1カ国目はやっぱりフランス。東京の“プチ・フランス”とも言われる神楽坂に近い『欧明社』 は、教材も実用書も、漫画、児童書、雑誌、新聞、DVDもある幅広い品揃え。現地のポストカードも買えて、本当にパリの本屋に来たみたい。日本の漫画のフランス語版から挑戦してみようかな。
『Abu Essam(アブイサーム)』では、エジプト人シェフがソースから手作りするアラブの軽食を。高揚感あるアラビアンなBGMとは裏腹に、味付けは思いのほか自然派でシンプル。でもご飯にマカロニもスパゲティも混ざるコシャリはなかなかのインパクトだ。
イメージを変える楽しさ、豊かさ
2021年5月に開店した『cliccmi+(クリックミープラス)』は、ドイツ人女性が営む雑貨店。ドイツ製品=質実剛健なイメージだったけど、ここのは鮮やかな色で遊び心もあって楽しく使えそうなものばかり。
『大洋レコード』では日本の裏側のブラジルとアルゼンチンへ。「ポルトガル語にスペイン語と言語は違いますが、案外ミュージシャン同士の交流が盛んなんです」と店主の伊藤さん。サンバとタンゴだけじゃない両国の音楽は知れば知るほど実に豊か。
ショートカットで楽しめる各国の魅力
ランチは『バイヨン』でカンボジア料理に舌鼓。タイ料理のように辛くないが、わりと濃厚。カンボジアの人は一番好きなご飯をいっぱい食べたいから濃いめの味付けなんだとか。「オークン(ありがとう)!」
ニュージーランドの生ハチミツ専門店の『PBees(ピービーズ)』では、食べるだけでなく皮膚に塗ったりするという現地のハチミツ文化を知る。栄養補給に抗菌作用、免疫力向上に期待して、私も生活に取り入れちゃおうかしら。
さて、日も暮れて『Taihu Tokyo(タイフートウキョウ)』へ。南国フルーツを使った台湾直送クラフトビールを味わったら、本日の旅はこれにて終了。1日で回れて語学力不問、なんて気軽な世界旅行。思い立ったらいざ行かん!
Abu Essam【 神楽坂 ・ エジプト 】
エジプトをはじめアラブの味を気軽に堪能
エジプト人のイブラヒームさん(左)とスタッフのローラさんによるアラブの軽食が味わえるカフェ。ご飯とパスタが混ざった独特なコシャリ600円、ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)を挟んだファラフェルムシャッカルサンド750円、レモンミントジュース350円もみな手作りでハラール食だ。
●11:00~15:00・16:00~22:00、不定休。☎03-5946-8014
cliccmi+【 神楽坂 ・ ドイツ 】
ハイセンスで実用的なカラフル雑貨
カラフルな高品質のアクリルガラスと天然石の玉を自由に組み合わせられるハンドメイドアクセサリー「cliccmi」リング1万1400円~をはじめ、ハイセンスで使いやすいドイツの雑貨を扱うセレクトショップ。「長年自分で使ってきたものばかりなんです」と店主のエルケさん(右)。隣は夫のギュンターさん。
●11:00~18:00、火・水休。☎03-6265-3256
大洋レコード【 神楽坂・ ブラジル アルゼンチン 】
南米から届く、ホットな音楽を手に!
2005年の開店以来、ブラジルとアルゼンチンから直輸入したCDを販売。レコード店への卸や国内盤の制作も行う。「サンパウロの新しいスタイルの音楽家たち、みずみずしいアルゼンチンの川沿い音楽など、この店から着目されたものもあるんです」と店主の伊藤亮介さん。全商品試聴可能もうれしい。
●12:00~18:00、水・日休。☎03-3235-8825
バイヨン【 牛込神楽坂 ・ カンボジア 】
都内で3軒だけの貴重な料理の味は?
染谷真偉(そめやまい)さん(左)と妻・スリョウさんが営むのは、都内で3軒ほどの貴重なカンボジア料理店。チャー・クダウ(豚肉のハーブ炒め)1200円やアモック(レモングラスで味付けした白身魚のココナツ煮)1350円など、その味はハーブや野菜を多用したやさしい味わい。
●11:30~14:30・17:30~2230、月休。☎03-5261-3534
PBees【 牛込神楽坂 ・ニュージーランド 】
あの代表チームが認めるハチミツも!
世界一の消費量を誇るハチミツ大国・ニュージーランドから集められた現地産100%のハチミツ専門店。加熱処理をせず、完全無添加の生ハチミツは、レワレワやタイムなど蜜源ごとに味わいの異なる6種類以上。ラグビーのオールブラックス公認のマヌカハニー、蜂の巣をそのままカットしたコムハニーなどもあり。
●10:00~19:00、無休。☎03-3235-7858
Taihu Tokyo【 神楽坂 ・台湾 】
台湾のクラフトビールと“熱炒”料理に目覚める!
台湾ビール醸造所「TAIHU BREWING」の日本直営店。タイフ―ドラフトハイ800円など、約10種類のクラフトビールと台式熱ルーチャオ炒の料理が満喫できる。「2階は家具も小物も台湾から持ってきました」と店長の田中真之介さんと台湾人シェフの長家リカさん。
【閉店】欧明社(飯田橋 ・ フランス)
東京のフランス愛を支え70余年
1947年創業、フランス出版協会に日本で唯一認定されたフランス書籍専門店。語学学習者や在日フランス人のために揃えた多分野の蔵書は約2万冊。「文学賞受賞作やベストセラー作品は必ず入れています」と2代目店主・奥山由紀夫さん(右から2人目)。
※残念ながら22年2月末で閉店。
取材・文=下里康子 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2021年12月号より