買って楽しい、食べてうれしい工場直売!『三祐製菓 工場直売所』

塩バターピレネー シングル(1山)660円。
塩バターピレネー シングル(1山)660円。
りんごジャムサンド250円。
りんごジャムサンド250円。

戦前に池袋で創業し2004年に移転した菓子メーカーでは、地元へのサービスで2011年から直売所を開設。大きなオーブンで焼き上げる米粉100%のバウムクーヘン、国産リンゴを使った戦前生まれのリンゴジャムサンドクッキーなどが卸値価格で購入できる。水曜はアウトレットセール、金曜は朝焼きマドレーヌ販売、第2・4水は切り落としデーとお得なイベント目白押し。

水・金は開店前から行列必至!?
水・金は開店前から行列必至!?
住所:東京都足立区西新井7-14-19/営業時間:10:00~12:00・13:00~16:00/定休日:土・日・祝/アクセス:日暮里・舎人ライナー西新井大師西駅から徒歩3分、東武鉄道大師線大師前駅から徒歩11分

DIYでコツコツと完成。魅惑のジャズ空間『ジャズ喫茶ALTEC(アルテック)』

ポットサービスで菓子も付くミルクティー500円。
ポットサービスで菓子も付くミルクティー500円。
巨大スピーカーから名曲の洪水。
巨大スピーカーから名曲の洪水。
バーニー・ケッセルのギタートリオ『THEPOLL WINNERSRIDE AGAIN!』(左)。ビブラフォンのデイヴ・パイクと、ピアノのビル・エヴァンスの共演盤『PIKE’S PEAK』。
バーニー・ケッセルのギタートリオ『THEPOLL WINNERSRIDE AGAIN!』(左)。ビブラフォンのデイヴ・パイクと、ピアノのビル・エヴァンスの共演盤『PIKE’S PEAK』。

モダンジャズ好きでオーディオ好きな木檜(こぐれ)貞夫さんが念願かなえて2019年に開店。自ら地道に内装を手掛けたというウッディーな店内に鎮座するのは、uesugiとMcIntoshの真空管アンプにつないだALTECのスピーカーシステム「A5」。約4000枚あるLPをダイナミックに響かせてくれる。リクエストも可能。おすすめは?「選べないなぁ。ビブラフォン入りは好きですね」。

住所:東京都足立区西新井栄町3-10-4/営業時間:13:00~19:00/定休日:水・木/アクセス:東武鉄道大師線大師前駅から徒歩5分、東武鉄道東武スカイツリーライン西新井駅から徒歩8分

愛機と二人三脚で育む至福のコーヒー豆『maruca coffee』

こだわりの豆をここで焙煎!
こだわりの豆をここで焙煎!

焙煎(ばいせん)への情熱を貫くこと15年、加藤昌江さんが2016年に始めたコーヒー豆店。相棒のフジローヤルの焙煎機を動かし、15種類ほどのスペシャルティーコーヒーを日々焙煎している。「柔らかい飲み口を大切に、もう一杯飲みたくなるコーヒーを目指しています」。店内飲み用に2席あり。ホット480円~。

住所:東京都足立区梅島1-23-3/営業時間:7:40~9:00・13:00~18:00(土・日・祝は11:00~)/定休日:火・木・金/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン梅島駅から徒歩5分

じっくり探検してグッとくるお宝を発掘!『ロビンアウトドアベース』

LEDランタン「38灯」6930円を提灯型カバー7700円でカスタマイズ。
LEDランタン「38灯」6930円を提灯型カバー7700円でカスタマイズ。
地元企業とコラボ銅製箸置きも!
地元企業とコラボ銅製箸置きも!

2026年で開店4年目になるアウトドア用品専門店。雑多な店内をじっくり探検すればランタンやシェラカップ、トングやイス、バッグや衣類など、普段使いもしたい逸品が次々と。新商品は近所の中村銅器製作所とコラボした銅製箸置きだ。「ここだから見つかる、新しい出合いを提供したい」と店主の山田昇平さん。

住所:東京都足立区梅田3-17-13/営業時間:12:00~19:00(木は15:00~20:00、土・日は10:00~18:00)/定休日:火・水/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン梅島駅から徒歩11分

場所を変えて守られる56年目の一杯『西新井らーめん 駅前店』

駅ホームのあの味、ここに健在。
駅ホームのあの味、ここに健在。

1969年から2026年3月末まで西新井駅ホームで営業していたラーメンスタンド。その味が駅前路地の2号店で、ステーションラーメン620円として守られている。丸鶏で取った出汁に香味野菜を使ったごくシンプルな醤油味。自家製メンマとチャーシュー、保木間の製麺所『享屋』から仕入れる麺も変わらない。「これからは座ってゆっくり味わえます」と店主の岩永岳大(たけひろ)さん。チャーハンも人気だ。

住所:東京都足立区西新井栄町2-8-2/営業時間:11:00~翌1:30/定休日:月/アクセス:東武鉄道東武スカイツリーライン西新井駅から徒歩3分

いろんな場面で使いたいブラシあれこれ『ブラシの平野』(平野刷毛製作所)

まごの手(馬毛)1540円。
まごの手(馬毛)1540円。
足ゆび姫(豚毛)1650円。
足ゆび姫(豚毛)1650円。
歯ブラシ(馬毛)495円。
歯ブラシ(馬毛)495円。
全国で唯一!?のブラシガチャ。
全国で唯一!?のブラシガチャ。

昭和17年(1942)に西綾瀬でペンキ刷毛の製造から始まったブラシ専門店。取り扱うのは、自社工房の職人が手掛ける手植えの洋服ブラシ、ヘア用、掃除用など多種多彩な国産ブラシを約100種類。中には足指の間を洗うユニークなものも。全国百貨店の催事販売がメインだが、移転した2018年からショールームもオープン。購入金額1万1000円以上でブラシのガチャガチャもできるぞ。

住所:東京都足立区梅島1-4-13/営業時間:13:30~16:00/定休日:土・日・祝

こだわりのベーカリーで、カフェで、グロサリー!?『パンいつぞ』

そのまんま緑みかんソーダ580円、いつぞのアイス(オニグルミとシナモン)550円。
そのまんま緑みかんソーダ580円、いつぞのアイス(オニグルミとシナモン)550円。
左から、オニグルミカンパーニュ(まるごと)1300円、いつぞサンド660円、いちじくオニグルミ370円。
左から、オニグルミカンパーニュ(まるごと)1300円、いつぞサンド660円、いちじくオニグルミ370円。
足立のパン屋に新潟の地酒!?
足立のパン屋に新潟の地酒!?

地元っ子の柳沼沙織さんが2023年から営むパン店。噛(か)めば噛むほど滋味深い20~30種のパンに使われるのは、有機古代小麦もライ麦も全粒粉小麦もオニグルミも新潟県産だ。「結婚して新潟でパン屋になりましたが、東京で新潟の素材をPRしたくて二拠点生活を決めました」。店内には新潟の地酒や米、塩なども並ぶ。飲み物やスイーツもありイートイン可。

住所:東京都足立区西新井6-28-5/営業時間:10:00~18:00/定休日:日・月/アクセス:日暮里・舎人ライナー西新井大師西駅から徒歩4分、東武鉄道大師線大師前駅から徒歩12分
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いい波も来る、地に足付いた暮らしの街

このエリア、西から攻めようと舎人ライナーの西新井大師西駅で下車。「西」が重なる駅名は声に出すと語呂がよくてクセになる。そんな駅の周辺は平穏な住宅地、と思えば、何やら行列が。『三祐製菓』でこの日はバウムクーヘン切り落としの直売だ。気づいてラッキー!「足立区は製菓業者が多いんです。交通の便がよくて、広い土地と市場などの流通拠点があったから。起業する会社も多くて若い世代も元気。東京土産は結構、足立区で作られているんですよ」と、代表の矢原政和さん。東京の菓子は足立区が支えている!?

また、「西新井はオシャレでないけど、近頃、同世代の人たちが周囲でお店を出しているんです。いい波来てますよ!」と教えてくれたのは『パンいつぞ』の柳沼沙織さん。その波、目が離せません。

姉妹都市のある国・オーストラリアの植物が植えられ、羊のオブジェも並ぶ「ベルモント公園」。
姉妹都市のある国・オーストラリアの植物が植えられ、羊のオブジェも並ぶ「ベルモント公園」。
西新井大師参道。
西新井大師参道。

荘厳なランドマーク、西新井大師でお参りをしたら参道から環七通りを渡る。西新井大師道では、思いがけず漏れ聴こえてきた4ビート!「ジャズが結びつかない街ですよね。昔ジャズ喫茶巡りした人や一時ジャズから離れた人が来てくれるんです」と『ジャズ喫茶ALTEC』の木檜貞夫さん。店内ではジャズファンたちが目を輝かせて、レコードを手に取り語り合う。

すべてがほどよい、足立区のど真ん中

上沼田東公園の水色タコ滑り台と舎人ライナー。
上沼田東公園の水色タコ滑り台と舎人ライナー。

西新井駅では、西口の東武ストアが閉じ駅ビルの改装工事中。駅前広場も整備予定で、梅島駅方面の梅田8丁目には図書館や子育てサロンが集まる複合施設が2年後(2028年)に開設予定とか。姿を変えるものがあるのは街の常。けれど、『西新井らーめん』のステーションラーメンのように継承され、ささやかに残るものは愛おしい。

現在、再開発中の西新井駅西口。
現在、再開発中の西新井駅西口。
八百屋が3軒もある街の台所、関三通り商店街。
八百屋が3軒もある街の台所、関三通り商店街。

梅島の『ブラシの平野』のブラシもそう。髪には猪毛や豚毛、服には馬毛などと用途に適した天然毛を多用し、伝統の製法で作られる。「ブラシは道具。道具は手にしないとよさが伝わらないので対面販売が大事なんです」と3代目の平野聡士さん。そういや、『ロビンアウトドアベース』で山田昇平さんも言っていたっけ。「今では何でもワンクリックで買える時代。でも、昔から、“人、モノ、金”って商売の順番があるように、人と話して店で物を買うことを楽しんでもらいたい」。対面販売を大切にする古きよき商人気質も息づいているのだ。

西新井大師参道脇の『大長商店』にはご店主手編みのだるまも。
西新井大師参道脇の『大長商店』にはご店主手編みのだるまも。
タコ滑り台第1号がある新西新井公園にはミニタコも。
タコ滑り台第1号がある新西新井公園にはミニタコも。

「ほどよい街ですね。ほどよくコンパクト、がっつり下町ではないほどよい人との距離感。刺激はないけれど、その分街は荒れずに、穏やか。年を重ねるほどに、住みやすいなあってしみじみ思います」。散歩の締めに立ち寄った『marucacoffee』で甘い口当たりの一杯を飲みつつ、加藤昌江さんの言葉にうなずく。

地に足付いたのどかな暮らしの街。目立たなくてもこここそが真の“センター”なのかもしれない。私はこっそりそう思っている。

足立富士見公園には巨大キノコが!
足立富士見公園には巨大キノコが!

取材・文=下里康子 撮影=加藤熊三
『散歩の達人』2026年9月号より

食のプロが行き交い、真剣な目つきで品定め。目利き戦場「足立市場」が設ける2カ月に一度のスペシャルデーは、一般人もウエルカム。どでかい保冷バッグを肩に担ぎ、いざ、出陣じゃ!
都内全域を見てもだいぶ数が減り、絶滅危惧種ともいえる昭和の喫茶店。それでも足立区には昔からの住人が多いおかげか、いくつも残っている。しかも、ただ懐かしいだけではない。今もたくさんの人に愛されているのだ。