まもなく雨のシーズン。2026年は梅雨らしい梅雨に

沖縄や奄美が梅雨入りし、本州付近も雨が多くなる時期です。例年、梅雨入り前から雨の日が増えることもあります。季節の変わり目は南から迫る暖かい空気と北に残る冷たい空気が衝突し、そこで雨を降らせる前線ができるため、雨が降りやすくなるのです。

2026年5月19日に発表された気象庁の3カ月予報によると、梅雨の期間に当たる6月から7月にかけて、日本付近に梅雨前線が停滞しやすく、降水量は全国的にほぼ平年並みになる見込みで、梅雨らしい梅雨となりそうです。西日本や東日本を中心に雨雲のもとになる湿った空気がやや流れ込みやすく、大雨にも注意が必要です。

全国的に降水量は平年並み、2026年も大雨に警戒が必要だ(画像=ウェザーマップ)。
全国的に降水量は平年並み、2026年も大雨に警戒が必要だ(画像=ウェザーマップ)。

さんたつユーザーの多い関東甲信の梅雨入りは平年だと6月7日頃です。まもなく迎える雨のシーズンを前に大雨への備えをするとともに、雨の中の散歩でも気分を上げてくれる傘やレインブーツを用意するのもおすすめです。

雨の日のにおいの正体は「ペトリコール」

空を覆う鈍色の雲、ポツリポツリと地面を跳ねる雨音、そして、じっとりとまとわりつく湿気。私たちは目、耳、肌で雨の気配を感じ取ります。それだけでなく、地面から何だか懐かしいにおいが漂ってくるのを経験したことはないでしょうか? この正体は「ペトリコール」と呼ばれるにおいです。1960年代にオーストラリアの化学者たちが発見し、ギリシャ語で「石のエッセンス」という意味の名を付けました。

今にも雨が降り出しそうな空、足元から感じるにおいからも変化がわかる。
今にも雨が降り出しそうな空、足元から感じるにおいからも変化がわかる。

水は無臭のため、雨粒にもにおいが付いているわけではありません。では、においの大元はどこにあるのかというと、土の中です。晴れの日が続き地面が乾いたままの状態が長引くと、植物は自己防衛のために油を出し、それは土中に蓄積されていきます。そして、相対湿度が80%に達した時に土の中の鉄分が触媒となって、植物の油は独特なにおいを放つそうです。雨が降ると油は洗い流されてしまうため、雨が降る直前の湿度が高まったタイミングでペトリコールが漂います。

また、雨が上がった後に感じられるにおいは「ゲオスミン(ジオスミン)」と呼ばれています。こちらはギリシャ語で「大地のにおい」という意味です。土の中の細菌が原因で、雨水が蒸発する際ににおいが強まると考えられています。

空に架かる虹も雨が降るからこそ出合える自然の賜物。
空に架かる虹も雨が降るからこそ出合える自然の賜物。

レンズ効果で空を映し出す水たまり 

雨の日にできる水たまりは、まるで空を映す鏡のようです。水面が揺れるのを眺めていると、雲が流れていく様子、風の吹く強さが分かります。水面に映る様子は私たちが目で見るのとは少し違っていますが、これは水滴のレンズ効果のせいです。

水滴は丸くふくらんでいるため、虫めがねのように光を曲げる働きをします。空気中をまっすぐに進んできた光は、水滴の中に入り込むと曲がってある方向へ集まりやすくなります。その結果、ものが大きく見えたり、ゆがんだり逆さになったりして映ることがあるのです。新緑の葉に付いた露も周りの景色を映し出すため、大きなしずくを見つけたらよーくのぞきこんでみてください。

刻一刻と変わる空の変化、水たまり越しに眺めるのも楽しい(画像=写真AC)。
刻一刻と変わる空の変化、水たまり越しに眺めるのも楽しい(画像=写真AC)。
葉に付いたしずくは雨の時にだけ見られる小さな絶景(画像=写真AC)。
葉に付いたしずくは雨の時にだけ見られる小さな絶景(画像=写真AC)。

雨だとつい家にこもりたくなりますが、晴れの日とは違う自然の表情が生まれます。香りや光の変化を気に掛けながら歩けば、いつもの道も小さな科学館のように感じられるかもしれません。

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文・画像=片山美紀

 

参考:

Gary Lockhart  著,グループW 訳,『お天気となかよくなれる本 世界気象博物誌』,丸善出版,1992年1月.

“向こう3か月の天候の見通し 全国 (6月~8月)”,気象庁,https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?region=010000&term=P3M,(2026年5月20日参照).

“雨の匂いの正体は?”,京都リフレ新薬株式会社,https://www.refretone.co.jp/smell-of-rain/,(2026年5月20日参照).