ダイヤモンド富士はどこで見られる?

有難い御利益がありそうなダイヤモンド富士。富士山が見える場所で晴れている日なら、いつでもどこでも見えるかというとそうではありません。太陽の軌道は毎日少しずつ変わりますが、ダイヤモンド富士は観測地点から見た太陽の軌道が富士山の山頂をピンポイントで通る時にだけ起こるため、山が見えても位置が少しずれるだけで太陽は山頂から外れて沈んでしまいます。

国土交通省関東地方整備局のウェブサイトでは、ダイヤモンド富士が見られる地点を紹介しています。ひとつの地点で観察できるチャンスは、太陽の軌道が富士山の山頂と重なる1日の太陽が昇る瞬間と夕日が沈む瞬間。つまり年に2回だけともいわれています。関東周辺では2月から3月にかけて観察できる場所が多くあります。

ダイヤモンド富士の見られる場所は?(画像=国土交通省関東地方整備局)。
ダイヤモンド富士の見られる場所は?(画像=国土交通省関東地方整備局)。

観察に適した気象条件

ダイヤモンド富士を見るのに絶好の気象条件は当然ですが、よく晴れて雲が少ないこと、そして空気が乾燥して空が澄んでいることです。2月から3月はまだ大陸が温まり切らず、シベリア高気圧が居座るため、西高東低の冬型の気圧配置になることがあります。

この時、太平洋側の関東周辺では晴れることが多いのですが、等圧線が少し凹んでいるような時は要注意です。こうした場所では向きの違う風がぶつかり合い、局地的に雲が発生しやすいのです。この雲は海上でできることが多いですが、陸地まで広がってなかなか取れない場合もあり、しかも動きを予想するのが難しいです。関東で冬場に晴れの予報が外れる典型的なパターンとして知られています。

2024年12月19日の天気図。関東から静岡県付近で等圧線が少し凹み、雲が広がった(画像=ウェザーマップ)。
2024年12月19日の天気図。関東から静岡県付近で等圧線が少し凹み、雲が広がった(画像=ウェザーマップ)。

本格的な春が近づくにつれて、日本付近は移動性の高気圧に覆われる日が増えます。高気圧の下では晴れるのでチャンスと考えられますが、この時に注意したいのは高気圧の中心の位置です。

本州付近にある場合は関東では安定して晴れやすいですが、北寄りになっている時は高気圧の縁を回って海から湿った空気が入るため、思いがけなく曇ることがあります。ダイヤモンド富士をばっちり見るためには、天気マークだけでなく、できれば天気図も合わせてチェックしておいてください。

2025年4月5日の天気図。高気圧の中心付近にある関東はよく晴れた(画像=ウェザーマップ)。
2025年4月5日の天気図。高気圧の中心付近にある関東はよく晴れた(画像=ウェザーマップ)。
2024年4月5日の天気図。高気圧の中心は関東から見ると北寄りに、関東から西日本は雲が広がった(画像=ウェザーマップ)。
2024年4月5日の天気図。高気圧の中心は関東から見ると北寄りに、関東から西日本は雲が広がった(画像=ウェザーマップ)。

ダイヤモンド富士の撮影に挑戦!

私がダイヤモンド富士見散歩に挑戦したのは2025年の12月15日。多摩川緑地で日没のチャンスをねらいました。この日の気圧配置は西高東低。東京都内は朝から晴れて、雲も少なく快晴。心配していた沿岸の雲の影響もなさそうで期待が高まりました。

2025年12月15日の天気図。典型的な冬型の気圧配置に(画像=ウェザーマップ)。
2025年12月15日の天気図。典型的な冬型の気圧配置に(画像=ウェザーマップ)。
ダイヤモンド富士、撮影成功なるか!?
ダイヤモンド富士、撮影成功なるか!?

東京の日の入りは午後4時29分だったので、これより30分ほど早い時間には間に合うようにやってきました。日の入りとは太陽が地平線に沈み切って見えなくなった瞬間のこと。そのため、日の入りの時間ぴったりの到着だとダイヤモンド富士に間に合わなくなるのでお気を付けください(日の出とは太陽が地平線から顔を出し始めた瞬間のことです)。

冬型の気圧配置なので仕方がないのですが、北風がピューピューと吹き付ける寒い日でした。実は以前にもダイヤモンド富士の撮影に挑戦しようとしたことがあったのですが、朝から雲が広がっていて断念したため、この寒さも全く苦ではありませんでした。

そして、いよいよ撮影チャンスの時間が迫ってきました。富士山もくっきりと見られ、今日はばっちりだと自信満々。

ですが、ここで誤算がありました。

なんと、夕日がまぶしすぎて、カメラを向けても上手く撮影できているのか全く分からなかったのです……! 隣には同じようにダイヤモンド富士をねらっている人がいましたが、その人は高性能に見えるカメラに頑丈そうな三脚で万全の装備で撮影していました。一方、私はスマホと普通のデジカメのみ。どんなものが撮れているのか分からないまま、とりあえず連写を続けました。そして、撮影できた写真がこちら。

シャッターを押すタイミングが少しずれてしまった……!
シャッターを押すタイミングが少しずれてしまった……!

山頂と太陽は重なっているようには見えますが、やっぱり少しずれている……! ダイヤモンド富士を見ることには成功しましたが、きれいな写真を残すためには撮影技術が必要だということを実感しました。

ダイヤモンド富士のチャンスはあっという間に終わってしまいますが、日が沈んだ後もマジックアワーの美しい景色を楽しめるので、しばらくはじっと空を眺めていました。

日が沈んだ後も、まだ富士山のシルエットがくっきり。
日が沈んだ後も、まだ富士山のシルエットがくっきり。

4月にかけて少しずつ春らしい暖かさを感じられる日が増えていきますが、日の出や日の入りの時間はまだまだ冷えます。ダイヤモンド富士を見に行く時は防寒をしっかりと。そして、撮影のコツの確認も忘れずに散歩へ出かけてみてください。

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文・画像=片山美紀

参考

国土交通省関東地方整備局 関東の富士見百景 ダイヤモンド富士
https://www.ktr.mlit.go.jp/chiiki/chiiki00000111.html

国立天文台 各地のこよみ
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/