ガツンとワイルド“クセしかない”にぼしそば『おおぜき中華そば店』
地下鉄恵比寿駅4番出口から徒歩1分、恵比寿神社の参道にある『おおぜき中華そば店』。もともとこの場所にあった『づゅる麺 豚あじ 恵比寿神社前』に勤務していた店主が、2012年10月にオープンした。
メニューは昔ながらの中華そば、鶏と豚ガラ取ったスープの白湯そば、『づゅる麺』時代から引き継ぐ鶏・豚・魚介のつけそば、そして煮干し100%のにぼしそば900円の4本柱。
にぼしそばは、3種の煮干しで取ったスープが肝。全体的に濁っていてうわずみに煮干しの皮や肉の破片が浮かんでいることからもいかに濃厚かがわかる。煮干し100%のワイルドなスープに、コンブやしょっつる、ナンプラーなどを入れてキリリと醤油や塩を利かせた無化調のかえしが加わる。超クセだらけだが、この旨味にやみつきになる。低加水の細めのストレート麺は、さっくりとした歯応えが残る。しっとりとして甘みもあるチャーシューはレア感も残るように仕上げられた豚肩ロースと鶏もも肉の2種。
食後も、舌がジンジンしていつまでも煮干しの余韻が消えなかった。
『おおぜき中華そば店』店舗詳細
5種の生味噌の特製味噌らーめん『味噌ラーメン 柿田川ひばり恵比寿本店』
『味噌ラーメン 柿田川ひばり恵比寿本店』の特製味噌らーめんのスープは、トンコツ、鶏ガラと、この店の味噌ラーメンに欠かせない背脂も一緒に寸胴へ入れてしまう。特徴のある八丁、江戸、仙台、信州、そして熟成の5種類をブレンドした味噌は、風味を生かすため火入れをせず、たっぷり入れた背脂により甘味を出すのが特徴。味噌の塩気と背脂の甘みが溶け合った濃厚な味噌スープは、味噌バターラーメンみたいな味を目指しているという。
生味噌の少しツンとした発酵臭や酸味が、味噌好きにはたまらない。それに加えてぷーんと薫る山椒の香りと、ごま油とピーナッツ油も香ばしい香りがする。浅草開花楼のもっちもち太麺は跳ね返すような弾力! そのヒミツはタピオカ粉だ。
低温調理で仕上げた肩ロースのチャーシューは、まるで生ハムのようにしっとり。焼肉のタレのような甘辛い醤油だれが絡んでいる。レア感がある肉々しさを味わいたいなら早めに食べ、少し固めがいいならスープに沈ませてから食べてみよう。
『味噌らーめん 柿田川ひばり 恵比寿本店』店舗詳細
鮮度が命の清湯スープを使った特製塩ラーメン『函館らーめん しお貫』
恵比寿駅東口から徒歩8分。住宅街の中に『函館ラーメン しお貫』を見つけた。メニューは塩ラーメン、味噌ラーメン、餃子とシンプルだ。
「材料はもちろん良質なものを使っていますが、銘柄や産地に特別こだわりはないんですよ。結局、ウマけりゃいいじゃん! と思うんですよね」と、店長が人懐っこい笑顔でこう言った。
特製塩ラーメン1000円は、魚介と豚のゲンコツ、そして鶏ガラを入れたスープを圧力鍋で炊き、さらに2時間火にかけて煮込んで仕上げたあっさりだが旨味が強くて澄んだ清湯。昆布、ホタテ、カツオなど魚介のうまみたっぷりのタレに、鶏油を加えてコクを出している。このスープは鮮度が大事なので1日に3度取るそうだ。魚介と動物系がバランス良く配分されたスープにストレートの細麺がよく合い、ツルツルと喉越しよく吸い込まれていく。
トッピングは、しっかり醤油を利かせた厚めの豚バラ肉のチャーシュー。極めつきはプリップリの海老ワンタンに半熟の味玉も。こだわりが詰まった珠玉の1杯だ。
『函館らーめん しお貫』店舗詳細
油膜が張るほど濃厚だけど胃もたれしにくい珠玉の鶏スープ『らぁめん 冠尾』
居酒屋やバーが並ぶ路地に『らぁめん 冠尾』がある。看板には「純白湯 鶏清湯 鶏辣湯」とあり、この3つを肝にメニューが展開されているようだ。おいしい酒をしこたま飲んだ後、アツアツのラーメンでシメるなんて最高だ。駅近だからよそで飲んできた人も帰宅前にフラフラと店に吸い込まれていそうだ。
白濁したスープに色とりどりのトッピングがそそる特製鶏白湯1200円が定番人気のメニュー。このスープは鶏と水、それから国産の素材だけで取ったもので、「飲み干しても胃もたれしにくいんですよ」と店長は語る。
トッピングには茹でたキャベツ、ミニトマト、インゲン、紫タマネギ、マッシュルーム。そして、しっとりジューシーに仕上げた胸肉と、提供する直前にバーナーで炙り、スモーキーな味と香りを演出するもも肉の、2種類の鶏チャーシュー。ポタージュのように濃厚なのだが後味はサラリとしたスープで、鶏の旨味がギュ~ッと濃縮されている。
中太の全粒粉麺は香りがよくもっちりとしながら歯切れもいい。
『らぁめん 冠尾』店舗詳細
濃厚な味噌とんこつにチーズが山盛り『九十九ラーメン 恵比寿本店』
明治通りの渋谷橋交差点からすぐ近くに『九十九ラーメン』がある。店頭に灯る派手なネオンサインが目印。オープンエアの店内は、オフホワイトの壁と木を基調にしたインテリアがナチュラルな雰囲気だ。
元祖〇究(マルキュー=正しくは究を○で囲んだ文字)チーズラーメンは、濃厚かつ後味スッキリのとんこつスープに、マイルドな味噌、そして十勝・花畑牧場のゴールデンゴーダチーズが山盛りになってくる。まずは麺にチーズを絡め風味や旨味をダイレクトに感じた後は、溶けたチーズと味噌が香るとんこつスープをいただこう。コクがあるチーズと独自に開発した濃厚な味噌、そして旨味が強いのにあっさりとしたとんこつスープがぴったりマッチ。弾力のある中太麺をすすると、同時にトロッとしたスープを持ち上げてくれる。
もうひとつの看板は、九十九とんこつラーメン。チーズラーメンと同じとんこつスープを使っているとは思えない、濃厚ながら後味は淡麗な塩ベースのスープだ。こちらは喉越しのいい細麺がよく合う。卓上のネギやもやし、120円の辛い高菜を入れて食べるのもおすすめだ。
『九十九ラーメン 恵比寿本店』店舗詳細
取材・文・撮影=丸山美紀(アート・サプライ)、パンチ広沢