縁をつないできたワインと野菜を大切に。『grege(グレージュ)』
「今のお店があるのは、いろんな方とのご縁のおかげ」と話す店主の小高直斗さん。群馬県嬬恋村のホウレンソウとの出合いから野菜のおいしさに目覚め、自宅の大家さんの畑を手伝い始めて野菜も自家栽培するように。同時期に知り合った宮城県川崎町のワイナリー『アルフィオーレ』は、優しい味が野菜を活かした料理とぴったり。白玉粉とレモンの生地で包んだサーモンのクレープをはじめ、センスの光る料理にもファンが多い。
『grege』店舗詳細
ぜいたくに貝づくしもよし、サク飲みだけでもOK。『八王子 貝介』
貝刺に煎り酒を付けて味わうと、貝の持ち味が引き立ちながら、ほどよいアクセントとなる梅の塩味が絶妙だ。貝は日替わりで約10種類揃い、刺し身や焼き貝のほか、おでんの具に加わることも。さらに、ポテサラや酢の物、おひたしなど軽い酒の肴もあり、貝料理店だから高級でしょ、と思ったら大間違い。「つまみとお酒一杯だけでも大歓迎!」とは、店長の曽根原達夫さん。食事中のちょっとした気配りにも心をつかまれる。
『八王子 貝介』店舗詳細
『TRATTORIA 福祐(ふくすけ)』はワインも食材もメイドイン長野
野菜に惹(ひ)かれて長野に移住した経験がある、オーナーシェフの内野祐子さん。現在も、元修業先のイタリアンと掛け持ちで働いていた長野の八百屋から届く野菜を使い、魚や肉の料理には必ず旬の味覚が添えられる。メヒカリのフリットのソースも、フルーツトマトの甘みとミョウガの苦味が効いていて、野菜ソースをお代わりしたくなるおいしさ。ワインもほぼ長野県産。少量生産が多く随時入れ替わるので、偶然の出合いを楽しみたい。
『TRATTORIA 福祐(ふくすけ)』店舗詳細
ウイスキーバーのイメージが変わる! 『呑食(のみくい)ウイスケ』
大きな窓のある開放的な空間で、店主の日高將智さんもキャップをかぶったラフな装い。まるでカフェのようだが、壁には300本以上が並ぶウイスキー専門店だ。「うちは洋風居酒屋。食事にウイスキーを合わせる感覚で楽しんでほしくて、とことんカジュアルにしました」と、日高さん。パスタやカレーなどおなかを満たすフードも充実していて、食事のお供にウイスキーもイケると実感。ハイボールは各種580円など手ごろな価格なので、ウイスキー初心者もぜひ!
『呑食ウイスケ』店舗詳細
『中町(なかちょう)食堂』は、居心地の良さだけでなく使い勝手も進化中
築50年前後の一軒家を改装した趣あふれる空間。一見しゃれたメニューが多そうだが、ラムハンバーグやアンチョビを利かせた海老ワンタンなど、フレンチシェフの経験を活かした料理だけでなく和や中華のつまみも揃い、バラエティー豊かなのだ。飲み物は自然派ワインのほか、2018年頃から始めた自社ブルワリー『TOKYO OLDBOYS BREWING』のビールも飲めるようになり、楽しみ方がどんどん広がっている。
『中町食堂』店舗詳細
多彩な餃子をつまみに、気軽に一杯からどうぞ。『七福』
八王子の人気バー『SEVEN’S ROOM』で好評だった焼き餃子を看板メニューに。粗挽きの国産もち豚をたっぷり包んだ厚めのもちもち生地が自慢だ。「ふらっと来てもらえるように、ひっそりオープンしたんですよ」と笑う、オーナーの七里徹さん。使い勝手がいいように、軽くつまめる中華つまみが充実している。系列店の『SEVEN’S ROOM』や『FINE』などの常連客が立ち寄ることも多く、和気あいあいとした雰囲気が魅力。
『七福』店舗詳細
塩焼きの匂いに釣られ、飲んべえ万来『串焼き 小川の魚』
代表の小川勇一さんは八王子の小川養魚場2代目。「ウチは川魚専門の酒場。イワナやヤマメを店の地下から汲く んだ井戸水の水槽で泳がせ、注文が入ってからさばきます」。ゆえに岩魚刺しは新鮮で食感コリッコリ。臭みがないから塩で食べてもうまい。炭火で焼く岩魚の塩焼きは、香ばしい皮を噛むと野趣あふれる風味がほんのり広がり、岩魚の骨酒と好相性。三河一色産うなぎの串焼きを頼めば、今度はビールが川の流れのように進む!
『串焼き 小川の魚』店舗詳細
豊洲の鮮魚とサービス精神に乾杯!『シムラホール』
隣客が頼んだメニューがどれもこれも美味しそうでボリューミー!「おなかいっぱいになってほしくて。原価と見合わないって妻に叱られます(笑)」と店主の志村健一さん。確かに、手作りのベシャメルソースが詰まったカニクリームコロッケ825円は箸で持つとずっしり重い。豊洲で仕入れる刺し身も自慢で、たま~に半端で余った別の種類の刺し身を添えてくれるのだそう!
『シムラホール』店舗詳細
地下に潜む八王子で希少な大衆酒場『多摩一』
1949年創業の、地元サラリーマン憩いの場。店内には、昔、檜原村で林業をしていた先代が調達した杉の巨木やモミの木などが贅沢に使われ、酒罇を再利用したテーブルが鎮座。壁にはかつてここを溜り場にしていた絵描きたちの筆による大作が飾られ、独特だけど年輪を重ねた雰囲気が妙に落ち着くのだ。約70年の歴史の中でメニューも100種近くまで増加。まずは一番人気の刺し盛りとオリジナルラベルの日本酒・多摩一で宴の口火を切りたい。
『多摩一』店舗詳細
楽しうましのアイデア肴に笑顔咲く『やきとり小太郎 八王子店』
「うちは煮込みが主役の焼き鳥屋。魚類はかつお節しか置いてないよ(笑)」と笑顔満開の蓑輪雅治さん。みそ煮込みは濁りのないきれいな味わいで、豚と牛モツ以外の具が薬味のネギだけなのは味への自信の表れ。名物の焼き鳥はドレッシングで味わう極厚タマネギの肉巻き280円や、つくねを生から焼くジューシーな“生小太郎”346円など、店主の遊び心もいっぱい。「おもしろいことが大好きでさ。やっぱ人生楽しくないと!」。
『やきとり小太郎 八王子店』店舗詳細
取材・文=井島加恵、鈴木健太 撮影=高野尚人、金井塚太郎