◆散歩コース◆
スタート
JR・私鉄栃木駅
駅から県道31号を横切ると「例幣使道」の道標。右に入ると、街道の面影が残っている。
↓ 20分
うずま公園
蔵の街遊歩道から公園へ。川沿いに「塚田歴史伝説館」を見て「横山郷土館」から左手に。
↓ 20分
旧栃木町役場
県庁堀から堀沿いに栃木高校へ。また巴波川を渡って行くと栃木病院。
↓ 30分
油伝味噌
解体が進む旧ヤマサみその裏手を回り、また県道2号に出ると交差点角に蔵の街広場。
↓ 20分
蔵の街広場
蔵の街大通りを歩く。道路脇や脇道にはいろんな見世蔵があるので、ゆっくり楽しもう。
↓ 10分
とちぎ蔵の街美術館
「とちぎ山車会館」の隣に「とちぎ蔵の街美術館」。「郷土参考館」などに寄って駅へと戻る。
↓ 25分
ゴール
栃木駅


郷愁度:★★★
歩行時間:2時間5分 歩行距離:約5㎞ 
アクセス:上野駅からJR宇都宮線で栗橋駅、東武日光線に乗り換え栃木駅
所要時間:約1時間40分。

蔵の多い街並みを眺めていると、もともと栃木は商業の街として発展してきたように思うけれど、そうではない。江戸時代に入る直前には皆川氏の居城・栃木城が置かれ、れっきとした城下町だった。しかし慶長14年(1609)に皆川氏の改易とともに栃木城はたった20年ほどで廃城となった。現在、城の一部が栃木城址公園になっている。栃木駅の東側にあるその城跡も見たいけれど、やや距離もあるので今回はパスして、蔵の街へと歩きだした。まず巴波川沿いのうずま公園へ。

江戸時代以前から続く歴史を感させる街並み

公園の手前に標識。「例幣使道(れいへいしみち)」と記されている。標識が指し示す方向に歩いて行くと、道がカーブしている。古道の匂いが漂う。シャッターが下りた店舗もあるが、八百屋さんが一軒。ひなびた看板の下で、今も商売をしているようだ。

来た道を戻ってうずま公園に。「蔵の街遊歩道」という道に入ると、巴波川へと出た。水が澄んでいる。鴨が群れ、大きな鯉も泳いでいる。この巴波川が江戸時代後半から舟運(しゅううん)の川として大きな役割を果たすことになる。栃木は巴波川から渡良瀬川、利根川へと通じる水運の一部を担うことにより江戸との物資の集散地として発展し、明治になっても商都として栄えた。ちなみに舟運は明治40年代までは続いたようだ。

公園を抜けて、ミツワ通り沿いにある創業明治2年(1869)と古い片岡写真館の建物を見て、近くの銭湯へ立ち寄った後、再び巴波川に出て川沿いを歩く。

ミツワ通りにある明治2年(1869)創業の片岡写真館の建物。資料館も併設し、明治初期の写真などが見られる。建物は警察署を思わせるレンガ造り。

川岸には立派な蔵が連なる。今は塚田歴史伝説館となっているが、塚田家は江戸後期の弘化年間(1844~1848)から木材回漕問屋を営んできた豪商で、川沿いに、なんと120mもの黒塀と白壁の土蔵が立ち並ぶ。ここは栃木を代表する景観ともいえる。川には遊覧船も浮かんでいる。

かつて舟運によって栄えた栃木市街を流れる巴波川と、木材回漕問屋として隆盛を誇った塚田家。
蔵の街、栃木
例幣使街道が通り、栃木はその宿場町として繁栄し始め、さらに巴波川の舟運による江戸との交易が盛んになるにつれて、江戸時代後期に隆盛を極めたという。その商人たちにより、多くの見世蔵や土蔵が造られた。

その先には「横山郷土館」の石造りの建物。明治の豪商だった横山家は最初、麻問屋として成功し、後に銀行も営んだというから、二股家業ともいえる。奥の回遊式の庭は敷地も広く、明治の豪商の暮らしぶりを彷彿とさせる。明治16年(1883)まで栃木県庁があった県庁堀へ。近くにある洋館は大正10年(1921)築の市役所の別館で、最近まで使われていたようだが、今は無人。

巴波川沿いに立つ「横山郷土館」。蔵には近くの鹿沼の深岩石を使用。麻問屋と銀行を営んでいた。●9:00~17:00。月休。入館料300円。
明治6年(1873)、栃木県の県庁所在地になった際に造られた県庁跡地に堀だけが県庁堀として残る。県庁は明治16年に宇都宮に移転。

例幣使街道沿いをタイムスリップ感覚で歩く

巴波川を離れて当時の面影が濃厚に残る日光例幣使街道沿いの街中に入る。古い見世蔵のある曲線を描く道を歩いていると、江戸か明治の頃に戻ったような感じに襲われる。中心部と違い、人通りも少ないから、よけいにそう感じるのかもしれない。

例幣使街道の嘉右衛門町通りに残る栃木県最古の理髪店といわれる『市村理髪館』。最近「理容遺産」になったとか。
日光例幣使街道
徳川家康が日光の東照宮に祀られた後、京都の朝廷から毎年幣へい帛はくを奉納するために勅使(例幣使)が遣わされ、そのための道が例幣使街道と呼ばれた。中山道から分かれて栃木を通り日光へと通じる。

その先の油伝(あぶでん)味噌の建物から裏側の道を通って、蔵の街大通りへ。車が行き交う現代の道の両側にも、古い見世蔵が立ち並ぶ。現代と過去が共存するのが栃木の街だ。

嘉右衛門町にある旧ヤマサみそ(ヤマサ醤油とは関係がない)の工場。工場の保存と活用が進められるようだ。
アドバイス
栃木駅構内には観光案内所があるので、各種パンフを入手できる。とにかく見どころの多い街なので、時間の許すかぎり、いろいろと歩いてみたい。8月に巴波川で行われる百八灯流しは見もの。

構成・文=清野編集工房