灼熱の担々麺(中級編)850円。辛さは4段階ある。

90年続く中華料理店を、3代目の亀田正己さんが受け継いだ店。V字カウンターで老若男女がすするのは、正己さん考案の担々麺だ。丸鶏、ガラ、モミジで炊き出すスープの甘みが深い。そこに、ピーナッツやゴマを通常の倍以上使う芝チーマージャン麻醬、八角や花山椒が香るラー油を加え、辛甘の大波小波を醸し出す。麺は、中細平打ち。北海道産小麦粉とモンゴルの天然かんすい由来のもっちりとした食感も、後を引く。

先代の正夫さん、弘子さんと、正己さん。初代考案の懐かしいメニューも時々限定で復活。
平日昼はミニ焼豚丼付き。

『三陽楼』店舗詳細

住所:東京都品川区中延2-8-5/営業時間:11:30~14:30・17:30~22:30/定休日:日夜・月/アクセス:東急池上線荏原中延駅から徒歩2分

志げる寿司

一見客も気軽に入店、あったかい“町寿司”

しめ鯖やコハダなどが所狭しとのる青魚丼990円は、寿司屋ならではの丼。

冷凍ものは仕入れず、夜と同じネタを惜しげもなく使う。「今はサワラがいいねっ。春の魚だよ」。会話も旬満載で、カウンター席ならではのプチ贅沢が味わえる。魚介を背負うのは人肌のシャリ。その酢加減のまろやかなこと! 「シャリ酢が自慢で」と若大将・高田正光さんの言葉に、大将の正親さんが静かにうなずく。赤酢や吟醸酢などを合わせ、地下室で半年寝かせているのだ。家族連れはお座敷へご案内。

にぎり(7貫と巻物)990円。いずれも茶碗蒸しとお椀付き。
創業78年。家族で営む。

『志げる寿司』店舗詳細

住所:東京都品川区中延2-5-12/営業時間:11:30~13:30LO・17:00~22:00LO/定休日:月/アクセス:東急池上線荏原中延駅から徒歩3分

RECIPE DINING

体に元気を与えるオーガニックな一皿

豆腐ハンバーグプレート1100円。酵素玄米か雑穀米を選ぶ。コーヒー300円。

書棚に並ぶのは世界の料理本の数々。そのレシピを、料理研究家の深澤大輝さんがアレンジしたものが品書きだ。「体に負担がかからない料理を!」と、野菜は無農薬にこだわる。人気は、定番の豆腐ハンバーグ。豆腐と野菜、豚ひき肉を練り込み、低温でじっくり焼きあげ、フワフワの食感と酒粕ソースの風味が口中で躍る。ビーツドレッシングのサラダやロマネスコのポタージュなど、付け合わせにも抜かりなし。

この日のデザートはキャロットケーキ300円。
レシピを明記されたメニュー表は持ち帰り可。

『RECIPE DINING』店舗詳細

住所:東京都品川区豊町2-3-12 1F/営業時間:11:30~15:00LO・18:00~22:00LO(夜の営業は土のみ)/定休日:月・木/アクセス:東急大井町線戸越公園駅から徒歩8分

SHANGO

メニューも雰囲気も魅惑の南米テイスト

日替わり979円。

さらりと炊き上げたジャスミンライスに、今日は「豚肉のトマトソース煮込み」と「白いんげんのポタージュ」を添える。日替わりはいつも、オーナーシェフのアリアムさんの故郷、キューバの家庭料理が登場する。スパイスは控えめでやさしい味にまとめるのが特徴だが、「僕の技を少し入れて」、チリを効かせピリ辛になることも。「ぜーんぶ混ぜてどうぞ」。流れるラテン音楽にのって、皿上で進化する味を楽しもう。

タコス(ポークor野菜)946円をはじめケサディーヤやブリトーなどメキシコ料理も充実。すべてサラダとコーヒーが付く。
来日24年のアリアムさん。

『SHANGO』店舗詳細

住所:東京都品川区中延5-13-16 中延パープルビル2F/営業時間:11:30~14:30LO・17:30~22:30LO/定休日:火/アクセス:東急大井町線荏原町駅から徒歩3分

La TRIPLETTA

食べ進めるほど味わい深さにハマる

ランチ前菜セット1700円。自家製サングリアは+300円。

歯切れがいいのに弾力があり、トマトソースの酸味がパッと口中ではじける。ピッツァを一枚、もう一枚と手を伸ばすうち、今度は素朴でふくよかな生地の香りがじわじわ。薪窯を操るのは、ナポリで研鑽した太田賢二さんだ。「最後に余韻を残したくて」と、30時間以上も熟成発酵させる生地や、品種や生産ルートで異なるトマト缶の特徴も研究。窯焼きオムレツ、岩のりフリッターなど、ナポリの伝統つまみも心憎い。

マルゲリータ。ドリンク付きランチピッツァセット1000円は20種から選べる。
若手を束ねる太田さん(右)。

『La TRIPLETTA』店舗詳細

住所:東京都品川区小山3-13-12/営業時間:11:30~14:00LO(土・日・祝は~14:30LO)・17:30~22:00LO/定休日:水昼・火/アクセス:東急目黒線武蔵小山駅東口から徒歩2分

ストン

ピリリと辛み十分のスパイスカレーに舌鼓

ブラックペッパービーフカレー1050円。昼は+150円でラッシーが付く。

都内各所の店舗を間借りしてカレー屋を開いていた店主の鹿島冬生さんが、戸越に店を構えたのは2017年。定番数種が日替わりでローテーションするなか、特に人気は、ブラックペッパービーフカレー。たっぷり火を通したタマネギと、ローストした8種のスパイスで、ルーが真っ黒。口中に含んだ瞬間、辛さと香味が広がる。「昼飲みする人もいまして」と、すすめられたスパイスハイボールとも相性バッチリだ。

スパイスハイボール600円とアチャール。手前がセロリ200円、奥が海老300円だ。
鹿島さん。

『ストン』店舗詳細

住所:東京都品川区戸越1-1-10 1F/営業時間:11:00~21:00/定休日:水/アクセス:地下鉄浅草線戸越駅から徒歩7分

取材・文=佐藤さゆり・松井一恵・高橋健太(teamまめ) 撮影=オカダタカオ、加藤熊三、山出高士
『散歩の達人』2020年3月号より