◆散歩コース◆
スタート
安房勝山駅
駅から国道127号へ出て左に。佐久間川を渡ってすぐ右折する。大黒山方向へ。
↓ 10分
大黒山展望台入り口
展望台入り口の標識があるので、そこから上がる。山を回るように上がって行くと山頂。
↓ 10分
大黒山展望台
展望を楽しんだら、同じ道で下山。法福寺へ出てから右手に行けば勝山漁港だ。
↓ 15分
勝山漁港
海岸線の車道を歩き、みささぎ島を見てから竜島海岸の先に源頼朝上陸地。
↓ 20分
源頼朝上陸地
大六海水浴場の砂浜を歩くと大六港の先に真珠島。今は島へは渡れない。
↓ 20分
真珠島
国道127号に再び合流し、鱚ケ浦海岸を左に見て行くと「道の駅きょなん」。その先に保田漁港。
↓ 25分
ばんや
保田漁港内に『ばんや』。保田漁港を左に眺めながら国道を歩く。『ばんや』から約20 分で駅。
↓ 20分
ゴール
保田駅

体力度:★☆☆
歩行時間:2時間
歩行距離:約6km
アクセス:
[行き] 東京駅からJR京葉線で蘇我駅、JR内房線に乗り換え安房勝山駅、約2時間10分。
[帰り] 保田駅からJR内房線で蘇我駅、JR京葉線に乗り換え東京駅。約2時間。※東京駅前から高速バス「房総なのはな号」で、上総湊駅前下車、内房線上総湊駅から安房勝山へ行く方法も。

明治22年(1889)の夏、旧制一高の生徒だった夏目漱石は友人4人と連れだって隅田川の河口から船で保田へと向かった。夏休み中、10日間ほど滞在し、海水浴や近くの鋸山に登って過ごした話が残っている。

漱石から遡ること約700年、石橋山の合戦で平家に敗れた源頼朝が真鶴から船で逃れて、この保田の近くに上陸したという。その保田を目指して、隣の安房勝山駅から海岸線を歩いてみた。

大黒山と麓の法福寺。
大黒山と麓の法福寺。

標高75mとは思えぬ、大黒山からの展望に見惚れる

大黒山展望台から東方面を望む。双耳峰の富山がよく見える。
大黒山展望台から東方面を望む。双耳峰の富山がよく見える。

駅から国道へ出て佐久間川にさしかかると、右手に小高い独立峰、といっても標高75mの大黒山が見えた。上のほうに何やら建物が立っている。よく見ると、城の天守のようだ。麓に行くと、75mなのに「登山のお客様へ」とあった。たった10分だが、登山開始だ。少し上がって行くと、背後に双耳峰の富山が見えてきた。これは意外と展望がいいのかな、と期待が膨らんできた。10分なので、すぐ山頂に着いた。山頂にはコンクリート製の天守をかたどった展望台。上がってみると360度の大パノラマ。これが75mの展望とはとても思えない。眼下に勝山漁港、西側には東京湾に浮かぶ無人島の浮島。

大黒山がある岬の突端に、みささぎ島。傾城(けいじょう)島とも。日本武尊が航行中に突然海が荒れ、舟が沈没寸前に。そのとき、妃の弟橘姫(おとたちばなひめ)が身を投げて海を鎮めたという。その妃の亡骸がみささぎ島へ漂着したという神話がある。
大黒山がある岬の突端に、みささぎ島。傾城(けいじょう)島とも。日本武尊が航行中に突然海が荒れ、舟が沈没寸前に。そのとき、妃の弟橘姫(おとたちばなひめ)が身を投げて海を鎮めたという。その妃の亡骸がみささぎ島へ漂着したという神話がある。
大黒山の展望台からの大パノラマ。こちらは西側の眺望で東京湾に浮かぶ周囲約800mの浮島が見える。
大黒山の展望台からの大パノラマ。こちらは西側の眺望で東京湾に浮かぶ周囲約800mの浮島が見える。
同じく大黒山展望台から勝山漁港方面。中央の小高い山が勝山城跡になる。大黒山には天守閣を模した展望台があるが、城はなかった。
同じく大黒山展望台から勝山漁港方面。中央の小高い山が勝山城跡になる。大黒山には天守閣を模した展望台があるが、城はなかった。

三浦半島の久里浜にあった火力発電所の煙突もよく見える。東側は富山がさらによく見える。期待以上の展望に満足して下山。

勝山漁港に寄ってから大黒山の西側に突き出た海岸に行くと、釣り人が3人。背後の大黒山も迫力だ。この大黒山の麓は昭和30年頃、遊園地と水族館などがありにぎわった場所である。今の風景を見れば、とても想像できないが、一大観光地だった時期が一瞬あったのかもしれない。

頼朝が逃れ着いた上陸地とされる、竜ケ崎堤防へ

治承4年(1180)に挙兵し、石橋山の戦いで平家に敗れた源頼朝は真鶴から船で安房国へと逃れてきた。その上陸地とされる。源頼朝上陸地。
治承4年(1180)に挙兵し、石橋山の戦いで平家に敗れた源頼朝は真鶴から船で安房国へと逃れてきた。その上陸地とされる。源頼朝上陸地。

戻って、また佐久間川を渡る。勝山海水浴場のある砂浜を歩いて行くと、海岸から長く突き出た堤防が見えてきた。竜ケ崎堤防というらしいが、その辺りが源頼朝の上陸地のようだ。

昭和30年代、アコヤガイを養殖して真珠を採っていたという真珠島。
昭和30年代、アコヤガイを養殖して真珠を採っていたという真珠島。

小さな漁港の先は、また砂浜。大六海水浴場で、正面に小さな島が見える。真珠島だ。ここは昭和30年代に真珠を養殖していたようだ。今は島に渡るコンクリートの橋が崩れそうで立ち入り禁止。

きれいな鱚ヶ浦海岸の砂浜を歩いて行くと、「道の駅きょなん」。「菱川師宣記念館」と店がいくつか。地ビールを製造している『鋸南麦酒』。1本注文し、喉の渇きを癒やす。

保田漁港が近づいてくると、鋸山の下に見える大きな『ばんや』の文字。保田で知られる保田漁協直営のお店である。引き寄せられるようにお店に入り、新鮮な刺し身とさんが焼きをいただいた。保田に幸あり。

アドバイス
大黒山は山は山でも低いので、登山靴は必要ないだろう。車道と砂浜歩きなので軽いトレッキングシューズがいい。『ばんや』手前の道を右手に曲がり、線路下を抜けて行くと展望のいい場所に行けるとか。地元情報。
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[道の駅きょなん] 鋸南麦酒

道の駅の地元麦酒工房で乾杯

「道の駅きょなん」にはいくつか店があるが、『鋸南麦酒』は、2018年の4月から醸造を開始したビール工房。ホップと鋸南町産のレモンを使ったバランスのいいビールだ。1本550円(税込・330ml)

●10:00~17:00、月休。JR内房線保田駅から徒歩30分。☎0470-29-5454。

[道の駅きょなん] 菱川師宣記念館

浮世絵の祖といわれる保田出身の絵師

「見返り美人図」の作者であり、浮世絵の祖といわれる菱川師宣は保田出身の絵師。保田から江戸へ出て版下絵師として活動し、後の浮世絵版画のもとになった絵を制作した。元禄7年(1694)に没したが、その作品をいくつか展示している。

●9:00~17:00(入館は16:30まで)、月休。入館500円。JR内房線保田駅から徒歩30分。☎0470-55-4061。

ばんや

隣の漁港直送の鮮度抜群の魚介類

『ばんや』の店内。平日だったのでわりと空いていた。
『ばんや』の店内。平日だったのでわりと空いていた。
(左)刺身三点盛800円。(右)さんが焼き850円。
(左)刺身三点盛800円。(右)さんが焼き850円。
漁師のまかない丼1320円。
漁師のまかない丼1320円。
鰺フライ1100円。
鰺フライ1100円。

保田漁協直営の大型食堂。元は漁師のために開いた店を一般に開放したところ人気が出て、すでに20年余。隣の保田漁港から揚がった魚を食すわけだから鮮度は抜群。「ばんやの湯」併設。

●9:30~17:00LO(土・日・祝は18:45LO)、無休(『ばんや新館』と「ばんやの湯」は火休)。JR内房線保田駅から徒歩20分。 ☎0470-55-4844。

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より

『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より、旅先で気軽に楽しめる散歩コースを紹介。歩行時間や歩行距離も明記しておりますので、週末のお出かけにご活用ください。太海は黒潮が近いために豊かな漁場と温暖な気候に恵まれている。海と背後の小高い山に囲まれた狭い土地に寄り添うように家々が立っている。
『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より、旅先で気軽に楽しめる散歩コースを紹介。歩行時間や歩行距離も明記しておりますので、週末のお出かけにご活用ください。今回は、蔵の街で知られる栃木県栃木市。江戸時代直前は城下町だったことも。その後、日光例幣使街道の宿場町としてにぎわいを見せ、巴波(うずま)川の舟運によってさらに隆盛を極めた。その証が、今も残る多くの蔵だ。
『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より、旅先で気軽に楽しめる散歩コースを紹介。歩行時間や歩行距離も明記しておりますので、週末のお出かけにご活用ください。飯能市の西の端、秩父市に接する山の尾根上に原っぱのようなウノタワという場所があるという。ちょっとした不思議空間である。そこは入間川の源頭部にあたり、横倉入(よこくらいり・ナギノ入)という沢の上部にある。
『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より、旅先で気軽に楽しめる散歩コースを紹介。歩行時間や歩行距離も明記しておりますので、週末のお出かけにご活用ください。三浦半島の観音崎周辺には古代から近代までの遺構が残っている。日本武尊(やまとたけるのみこと)が上総(かずさ)国へ渡ったといわれる渡海地(とかいち)や中世の山城、そして近代の軍事遺構。そんな“歴史の舞台”に何度もなった、三浦半島の東突端部へ。