日替わり料理と鮮度抜群の魚。小さいながらもこだわりのメニュー
日替わりのメニュー、こんなにあるの? とびっくりした。じっくり見ると、魚系がとても多い。刺し身はもちろん、煮つけ、塩焼き、南蛮漬けもある。
「母の知り合いが新潟にいて、魚を直送してもらってるんです」と、若きママの大武さん。野菜も旬のものを豊富に取り揃えていて、毎日何を作ろうかと考えるのが楽しいという。
それもそのはず。もともと料理が好きで、料理教室の先生だった経験も。経験が生きますね、というと「料理教室ではパンとケーキばっかり教えてたんですよ……」。笑ってしまった。
一年中いつでも楽しめる! 味がしみしみ、関西風出汁のおでん
毎日継ぎ足す出汁は、いりこ、昆布などを使った透きとおった関西風。大根は下茹でしてから5時間煮込む。とくに冬は、大量の大根を下茹でするので狭い厨房内はいっぱいいっぱいになる。
さて、この日のおでん盛は、大根、玉子、はんぺん、厚揚げ、ちくわ、そしてもち入り巾着。じっくり煮込んだ大根は箸ですっと割れ、旨味が凝縮された出汁がじゅわっと染み出す。もち入り巾着の餅がくたっとしていて、熱々しみしみなのがうれしかった。やっぱり寒い日にはおでんと日本酒だ。
飲みに行くのが大好き。日本酒と焼酎のこだわりはハンパない
店が休みの日は、飲みに行くのが楽しみ、というくらいお酒が好きな大武さん。おいしいと思ったお酒を全国から取り寄せるので、銘柄はそのときによっていろいろだ。それを楽しみにしている常連も多い。
そんな酒好きの大武さん、店で出すメニューは「酒に合うかどうか」で決めているそう。たしかに、おでんもちょっと濃い目で日本酒が進む味だったな、と思った。
カウンターで気軽に飲めて、ほっとする“なごみ処”
生まれも育ちも赤羽っ子の大武さん。赤羽で居酒屋を経営している親の元で育ち、この町が好き。厚揚げや野菜など、食材はなるべく地元で購入する、というこだわりを持つ。
「いつか赤羽で自分でお店をやりたいとずっと思ってたんです」
2020年でオープンしてから5年。気軽に入れるカウンターの店として、常連をなごませるあたたかな店だ。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ